プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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森林火災モニタ試作システムの公開について

平成15年5月30日

宇宙開発事業団
農林水産技術会議事務局筑波事務所
独立行政法人 森林総合研究所

 宇宙開発事業団(NASDA)及び農林水産技術会議事務局筑波事務所(MAFFIN)は、「森林火災モニタ試作システム」をインターネットで公開することといたしました。このシステムは、平成13から14年度にかけて両者の共同研究協力協定において作成してきたものです。
 本試作システムは、東南アジアの森林火災の多発地帯であるタイ周辺地域をターゲットとして、NOAA、JERS-1(ふよう1号)等の複数の衛星データから得られた森林火災に関する情報(火災危険度、火災位置情報等)を地図上に重ね合わせて表示するもので、それによって火災の状況監視を行うことが有効であるかを評価することが試作の目的です。
 これまで、森林総合研究所が独自に開発を実施してきた衛星データによる森林火災を集中観測するためのシステムを公表してきましたが、今回はこれをもとに森林総合研究所による新たな火災危険度データを用いてMAFFINがデータベース整備を行い、NASDAがインターネットと地理情報システム(GIS)の「標準化技術」を採用してシステム化を行いました。これにより、関連するそれぞれの火災情報と地理情報(海岸線、国境、道路、河川等)を一つの地図上にリアルタイムに重ね合わせ、火災の状況把握を行うことができるようになりました。タイのような火災発生から鎮火まで迅速な状況把握が必要な地域における情報提供に非常に有効であるとともに、標準化技術を用いているため、将来他の様々なデータや地域を対象として拡張することが可能です。
 どなたでも、下記ホームページから複数の衛星データによるタイ地域周辺の火災情報と地理情報を同じ地図上に重ね合わせて表示し、また重ね合わせた画像を無償で取得することができます。現在2002年3月分までのデータが利用可能ですが、今後順次新しいデータを追加する予定です。さらに、現在運用中のADEOS-II等のデータについても本システムへの導入や、森林火災だけではなく洪水や干ばつ監視等の他の環境・災害分野への応用、さらには標準化技術を用いているので他の関連する機関との協力についても検討していく予定です。

森林火災モニタ試作システム
http://fire.hq.nasda.go.jp/fms/index.php

森林火災モニタ試作システムの操作及び画像の取得について

 今回構築した森林火災モニタ試作システム及びホームページの概要について、簡単に説明します。

1. 森林火災モニタ試作システムの概要

 本試作システムは、NASDAと筑波事務所の共同研究協力協定において、複数の衛星データから森林火災に特化して抽出したデータをデータベース上に格納し、インターネットと地理情報システム(GIS)の標準化技術であるOpen GISと呼ばれる技術を用いてインターネットから標準のWebブラウザで公開するためのシステムです。

 森林火災データの内容
衛星(センサ)データ
NOAA(AVHRR) 火災危険度、火災位置情報
DMSP(OLS) 火災位置情報
JERS-1(SAR) タイ地域周辺モザイクデータ(地表概況の把握)

 他、行政界情報(海岸線、国境、県境、道路、河川)

 データ保存期間
火災危険度(10日毎)、火災位置情報(日毎):2001年1月1日〜2002年3月(順次追加)タイ地域周辺モザイクデータ:1997年1〜2月分のデータを1つの絵にモザイク加工
 データ領域
北緯4.85°〜21.15°、東経96.95°〜106°

2. 森林火災モニタ試作システムホームページ概要

 本ホームページは、タイ地域周辺における森林火災に関する複数の衛星から得られたデータの検索、画像の重ね合わせ、及びダウンロードを可能としたホームページであり、利用者がホームページ上で日付等を指定し、検索することができます。(図1参照)
 なお、ダウンロードした画像及びデータについては、無償で利用できます。
 以下利用方法の概要です。

  1. 森林火災モニタ試作システムにウェブブラウザからアクセスし、日付指定により最新の火災危険度データと火災位置データが重なった画像を表示し、火災の有無の確認や火災発生状況を確認します。それぞれのデータはレイヤーボックスから指定可能です。
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  3. 注意すべき地域を拡大し、JERS−SAR画像や行政界情報を重ねあわせて、火災の発生している地形の把握、位置の確認します。
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  5. 正確な火災位置の確認のために火災位置の緯度経度情報を別ウィンドウに表示することができます。また、過去の火災状況確認をするため、日付指定によるデータ検索も可能です。
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  7. 記録を残す場合は、表示画像をJPEGフォーマットで保存することができます。また、火災位置の緯度経度情報はテキスト形式で保存可能です。
図1 森林火災モニタシステム使用法の説明
図1 森林火災モニタシステム使用法の説明
図1 森林火災モニタシステム使用法の説明 注)火災位置情報スポッデータについては、校正及び専門家の知識による検証が必要です。