
このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました
スペースシャトル「コロンビア号」の事故調査状況について
平成15年2月19日
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
1.米国議会公聴会の状況
- 2月12日深夜〜13日(日本時間)、米国議会において、コロンビア号事故に関する公聴会(上下院合同)を開催。米国航空宇宙局(NASA)からは、オキーフ長官が証言者として出席。
- マケイン上院科学輸送委員会委員長(議長)の開会の辞(抜粋):
- 宇宙開発の未来に向けて、我々は責任を持って間違いを正し、前進しなければならない。
- コロンビア号の事故要因、調査状況、二度と事故を起こさないための対策について話し合いたい。安全性について何か問題があったのかを調査する。
- ショーン・オキーフ長官の証言(抜粋):
- 先週ブッシュ大統領がNASAを訪れ、NASAの人々を激励した。これからもアメリカの宇宙計画は継続する予定である。
- ジョンソン宇宙センター (JSC)の追悼式典で大統領が述べた言葉は、我々の地球を守り、理解し、宇宙を探検し、新たな生命を捜し、そして未来の子供たちに夢を与えるNASAの力を見事に表していると思う。
- いま我々がするべきことは、問題を突き止め、直し、安全を確保し、プロジェクトを再開することである。優秀な調査委員会のもと、事故の原因は解明され、宇宙開発は継続する。
- ボーラート下院科学委員会委員長の閉会の辞(抜粋):
- コロンビア号事故調査委員会(CAIB)の活動は、真に独立性を確保することが重要。
- 60日という報告期限も現実的ではないと考えられるため、必要とする時間を十分に与えるよう見直すべき。
- 最終報告はNASA長官だけでなく、大統領、議会、米国民に同時に行うことが必要。
2. CAIB/NASAによる事故調査状況
- 先週来、事故原因究明はCAIBが主体となりNASAの協力を得つつ進めている。
- 2月12日の宇宙開発委員会での報告以降、現時点で事故原因は特定されていない。
- 2月14日(日本時間)CAIBが、以下をプレスリリースした。
- 《要約》
- NASAワーキンググループによる暫定的(preliminary)な解析の結果として、大気圏突入時にコロンビア号の左翼車輪収納部で測定された温度について、プラズマ(再突入時に機体をとりまく高温のガス)の存在がなければ説明できない。. 飛行最終段階の温度データは、タイルの欠損に起因する内部構造の熱伝達のみでは説明できず、車輪収納部(あるいは左翼の他部位)に何らかの形でプラズマが侵入するような(構造の)破れ(breach)があった可能性が示唆される。
- 2月19日早朝(日本時間)CAIBが記者会見を行った。
(説明者:ハル・ゲーマン、ジョン・L・バリー、ジェームス・N・ハロック、スティーブン・ワレス) - 《要約》
- -先週末からの調査状況の説明。(ケネディ宇宙センター(KSC)、マーシャル宇宙センター(MSFC)、ミショー組立工場の視察、NASA職員及びコントラクターからの聞き取り調査を実施。)
- -デブリ回収状況の説明。(KSCに3,656個集結。その他、約10,000個がバークステール基地またはKSCに輸送中。)
- -交信途絶後のテレメトリーデータ(32秒間)の解析状況の説明。
(新たに、最初の5秒間に3、4機目の姿勢制御用推進系が噴射していたことが確認された。継続解析中) - -委員会メンバーを追加した。今後も必要に応じて専門家を追加予定。
- -今後の調査の進め方
- CAIBの独立性を保つ。(CAIBのスタッフをNASA外部の者に交替。)
- 議会、大統領府との連携を深める。(ワシントンDCに事務所用意。)
- CAIBとして定期的に公聴会実施。
表-1 コロンビア号事故調査委員会(CAIB)メンバー
2003.2.18日付け
役職 | 氏名 | 現職 | 担当サブボード |
委員長 |
ハロルド・W・ゲーマンJr. |
退役海軍大将 |
|
委員 |
ステファン・A・ターコット |
海軍少将 |
Material Management |
委員 |
ジョン・L・バリー |
空軍少将 |
Material Management |
委員 |
ケネス・W・ヘス |
空軍少将 |
Operation |
委員 |
ジェームス・N・ハロック |
米国運輸省航空安全部 部長 |
Technical&Engineering Evaluation |
委員 |
スティーブン・ワレス |
米国連邦航空局事故調査部長 |
Operation |
委員 |
デュアン・W・ディール |
空軍准将 |
Material Management |
委員 |
スコット・ハバード |
NASA エイムズリサーチセンター長 |
Technical&Engineering Evaluation |
委員 |
ロジャー・E・テトラウト* |
元マクダーモット社長 |
Technical&Engineering Evaluation |
委員 |
シェイラ・E・ウィドナール** |
マサチューセッツ工科大学教授 |
Technical&Engineering Evaluation |
支援 |
ブライアン・D・オコナー |
NASA安全・ミッション保証局長 |
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支援 |
セロン・M・ブラッドレーJr. |
NASAチーフエンジニア |
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*コンサルタントから委員へ変更 **新規追加メンバー
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