宇宙開発事業団
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
H-IIAロケットに固体ロケットブースタを4本搭載したH2A204型の開発及び信頼性向上に関わる一連の開発を実施中である。
これらの開発の一環として、LE-7Aエンジン燃焼試験及び固体ロケットブースタ(SRB-A2)の地上燃焼試験を平成15年4月に種子島宇宙センターにて実施した。
LE-7Aエンジンの信頼性向上の一環として、液体酸素ターボポンプ(OTP)の振動対策、ノズルスカートの長ノズル化を施したLE-7Aエンジンについて、技術データ取得を目的とした燃焼試験を平成15年4月に種子島宇宙センターにて実施した。
改良型液体酸素ターボポンプ(OTP)インデューサについて、吸い込み特性及び振動特性を確認するため、エンジンのバラツキを加味した作動領域で運転を行うと共に、フライトで想定される minNPSHより低い入口条件での特性確認を行った。
また、再生冷却型長ノズルを装着したエンジンによる横推力、性能の確認を行った。
従来型インデューサでは回転同期の旋回キャビテーションの発生により振動が増加するケースがあり、インデューサの追加工、交換等により対策を実施しているが、改良型インデューサでは旋回キャビテーションが殆ど認められず、かつ振動の増加も見られなく、良好な結果であった。
また、吸い込み特性はNPSH30m以下において揚程の低下が無く、良好であることを確認した。
全試験を通じて約5ton程度である事を確認した。
(フィルム冷却型長ノズル(旧長ノズル)では約14ton)
エンジンの性能は予測した性能カーブ上であることを確認した。
試験日時 | 試験秒時(秒) | 確認NPSH(m) | |
---|---|---|---|
1 | 4月 4日(金) | 50 | - |
2 | 4月 8日(火) | 150 | 28 |
3 | 4月11日(金) | 80 | 32 |
4 | 4月15日(火) | 135 | 30 |
5 | 4月19日(土) | 80 | 33 |
6 | 4月22日(火) | 115 | 27 |
※フライトで想定されるminNPSH33.7m
H2A204に適した推力特性に変更すると共に、信頼性向上のためノズル形状を変更(局所エロージョン対策として、スロート出口圧力を低減させるため、コニカルノズルからベルノズルに変更し、スロート出口径を拡大した。)したSRB-A2のプロトタイプモデル(PM)地上燃焼試験を平成15年4月18日に種子島宇宙センターにて実施した。
○モータの推進特性は予測と良く一致し良好であることを確認した。
項 目 | 実測値 | 予測値 |
---|---|---|
最大燃焼圧力[MPa] | 10.9 | 11.1 |
最大推力(海面上)[kN] | 2110 | 2130 |
全燃焼時間[s] | 114 | 115 |
○局所エロージョンの状況
現行SRB-Aと比較すると全般的に平滑、かつ量は約半分に低減しており、対策(ベルノズル化)の効果を確認した。
LE-7Aエンジン: | 平成15年5月末〜7月 長秒時耐久性試験(2000秒、10回程度) |
SRB-A2: | 平成15年12月頃 認定型モデル(QM)地上燃焼試験 |