H-IIA標準型を用いた打上げサービス事業の実施に係る基本協定
平成15年2月7日
宇宙開発事業団 理事長 山之内 秀一郎
三菱重工業株式会社 取締役社長 西岡 喬
宇宙開発事業団(以下「事業団」という。)と三菱重工業株式会社(以下「三菱重工」という。)は、文部科学省が定めた「H-IIA民営化作業チーム中間取りまとめ」(平成14年8月28日付け)を踏まえ、H-IIA標準型を用いた打上げサービス事業(以下「打上げサービス事業」という。)の実施に関して、次のとおり協定を締結する。
- 本協定は、我が国の基幹ロケットとして位置付けられるH-IIA標準型について、飛行実証を通して設計を確定した技術を事業団から三菱重工に移転し、三菱重工が効率的かつ迅速な経営手法によるコスト低減並びに製造責任の一元化による品質向上を行ったうえで打上げサービス事業を円滑に実施するために必要な基本的事項を定めることを目的とする。
- 事業団は、平成16年度末までに計画されているH-IIA標準型の打上げを行い、飛行実証を通して設計を確定したうえで、H-IIA標準型の技術を三菱重工へ移転する。また、事業団は、平成16年度末までに計画されているH-IIA標準型の信頼性向上等により得られた技術についても、飛行実証を通して設計を確定したうえで、これを三菱重工へ移転する。
なお、事業団は、随時、三菱重工の要請により、移転した技術に関連する情報を三菱重工に提供する。
- 三菱重工は、移転された技術を利用し、H-IIA標準型の製造及び組立を含む打上げサービス事業を、4.に定める条件の下、実施する。この場合、三菱重工は事業団の施設設備を使用することができる。
- 事業団は、事業団の人工衛星をH-IIA標準型を用いて打ち上げる場合、三菱重工から打上げサービスを調達する。ただし、安全確認業務、地上安全確保業務、飛行安全確保業務及びY-0カウントダウン時の総合指揮業務(以下「安全確保に係る業務」という。)並びにH-IIA標準型の飛行データの取得に係る業務については自ら実施する。
また、事業団は、三菱重工からの受託打上げを行う場合、打上げサービス事業のうち、安全確保に係る業務及びH-IIA標準型の飛行データの取得に係る業務を実施する。
なお、本項の業務を事業団が実施することによって、打上げサービス事業に係る三菱重工の責任が減免されるものではない。
- 三菱重工は、打上げサービス事業の実施にあたり、情報管理及び機微技術の不拡散について必要な措置を講ずる。
- 三菱重工は、移転された技術の変更を行うことができる。ただし、主要技術の変更については、基幹ロケットとしての自律性確保の観点から事業団の審査を受ける。主要技術以外の変更については、三菱重工は事業団へ通知する。
- 三菱重工は、打上げサービス事業において発生する不具合その他の異常に対して、原因究明を行い必要な措置を講ずる。事業団は、三菱重工の要請により、原因究明に協力する。
- 三菱重工は、打上げサービス事業に用いるH-IIA標準型の機体に「日章旗」の図形及び「NIPPON」の文字を、従前の例により、表示する。
- 事業団及び三菱重工は、技術移転、施設設備使用、打上げサービス調達、受託打上げ及び連絡会議設置等、本協定の実施に必要な事項について、契約その他の方法により別途定める。
- 事業団及び三菱重工は、協議のうえ、本協定を変更又は終了することができる。ただし、相手方に重大な義務違反があった場合、事業団又は三菱重工は、書面による通知をもって本協定を解約することができる。また、三菱重工が「H-IIA民間移管対象企業の募集について」(平成14年10月23日付け)における応募資格又は選定基準への適合性を喪失した場合、事業団は、書面による通知をもって本協定を解約することができる。
- 本協定の有効期間は、締結の日から平成21年3月31日までとする。ただし、相手方に対し書面により別段の申し出をしない限り、本協定は同一条件をもってさらに1年間延長されるものとし、以後同様とする。
- 事業団及び三菱重工は、本協定の内容について疑義が生じたとき、又は、本協定に定めのない事項が生じたときは、協議する。
以上の協定の証として、本協定書2通を作成し、事業団及び三菱重工双方の代表者が記名押印のうえ、それぞれ1通を保持する。