プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

宇宙関連材料強度データシートについて

平成15年2月26日

物質・材料研究機構
宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

はじめに

H-II 8号機の事故調査時の議論
  • 破断面からの破壊モード推定
     - 疲労破壊 / 脆性破壊
  • 破壊応力の推定-材料データ
  • 破壊した応力と予測される実環境応力
  • 実際に使用している材料による極低温 環境下の強度特性と破面のデータがない
材料データ整備の必要性

原因究明時使用したデータ

信頼性向上のために

宇宙用機器の信頼性向上のためには....
  • 設計、製造、検査、試験段階での基盤データの充実
  • 信頼性解析、シミュレーション等評価技術の充実
    より精度の高い構造設計余裕を把握し、製造・検査や構造設計の改善への反映
材料データベースの整備が重要(必要不可欠)

データシート整備の意義

信頼性を向上させるデータシート

-大型鍛造材(φ180)薄板圧延材と異なる特性を示す-

SEM破面観察

Ti-5Al-2.5Sn ELIの4K疲労破面

-30%疲労寿命低下は材料の結晶粒径に依存するき裂起点の平坦部の影響

-ストライエーションは疲労の決め手-

Alloy 718の高温疲労特性

結晶粒の大きさが耐久限に影響する
-実用材Alloy 718は大型鍛造Ti-5Al-2.5Sn ELIと同じ-

引張強度で規格化したAlloy718超合金の
高温高サイクル疲労寿命特性

内部破壊を示す疲労破面

NIMS構造材料データシート

-クリープと疲労データシートは30年以上の実績-

  • 10万時間(10年間)クリープ ; 48冊
  • 1010回(3年間)疲労   ; 90冊
  • 欧米でも基盤データ
  • 材料規格の制定と改定
新たに
  • 宇宙関連材料[極限環境
     (極低温&高温)強度特性]  ; 2冊
  • 国内で初めて
  • 世界的に貴重
  • 宇宙三機関と緊密な連携
  • 10年腐食            ; 1冊

データシート出版計画

材 料内 容時期
Ti-5Al-2.5Sn ELI 大型鍛造材 疲労、破壊靱性、シャルピー、引張 2003/2
Alloy 718 EB, 955ST 低サイクル疲労、破壊靱性、引張 2003/2
Ti-5Al-2.5Sn ELI 小型鍛造材 疲労、破壊靱性、シャルピー、引張 2004/1
Alloy 718 EB 高サイクル疲労、破壊靱性、引張、da/dn 2004/3
Alloy 718 鍛造・鋳造材 疲労、破壊靱性、シャルピー、引張 2005/3

未来に向けて