プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

「こだま(DRTS)」と「みどりII(ADEOS-II)」による
初めての衛星間通信実験について

平成15年2月26日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 報告事項

平成15年2月20日に環境観測技術衛星「みどりII(ADEOS-II)」で取得した画像データをデータ中継技術衛星「こだま(DRTS)」経由でデータ伝送することに成功した。(衛星間通信実験)

下に「こだま」経由リアルタイムで取得したグローバルイメージャ(GLI)の画像を示す。


クリックすると拡大表示します。

「こだま」を経由してリアルタイムで取得した「みどりII」観測画像
2月20日 日本時間の午後2時頃の雪をかぶったチベット高原からインド亜大陸、セイロン島にかけての広い範囲が観測された。グローバルイメージャ(GLI)の3つの可視光観測波長帯、660ナノメート ル(チャンネル22)、545ナノメートル(チャンネル21)、460ナノメートル(チャンネル20)のデータをそれぞれ赤、緑、青色に割り当てた、目で見た状態に最も近い合成画像である。

2. 成果

世界最先端のKa帯周波数衛星間通信技術を駆使したデータ中継機能を初めて実証した。

3. 衛星間通信の対象衛星


データレート
みどりII(ADEOS-II) 66Mbps  
陸域観測技術衛星(ALOS) 278Mbps 平成16年 夏期
きぼう(JEM) 100Mbps 平成19年

こだま/みどりーII衛星間通信実験(観測データ伝送)の概念図





参考: 「こだま」と「みどりII」との衛星間通信:リンク確立から観測データ伝送までの手順

  1. 「こだま」の衛星間通信アンテナを、APE(アンテナ駆動制御電子回路)によりプログラム追尾モードとし「みどりII」へ指向。
    (あらかじめ「こだま」には、「こだま」と「みどりII」の軌道情報を地上局から送信)
  2. 「みどりII」のIOCS(衛星間通信システム)ハイゲインアンテナを、APEによりプログラム追尾モードとし「こだま」へ指向。
    (あらかじめ「みどりII」には、「みどりII」と「こだま」の軌道情報を地上局から送信)
  3. 「こだま」からKaバンドフォワードビーコンを送信。
  4. 「みどりII」が「こだま」のKaバンドフォワードビーコンを受信し「こだま」を捕捉。RF(自動)追尾モードへ移行。
  5. あらかじめ「みどりII」に宇宙通信所から指令(コマンド)した計画にもとづき、「こだま」にKaバンドリターン信号(信号の内容はPNコード)を送信。
  6. 「こだま」がこのKaバンドリターン信号を受信し、RF(自動)追尾モードへ移行。
  7. 「みどりII」からのKaバンドリターン信号の内容をあらかじめ設定していた計画にもとづき画像信号に切り替え「こだま」に伝送。
  8. 「こだま」はこの画像信号を地上へのフィーダリンク回線を介して、鳩山、筑波の地上局で受信。