プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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H-IIAロケット試験機2号機の打上げ結果について

平成14年2月27日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

試験機2号機の飛行試験の目的及び結果概要

【目的】

1. H-IIAロケットの以下の主要課題について、機能・性能のデータを取得し、飛行実証を行う。
  • 改良された1段エンジン(LE-7A)
  • 固体補助ロケット(SSB)4本装着による能力増強
  • 複数衛星の打上げ用フェアリング
  • 2段エンジン(LE-5B)の再々着火に関する基礎データの取得と技術課題の抽出(衛星の静止軌道へ直接投入及び複数衛星の異なる軌道への投入等の多様なミッションに対応)。
    2. H-IIAロケットにより、民生部品・コンポーネント実証衛星(MDS-1)及び高速再突入実験機(DASH)を打ち上げる。

    【結果概要】

     H-IIAロケット試験機2号機を平成14年2月4日(月)11時45分に打上げた。
  • 上記の1項について、所期の目的を達成
  • 民生部品・コンポーネント実証衛星(MDS-1)を所定の軌道に投入
  • 高速再突入実験機(DASH)の分離失敗については、平成14年2月15日(金)に開催された宇宙科学研究所内に設けられた「高速再突入実験(DASH)調査特別委員会」において、DASH内信号伝送ケーブルの誤配線に伴う分離信号の不伝達であると特定された。

    各サブシステムの飛行実証状況

    (注)上記の他、今回の打上げ機会を利用して、第2段再々着火予備実験及びGPSデータ取得実験を実施し良好にデータを取得した。
           :2号機の打上げで機能・性能データが取得された項目

    各サブシステムの飛行実証状況 PDFデータ(88KB)



    技術データ取得状況

     総項目数未取得項目
    1段基本テレメータ
      (131 Kbps )
    540 2
    (LE-7Aエンジン燃焼圧)
    2段基本テレメータ
      (131 Kbps )
    750 0
    1段技術テレメータ
      (1.3 Mbps )
    160 4
    (SRB-A歪み、SSBノズル温度、SSB加速度、1段エンジン部音響)
    2段技術テレメータ
      (768 Kbps )
    15 0
    VHF-GPSテレメータ
      (131 Kbps )
    1
    (1項目当たり50データ)
    0

    上記未取得項目については、いずれも他の項目にて評価が可能






    試験機1号機から試験機2号機以降へ向けた対策の結果






    特記事項(第1段飛行性能)






    特記事項(2段燃焼圧力変動)

    ■飛行結果

     LE-5Bエンジンの燃焼圧力変動は1号機と同レベルであることを確認した。
     試験機1号機と同様、LE-5Bの燃焼圧力変動(推力変動)により、機体が応答していることを確認した。衛星搭載部の振動レベルは、予測範囲内であり、問題ない。

    ■次号機以降の対応

     振動解析で衛星内部の応答を確認し、疲労に関する評価を行う。(2号機と同様)。尚、ADEOS-II、MTSAT-1Rについては解析結果を衛星側で評価し、振動レベルが許容範囲内であることを確認済み。
     なお、さらに信頼性を高めるため、振動レベル低減策を検討中(LE-5B噴射器の改良等)






    特記事項(フェアリング分離時の微粉)






    まとめ

    LE-7Aエンジンの改良型液体水素ターボポンプインデューサ、固体補助ロケット、複数衛星打ち上げ用フェアリングなどの試験機2号機で適用した技術を含め、良好な飛行実証データが得られた。
    これまでの評価の結果、試験機1号機からの反映事項も含め、各コンポーネントにおける機能・性能が概ね良好であることを確認した。
    検討事項については、H-IIAロケットの信頼性をさらに向上させるため、適切な処置を講じる。