プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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スペースシャトル「コロンビア号」の事故調査状況について

平成15年7月2日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. NASAへの勧告

 コロンビア号事故調査委員会(CAIB)は6月27日(米国時間)、これまでの調査で判明したいくつかの事実を基に、スペースシャトル・耐熱システムの軌道上での点検及び修理機能を整備するよう、米国宇宙航空局(NASA)へ対して、最終報告書の発表に先立つ、3件目の事前勧告を行った。

【勧告3】

  • ISSミッションのフライトについては、飛行再開までに、ISSの近傍及びISSドッキング中に利用可能な機能を活用して、タイルやRCCなど広範囲に及ぶ耐熱システムの損傷の点検及び緊急修理の機能を開発すること。
  • ISSミッション以外のフライトについては、飛行再開までに、幅広い損傷シナリオに対する自立した(ISSには頼らない)点検及び修理機能を開発すること。
  • 全てのミッションにおいて、適切なシステム・機能を活用し、耐熱システムの軌道上での点検を打上げ後早期に実施すべきである。
  • 最終的な目標として、全てのスペースシャトル・ミッションに対し、スペースシャトルの、1)ISSミッションの軌道への未到達、2)ISSとのドッキング失敗、3)ISSとの分離時あるいはその後の損傷、という可能性を解決するための自立した機能をもつこと。
<CAIB公開情報>


 CAIBは7月1日(米国時間)、これまでの調査で判明したいくつかの事実を基に、スペースシャトルの打上げ及び上昇中の映像取得を強化するよう、NASAへ対して、最終報告書の発表に先立つ、 4件目の事前勧告を行った。

【勧告4】

  • 打上げから少なくとも固体ロケットブースターの分離まで、いかなる打上げ方位角においても、スペースシャトルの最低3方向からの有効な映像を提供可能となるよう、撮影システムの強化を図ること。将来の打上げにおいて、これらの映像取得を打上げ条件に含めること。
  • 船や航空機等の移動体を利用して、上昇中のスペースシャトルについて更に映像を取得することを検討すること。
<CAIB公開情報>

 ※この事前勧告は最終報告書に盛り込まれる予定。また、最終報告書は7月下旬に発行される予定。

参考 4月17日付けNASAへの勧告

 4月17日(米国時間)、CAIBは、これまでの調査で判明したシャトルプログラムに関するいくつかの事実事項を基に、NASAへ1回目の勧告を2件行ったことを発表した。

【勧告1】

飛行再開の前に、NASAは全てのRCCシステム部材の構造的な強度が保たれているかどうか総合的な検査プランを開発し、実行すべきである。
この検査プランには最新の非破壊検査技術を取り入れるべきである。

【勧告2】

飛行再開の前に、NASAは米国国家地図作成局(NIMA)との協定を改訂し、軌道上のシャトルの撮影を各シャトルフライトの標準的な要求とすべきである。


出典:平成15年4月23日開催の宇宙開発委員会報告資料から