プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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スペースシャトル「コロンビア号」の事故調査状況について

平成15年6月25日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. CAIBの事故調査活動

  1. 6月18日(日本時間)の宇宙開発委員会での報告以降、現時点で、コロンビア事故調査委員会(CAIB)及び米国航空宇宙局(NASA)より、事故原因が特定されたとの発表はされていない。現在CAIBは、最終報告書をとりまとめる作業を中心に行っている。
  2. 6月25日(日本時間)にワシントンDCにて定例記者会見が行われた。
    • ほとんどの人員がワシントンDCに移り、現在報告書に盛り込む内容についての議論を進めている。正確に書くのは非常に難しい作業のため、後1ヶ月かかる見込み。
    • CAIBからシャトル再開に向けての課題と勧告は既にいくつか出しているが、これからも勧告を出す予定である。勧告の多くはNASAの理解と近いものであり、既に技術検討を開始しているが、いくつかはNASAと違った勧告もある。
    • 5月7日(日本時間)の記者会見において再突入時の詳細なシナリオを発表したが、現在同様に打上げ時の詳細シナリオについても作成中である。このシナリオはほぼ完成している状況であり、NASA側と統一見解に近い段階にある。
    • 将来のシャトル飛行において、このボルトキャッチャー及びボルトが機体に衝突する可能性があるため、何らかの対策をとるよう勧告する予定。
    • RCCパネル#8周辺に亀裂を生じたことを裏付ける要素として以下がある。
      • RCCパネル#8-#10付近の部品の破片がほとんど未回収であったことから、この部分が最初に焼き尽くされた可能性が高いことがわかる。
      • RCCパネル#8-#10付近に鉄とニッケルの溶けたスラグが発見されており、未回収の#8-#10のスパナー・ビーム(翼の補強用桁)等が溶けたものと推測できる。
      • RCCパネル#8の破片が空中分解の初めに落ちた地域と後に落ちた地域両方に分布している。
      • これらのことから、RCCパネル#8, #9の周辺に亀裂が生じ、そこから高熱ガスが侵入し、翼の内側の温度を上昇させたと推定できる。
  3. 全ての情報がシャトル事故の原因として、断熱材衝突が最も疑わしいことを示している。
  4. RCCパネルの実物に対する第2回目の断熱材衝突実験を7月7日に実施すべく準備中。実際のRCCパネル#8-#10に衝撃を与えることは、事故の再現に限りなく近いものとなる。
  5. 6月25日(日本時間)に現在行われている断熱材衝突試験の状況について記者会見が行われた。
    • RCCパネルに対する衝突試験を行う前に、ファイバーグラス製パネルを用いた試験が6月16日、18日(米国時間)に行われた。
      • 6月16日の試験結果から翼前縁部パネル#6に断熱材が衝突した衝撃はパネル#8まで影響を及ぼしていることがわかった。
      • 6月18日の試験結果から断熱材の角が衝突するよりも一辺が衝突した方が強い衝撃を与えることがわかった。
      • 破片の回収状況から、RCCパネル#8下部に亀裂が発生した可能性が高いことがわかった。
      • 以上のことから、最終試験では下記の条件で衝突実験を行うこととする。
        • パネル#8下部に断熱材の一辺を衝突させる。
        • 衝突時に3枚のパネルは一体となって影響を受けるため、RCCパネル#8-#10を用いる。
    • 今後の断熱材衝突試験の予定
      • 6月27日または30日(米国時間):ファイバーグラス製パネル#8-#10を用いた試験の実施
      • 7月7日(米国時間):RCCパネル#8-#10を用いた試験の実施

RCCパネルおよびクローズアウトパネルの位置