プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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スペースシャトル「コロンビア号」の事故調査状況について

平成15年3月12日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. CAIB/NASAによる事故調査状況報告

  1. 3月5日の宇宙開発委員会での報告以降、現時点で、コロンビア事故調査委員会(CAIB)及び米国航空宇宙局(NASA)より、事故原因が特定されたとの発表はされていない。
  2. 3月12日早朝(日本時間)、CAIBが定例の記者会見を行った。(下記参照)
    (説明者:ハル・ゲーマン委員長、ケネス・ヘス委員、ジョン・バリー委員、シェイラ・ウィドナール委員 以上4名)

    《CAIB記者会見要約》

    -先週末からの調査状況の説明
    ジョンソン宇宙センター(JSC)、ケネディ宇宙センター(KSC)、マーシャル宇宙飛行センター(MSFC)、ボーイング社パームデール/オービタ組立工場(カリフォルニア州)、サイアコール社(ユタ州)にて調査を継続中。
    飛行データをもとに飛行状況を再現したところ、左翼の下面で空気力学的バランスの不均衡が見られたため、左翼先端の風洞テストを行った。その結果、空気力学的な観点からは一枚のタイルが剥がれた程度では事故との関連性について説明が難しいことがわかった。引き続き調査を行っていく。
    -破片回収状況の説明
    KSCにおいて破片の調査を行っているが、現在28,286個の破片が回収され、そのうち25,404個の破片については機体のどの部分かの識別された。識別された破片の総重量は39,300ポンドでシャトル全体の約18%〜19%の破片が回収できたと考えられる。
    -交信途絶後のテレメトリーデータ(32秒間)の解析は引き続き行われている。

2. CAIB/NASAホームページ公開情報

 3月5日から3月11日まで、コロンビア号事故調査に関する主な情報として下記2件がNASAおよびCAIBホームページにて公開された。

  • CAIBに元宇宙飛行士のサリー・ライド女史を含む3名の委員が新たに加わった。(下表参照)(米国時間2003年3月5日付CAIBリリース発行)
  • 事故当時の詳細な時間経過をまとめた表が更新された。これまでに公開されていた時間経過に交信途絶後の32秒間を加え、センサーのデータ等に修正が加わっている(米国時間2003年3月10日付CAIBリリース発行)
    • 交信途絶後のテレメトリデータの中に、水平方向(ヨー)の角度変化が20度/秒という、ほとんど姿勢制御不能の動きを示している箇所があった。
    • 地上から確認された15回の破片分離時刻が追加されている。

3. CAIB公聴会

3月6日11時(米国東部時間)よりテキサス州ヒューストン大学において、第一回CAIB公聴会が開催された。

  • 証言にはNASAジェファーソン・ハウエルJSC所長、NASAロン・ディットモア・シャトルプログラムマネージャ、ボーイング社キース・チョーン氏、テネシー大教授マクドナルド氏(元NASAエイムズリサーチセンター所長)の4名が出席した。
  • NASAのマネージメント体制、民営化の影響の有無、安全対策、断熱材に関する全般的な質疑応答が行われた。

次回、3月17日、18日(米国時間)にCAIB公聴会が開催される予定(テキサス州クリアレイク地区ヒルトンホテル)。空気力学解析や熱解析について専門家を呼び、事故原因調査に焦点があてられる予定。



コロンビア号事故調査委員会(CAIB)メンバー

2003.3.5付発表
役職氏名現職担当サブボード
委員長 ハロルド・W・ゲーマンJr. 退役海軍大将
委員 ステファン・A・ターコット 海軍少将 Material Management
委員 ジョン・L・バリー 空軍少将 Material Management
委員 ケネス・W・ヘス 空軍少将 Operation
委員 ジェームス・N・ハロック 米国運輸省航空安全部 部長 Technical&Engineering Evaluation
委員 スティーブン・ワレス 米国連邦航空局事故調査部長 Operation
委員 デュアン・W・ディール 空軍准将 Material Management
委員 スコット・ハバード NASA エイムズリサーチセンター長 Technical&Engineering Evaluation
委員 ロジャー・E・テトラウト 元マクダーモット社長 Technical&Engineering Evaluation
委員 シェイラ・E・ウィドナール マサチューセッツ工科大学教授 Technical&Engineering Evaluation
委員 ダグラス・オシャロフ* ノーベル賞物理学者 Technical&Engineering Evaluation
委員 サリー・ライド* カリフォルニア大学教授 Operation
委員 ジョン・ログズダン* ジョージワシントン大学教授
支援 マイケル・ブルームフィールド** NASA宇宙飛行士訓練担当
支援 セロン・M・ブラッドレーJr. NASAチーフエンジニア
*:新規追加メンバー  **:変更メンバー