本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
1. CAIBの事故調査活動
- 4月2日の宇宙開発委員会での報告以降、現時点で、コロンビア事故調査委員会(CAIB)及び米国航空宇宙局(NASA)より、事故原因が特定されたとの発表はされていない。
- CAIBは、4月3日(米国時間)下記情報を公開した。
- 4月1日(米国時間)ルイジアナ州フォートポークでメインエンジン・パワーヘッドが回収された。
回収された破片は、パワーヘッド3個とターボポンプ1基であった。なお、この破片の発見場所は、これまで破片が見つかった場所の中で最も東に位置している。
- 4月9日早朝(日本時間)、CAIBが定例の記者会見を行った。
- シャトル破片の回収状況について、落下想定範囲の76%の捜索を完了し、全重量の32%が回収されたとのこと。これまで最も西方で発見された破片が左翼上面前縁部RCCパネル8もしくは9の後方のタイルの一部であるとの説明がなされた。左翼RCCパネル破片は右翼に比較し西方で回収されている。(図1.参照)

図1.RCCパネル破片回収分布
- 回収されたデータレコーダのデータ再生と解析について、現在慎重に作業を進めている。データレコーダで確認されたOMS(機体後方の軌道制御システム)カバー上の異常な温度上昇について、風洞試験に基づいた熱解析を行った結果、RCCパネル9を外した場合の機体周りの熱分布との相関が見受けられた。
- 飛行2日目にシャトルから離れていった物体については、翼前縁部RCCパネルと翼構体をつなぐクローズアウトパネルが最も疑わしい状況に変わりはないが、他に、クローズアウトパネルに3,4個のタイルもしくはブラケットを装着したケースや、RCCパネル、Tシール(RCCパネル間をつなぐ部材)についての試験を行い結論づける方向。(図2.参照)
図2.RCCパネルおよびクローズアウトパネルの位置
- RCCパネル老朽化に関して注目されているピンホールについては、原因として、射点設備からの塗料(酸化亜鉛)の付着により発生したのではないかと考えられているところ、コロンビア号が他のシャトルに比べて長い間外部環境に晒されていたとのデータ(フライト平均で約1週間)が紹介された。また回収されたRCCパネルは中心から割れていたと説明があった。
2. CAIB公聴会
4月7日および8日(米国時間)にテキサス州クリアレイク地区ヒルトンホテルにおいて、第四回CAIB公聴会が開催された。
- 日の証言にはNASA 宇宙飛行士ハルセル氏、NASAミッション運用部門主任技術者キャッスル氏、マーシャル宇宙飛行センターのスパークス氏とフォスター氏の4名が出席。
打上げまでの審査プロセス、フライトルール、外部タンクから脱落した断熱材の履歴に関する質疑応答が行われた。
- 8日の証言にはDunlap and Associates社社長 ブロンバーグ氏、ボーイング社ベル氏の2名が出席。
NASAの安全に関する課題、シャトル機体へのデブリ衝突の履歴に関する質疑応答が行われた。