プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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スペースシャトル「コロンビア号」の事故調査状況について

平成15年4月16日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. CAIBの事故調査活動

  1. 4月9日の宇宙開発委員会での報告以降、現時点で、コロンビア事故調査委員会(CAIB)及び米国航空宇宙局(NASA)より、事故原因が特定されたとの発表はされていない。
  2. 4月16日早朝(日本時間)、CAIBが定例の記者会見を行った。
    • (ア)新たに判明したこととして以下の発表があった。
      • 打上げ時の画像について再度詳細な解析を実施した結果、断熱材の衝突箇所については、今まで想定されていたシャトル左翼のRCCパネルNo.5、6、7付近よりも、No.7、8付近の可能性が高い。
      • 回収したRCC部材やクローズアウトパネルを解析した結果、RCCパネルNo.8と9が接している縁部分において、熱による損傷が他の部分に比べて異常に大きい。
      • 回収したデータレコーダから得られた情報として、RCCパネルNo.9の後部および、No.9と10の間にある2つの温度センサーのデータが大気圏突入後約500秒後に異常な高温を示し、直後に途絶えている。
      • RCCパネルの老朽化について、他のシャトルの機体を調査した結果、RCCパネル表面のシリコンカーバイド層のピンホールが小さな亀裂にいたっている箇所が認められた。ピンホールの数は、飛行回数の多いシャトルに多いという傾向が認められる。
    • (イ)衝突時に発生した事象を特定するために、画像、温度、回収した破片のデータを統合して、断熱材の衝突試験を実施する予定。
    • (ウ)飛行2日目にシャトルから離れていった物体について、最も疑わしいとされていたクローズアウトパネルが地上で回収されたことから、可能性は低いと考えており、今後、可能性の残っているTシール(RCCパネル間をつなぐ部材)についてレーダ照射試験を実施する予定である。
    • (エ)破片回収活動
       現在行われている広範囲な破片捜索は、4月30日までに調査対象区の全てを完了し、作業を終了することをCAIBとして承認した。

2. CAIB公聴会

<今後の予定>

  1. 4月24日(米国時間)にテキサス州クリアレイク地区ヒルトンホテルにおいて、第五回CAIB公聴会(第1部、第2部)が開催される予定。
  2. 5月6日(米国時間)同ホテルにおいて、第六回CAIB公聴会が開催される予定。

3. NASAの事故調査活動

 NASAは、4月15日(米国時間)下記情報を公開した。

  • テキサス州東部の捜索はまもなく終了し、州西部の捜索に移行する予定。現在、水中の捜索は98%、地上での捜索は78%、空からの捜索は80%が完了している。
  • これまで7万点以上かつコロンビア号機体重量の36%にあたる破片がケネディ宇宙センターへ運ばれている。
  • テキサス州ラフキンに設置されている破片回収作業のフィールドセンターは5月初旬に撤収され、ジョンソン宇宙センター内に設置される予定のコロンビア号破片回収事務所(Columbia Recovery Office)に指揮系統を移行する。

RCCパネルおよびクローズアウトパネルの位置