JAXA｜スペースシャトル「コロンビア号」の事故調査状況について

このプレスリリースは宇宙開発事業団（NASDA）が発行しました

スペースシャトル「コロンビア号」の事故調査状況について

平成15年3月19日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1.　CAIBの事故調査活動

3月12日の宇宙開発委員会での報告以降、現時点で、コロンビア事故調査委員会(CAIB)及び米国航空宇宙局(NASA)より、事故原因が特定されたとの発表はされていない。
3月19日早朝(日本時間)、CAIBが定例の記者会見を行った。(下記参照)
(説明者：ハル・ゲーマン委員長、ウィリアム・ウォレス委員、デュアン・ディール委員、ジェームス・ハロック委員　以上4名)
《CAIB記者会見要約》

3つのグループ(製造・保守、運用、技術)に分かれて実施している調査状況の説明があった。
1. 外部タンク断熱材衝突に関して、製造および検査工程にかかる書類調査を進めるとともに、断熱材吹き付け試験等に立会っている。
2. 高温ガスの機体内への侵入を裏付ける新たな事実として、3月15日に公表した左側主脚の固定ローラーの写真を示し、材料の特性から華氏3000度以上にさらされたことが明らかであること、他の回収された破片から車輪格納庫内の高温ガスの流れを解析中であることを説明。 (下図参照)
3. 飛行2日目に、地上からのレーダ観測にて確認されたシャトルから分離したと思われる物体を特定するため、シャトルに装着された28の候補部品(ブラケット、シール等)のレーダ照射試験を地上で実施し比較中。
4. その他、STS-107打上げまでの審査会の過程について引き続き調査を行っている。また、CAIBとしても、NASAが実施している飛行再開(Return to Flight)の検討※にオブザーバーとして参加し、最終的な報告にCAIBとしての改善提案を盛り込む目的で情報を共有している。
  ※ 「3.NASAの動向」参照
　　
CAIBは下記情報を公開した。
更新された事故当時の詳細な時間経過表 (Rev.15)を公開。(2003年3月14日付)　前回公開(2003年3月10日)された時間経過表に、一般人が撮影したビデオカメラの撮影場所、撮影時間等を追加している。 http://spaceflight.nasa.gov/shuttle/investigation/timeline/rev15/col_timeline_rev15.pdf

2.　CAIB公聴会

3月17日13時(米国東部時間)および3月18日10時(同)よりテキサス州クリアレイク地区ヒルトンホテルにおいて、第二回CAIB公聴会が開催された。
1. 3月17日の証言にはエアロスペース社ウィリアム・エイラー氏、USA社ダグラス・ホワイト氏、NASAポール・ヒル・フライトディレクタの3名が出席した。
  　シャトルの大気圏再突入に関する一般的な説明、コロンビア号左翼センサーの異常値の経緯、地上から撮影された再突入後のコロンビア号の映像をもとに破片分離状況の説明が行われた。
2. 3月18日の証言には、NASAスティーブ・ラブ氏、NASAクリストファー・マデン氏、NASAジョー・カラム氏の3名が出席した。
  　高温ガスのコロンビア号左翼への流入経路の解明に関する風洞実験の結果を証言した。左翼先端の耐熱パネル1枚の欠落では今回の事故につながるような状況にはならないとの説明があり、複数パネルの欠落の条件にて引き続き実験を行う。
次回、3月25日、26日(米国時間)にケネディ宇宙センターにてCAIB公聴会が開催される予定。

3.　NASAの動向

3月14日、NASAリディ宇宙飛行局長は、シャトル飛行再開に関するレターをNASAシャトル・ISS計画局次長に発出した。主な内容は以下の通りである。
1. 今年秋をシャトル飛行の最も早い再開時期と仮定して検討作業を行う。
2. Return to Flightチームを編成し、解決すべきアクションを検討する。
3. 4月1日までにアクションプランを提示するよう指示。
　なお、この内容は同日行われたNASA記者会見の場でオキーフ長官及びリディ局長から説明された。
NASAロン・ディットモア・シャトルプログラムマネージャは、CAIBの調査活動のサポートとは別に、シャトルプログラムとして改善すべき点を識別して対策を施すように指示を出している。