プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

スペースシャトル「コロンビア号」の事故調査状況について

平成15年2月5日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. コロンビア号事故調査体制

(外部評価)

コロンビア事故調査委員会:
  • コロンビア事故をシャトルプログラムから独立して調査・レビューするための外部委員会。(ゲーマン委員長以下が3日(現地時間)バークスデール空軍基地に入り調査開始。)

(NASA内部)

本部緊急事態対応チーム[NASA本部]:
  • 緊急事態対応チームで災害時に召集される
  • ホワイトハウス、政府機関、連邦緊急事態管理庁、連邦捜査局、テキサス州、ルイジアナ州と協力
事故対応チーム[NASAジョンソン宇宙センター]:
  • 現場のシャトルシステム技術者による事故調査
事故調査チーム[バークスデール空軍基地]:
  • 現場での破片収集現場の管理、破片の保存
  • NASA 、空軍、環境保護庁、連邦捜査局、テキサス州、ルイジアナ州
  • 現地に派遣されているNASA職員は100人以上で今後さらに増員を行う予定

2. NASAによる事故原因調査の状況 (出典: NASA記者会見)

通信データの解析状況: (スペースシャトルコロンビア号帰還シーケンスは下図を参照)

22時52分 左車輪格納庫内の車輪ブレーキ油圧系統温度(3点)が上昇
22時53分 左翼側エレボン油圧系統の温度センサ4点が測定不能、左翼側脚駆動機構温度など3点が上昇
22時54分 左胴温度が異常な上昇(5分間に華氏60度)、右胴温度の上昇は5分間に華氏15度。 同じ場所の壁の内側およびペイロードベイ内の温度は正常
22時55分 左翼側車輪のブレーキ油圧系統温度が上昇
22時57分 左翼上下面の表面温度が測定不能
22時58分 左翼の空気抵抗力増大に対して、姿勢変動を補正するために操舵面(エレボンなど)が作動。 また、左側タイヤ圧が測定不能
22時59分 右側2つのガスジェットが噴射(1.5秒間)され、姿勢制御を補助(以降、通信途絶)

コロンビア号帰還シーケンス(参考)

シャトルオービタの外観 (参考)

破片の回収状況:

 現地時間2月3日(月)のNASA会見時点では 500点ほど。 ルイジアナ州バークステール空軍基地ないしテキサス州カールスボー空軍基地に保管。
 現地時間2月4日(火) NASA会見で、これまでより西(カルフォルニア・アリゾナ)で破片が見つかる可能性あり、回収に向かっていると説明。

打ち上げ時の外部タンク断熱材破片衝突の状況調査:

(事故前)
  • 1月16日打上げ後80秒頃に、外部燃料タンクの上部断熱材の一部が剥離し、コロンビア左翼に衝突した模様(ビデオ映像による)
  • 1月17日から1月27日にかけて調査・検討を行った。
  • 破片サイズ(*1): 20×16×6インチ、2.7ポンド(50cm×40cm×15cm、1.2kg)
  • 左翼へ衝突したときの衝撃力を推算したところ、タイルを破損し飛行士ないし船体に危険をもたらすものではないと判断。
(*1)以下の情報をもとにNASAが推測。
- 打ち上げ時のビデオ映像
- STS-112(2002年10月18日打上げ、ISSトラス組み立てに参加)において同様の事象が発生した際の破片の映像(飛行士が撮影)
(事故後)

 解析の再評価を実施中。

3 コロンビア号 追悼式

2月4日(火)正午(CST)よりテキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センターにてコロンビア号の追悼式が行われた。ブッシュ大統領、オキーフ長官を含む約1万4千人が参加、日本からは毛利宇宙飛行士等が出席した。

2月6日(木)10:00よりワシントンDCのナショナル・カテドラルにおいて、追悼式が行われる予定。日本からは渡海科学技術副大臣等が出席する予定。