プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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スペースシャトル「コロンビア号」の事故調査状況について

平成15年4月23日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. CAIBの事故調査活動

  1. 4月16日(日本時間)の宇宙開発委員会での報告以降、現時点で、コロンビア事故調査委員会(CAIB)及び米国航空宇宙局(NASA)より、事故原因が特定されたとの発表はされていないが、4月17日(米国時間)、CAIBよりNASAに対してシャトル打上げ再開に向けた1回目の勧告がなされた。(「2.NASAへの勧告」参照)
  2. 4月23日早朝(日本時間)、CAIBが定例の記者会見を行った。
  3. コロンビア号左翼RCCパネルの破片の落下位置についてRCCパネルNo.6、7、8、9毎に識別したところ、No.9が最初に落下していることが判った。これは、左翼の破壊がRCCパネルNo.9付近から始まったということを裏付けるデータとして注目している。(下図参照)
  4. コロンビア号左翼RCCパネル破片発見場所分布

  5. 飛行2日目にシャトルから離れていった物体を特定することを目的として、Tシールに対するレーダ照射試験を行った。この試験結果およびTシールの大気圏突入時の挙動の解析結果が、地上からの観測データと一致した。引き続き、RCCパネルの一部について解析を実施する。
  6. 今後のCAIBとしての報告書作成までの基本的な流れは以下の通り。
    (ア)デブリ回収作業:4月30日まで
    (イ)回収した破片、データレコーダ等の分析:〜5月上旬(あと2、3週間)
    (ウ)RCCパネルへの断熱材衝突試験:5月中旬開始〜5月末までの見込み
    (エ)調査結果の評価、報告書作成開始:5月初め
  7. 4月17日(米国時間)に1回目の勧告(「2.NASAへの勧告」参照)をNASAに行ったが、4、5件の追加勧告を検討中である。
  8. 報告書には以下の4項目が含まれる予定。 (ア)直接の事故原因(direct cause)
    (イ)事故原因を導いた要因(contributing factors)
    (ウ)根底にある原因(root cause):予算的背景及びNASA文化等
    (エ)重大な観察事項(significant observation)

2. NASAへの勧告

 4月17日(米国時間)、CAIBは、これまでの調査で判明したシャトルプログラムに関するいくつかの事実事項を基に、NASAへ1回目の勧告を2件行ったことを発表した。

【勧告1】
飛行再開の前に、NASAは全てのRCCシステム部材の構造的な強度が保たれているかどうか総合的な検査プランを開発し、実行すべきである。この検査プランには最新の非破壊検査技術を取り入れるべきである。
【勧告2】
飛行再開の前に、NASAは米国国家地図作成局(NIMA)との協定を改訂し、軌道上のシャトルの撮影を各シャトルフライトの標準的な要求とすべきである。

 また、CAIBは、想定される事故原因、事故の原因となった要素、気付き事項および、さらなる勧告事項を盛り込んだ最終報告書が本年晩夏に発表される予定であるとしている。

3. CAIB公聴会

<今後の予定>

  1. 4月23日(米国時間)にテキサス州クリアレイク地区ヒルトンホテルにおいて、第5回CAIB公聴会(第1部、第2部)が開催される予定。
  2. 5月6日(米国時間)同ホテルにおいて、第6回CAIB公聴会が開催される予定。