プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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平成14年度 宇宙開発ベンチャー・ハイテク開発制度成果報告及び
平成15年度実施概要について

平成15年4月9日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

宇宙開発ベンチャー・ハイテク開発制度の概要(平成14年度)

目的:
ベンチャー企業の有する魅力的なアイディアやユニークな技術を将来の宇宙開発に活かしていくこと及びベンチャー企業が宇宙開発に積極的に参画することを通じた新技術創出。(平成12年度から実施)
研究形態:
宇宙開発事業団と航空宇宙技術研究所の両機関と中小ベンチャー企業との共同研究
研究区分:
提案内容の段階に応じて戦略研究(研究費1000〜2000万円程度)と芽出し調査研究(研究費100万円程度)の2種類。
研究の実施:
○平成14年4月〜5月末、4分野(熱、マイクロ化、材料・部品、誘導制御技術)を設定し、研究テーマを公募。併せて、全国8ヶ所で技術交流会を開催。
○平成14年6月に、審査・採択、契約手続きを経て、同年7月から共同研究開始。
○平成15年2月末、研究成果取りまとめ。
成果の取り扱い:
宇宙機関及び中小ベンチャー企業の共有とし、貢献度に応じて持ち分を決定。

宇宙開発ベンチャー・ハイテク開発制度の採択テーマ(平成14年度)

戦略研究テーマ<5件>

No 機関名 提案名 都道府県名
1 (株)大日電子 高精度シリコンマイクロ3軸ジャイロ・3軸加速度計システムの開発 大阪府
2 (株)エー・エム・テクノロジー 炭素繊維とアルミニウムの複合材による薄型パネルの開発 静岡県
3 クラスターテクノロジー(株) 姿勢制御エンジン用セラミック触媒の開発 大阪府
4 (株)アオキ 小型衛星用の複合機能構造体の試作 大阪府
5 (株)リベックス 超小型位置・力センサの開発 京都府

芽出し研究テーマ<16件>

No 機関名 提案名 都道府県名
1 (有)刀水企画 マイクロチャネル型ヒートシンクの試作 茨城県
2 (有)井藤電機鉄工所 音像の頭外定位を可能にするヘッドホン型通信端末の開発 三重県
3 (有)マサミ化学 軽量新材料の開発 神奈川県
4 (株)エヌティーアイ DRLチップの宇宙開発における応用可能性の検討 三重県
5 (株)エックスレイ プレシジョン 惑星・恒星の結晶性化合物非破壊分析システム用X線管の開発 京都府
6 (株)ミレニアムゲートテクノロジー 精密マイクロ・チャンネル型ヒートシンクの開発 大阪府
7 (有)ベンチャーフォーラム三重 2次元振動子のマイクロジャイロへの応用及びその放熱の研究 三重県
8 シーエムシー技術開発(株) カーボンマイクロコイル(CMC)を活用した宇宙開発技術への応用研究 岐阜県
9 寺田薬泉工業(株) 超微粒子耐熱強靭性セラミック材料の研究 京都府
10 アーベル・システムズ(株) 誘電体アレーアンテナを用いた発光ダイオードの発光特性改善技術の開発 京都府
11 (株)アドニクス 小型ワイヤレスデータ収集端末機器の開発 東京都
12 (株)宇宙船 小型衛星用流体ジャイロの開発 東京都
13 (有)先端技術研究所 プラズマ生成用オンボード型マイクロ波パワーソースの開発 北海道
14 (株)アストロリサーチ 超小型リアクションホイールの研究 神奈川県
15 (有)オービタルエンジニアリング フレキシブル・ラジエータ 神奈川県
16 (株)エムアイエム エンジニアリング ガイアドライブを利用した宇宙空間におけるフリクションダンパー 神奈川県

宇宙開発ベンチャー・ハイテク開発制度の受賞テーマ(平成14年度)

第3回 宇宙ベンチャー大賞

超小型位置・力センサの開発((株)リベックス・京都府)
  • 超小型のコイルと可動コアによる位置検出センサを開発した。
  • 出力特性の確認、超小型コイルの試作などを実施した。
  • 宇宙機用各種アクチュエータ、可動部の位置検出への適用を目指すほか、力センサへの応用も可能。
  • 自動車、ロボット、介護機器などの位置・力センサとしての応用も期待される。

宇宙開発ベンチャー・ハイテク開発制度の受賞テーマ(平成14年度)

第3回 宇宙ベンチャー優秀賞

カーボンマイクロコイル(CMC)を活用した宇宙機システム用高性能マイクロアンテナの開発
(シーエムシー技術開発(株)・岐阜県)


  • CMCの電波吸収特性に着目し、アンテナ素子への応用可能性を検討した。
  • GHz帯のアンテナ特性を示唆するデータを得た。
  • 小型衛星、移動体端末、CS/BS受信機などの超小型アンテナへの応用が期待できる。

第3回 宇宙ベンチャー審査員特別賞

惑星・恒星の結晶性化合物非破壊分析システム用超小型X線管の開発
((株) エックスレイ プレシジョン・京都府)


  • 直径4mm、長さ5cmの超小型X線管の試作、原理確認、評価を実施した。
  • 鉱物資源等の結晶性化合物非破壊分析システム構築の要素技術であり、軌道上でのその場分析、惑星探査機への搭載のほか、地上用としては、医療用、微小内部欠陥X線検査 などの小型化に貢献することが期待できる。

宇宙開発ベンチャー・ハイテク開発制度 過去3年間の成果

  • 平成12〜14年度の3年間の応募総数は、戦略研究69件・芽出し研究92件であり、研究件数は、戦略研究14件・芽出し研究45件。
  • 採択された案件の中で、「超小型ギアポンプシステムの開発(平成12年度)」が、将来の宇宙用基盤技術として応用が期待されることから、当事業団との直接の共同研究に発展している。
  • また、「衛星監視用点図グラフィックディスプレイの開発(平成12年度)」は、実際の衛星運用に使用されたのみならず、民生分野向けに製品化され、教育機関(学校・図書館)での利用などに役立っている。
  • また、民生技術の流れにのり、民生/宇宙の両分野での目標をもった研究開発を進め、MEMSジャイロ/加速度計、超耐熱セラミックス、光触媒材料など世界最先端を含む技術を獲得した。
    ※MEMS: Micro Electro Mechanical System(マイクロマシン技術)

超小型ギアポンプシステム

衛星監視用点図グラフィックディスプレイ

平成15年度 宇宙開発ベンチャー開発制度 実施概要

  • 平成14年度までの成果を踏まえ、今年度は、新機関における重点化項目である、宇宙への参加を容易にする仕組み「オープンラボ」の一環として、「宇宙開発ベンチャー制度」を実施する。
  • なお、今年度より、より利用しやすい制度運営を目指して、以下の3点について改善する。
    (1) コーディネーション活動の強化
    技術コーディネーターによる事前相談、ニーズとシーズのマッチング活動及びコーディネート活動を積極的に実施する。
    (2) 応募対象者の拡大
    主として、中小・ベンチャー企業を対象とするが、優れた技術シーズを持つ大企業社内ベンチャー、研究所などにも門戸を広げる。
    (3) 募集分野の拡大
    4分野に加え、宇宙航空分野における利用技術など範囲を広げて、利用開拓を進める。
    概要: 中小・ベンチャー企業などとの共同研究を通じて、優れた民生技術、独創的なアイディアを宇宙分野に応用化するプログラム
    募集分野: マイクロ化技術/材料・部品技術/誘導制御技術/熱技術
    研究期間: 平成15年6月中旬〜平成16年2月末
    研究費: 戦略研究:1000〜2000万円
    芽出し調査研究:100万円
    応募締切: 平成15年5月30日(金)

平成15年度 宇宙開発ベンチャー開発制度 募集テーマ一覧

No 募集分野 概要

小区分
1 マイクロ化技術 超小型コンポーネント、部品 50〜200g程度の人工衛星構成部品の開発(GPS受信機、展開機構、ホイール、通信機器、データ処理系、カメラ等)
IC等の少量多品種生産技術 特定用途向けの少量多品種ICの開発に必要な電子ビーム露光技術、マイクロファクトリー等
マイクロマシン技術 マイクロマシン技術(Micro Electro Mechanical System;MEMS)を用いた小型光スキャンニング素子および光波面制御素子
2 材料・部品技術 ナノ・テクノロジー  人工衛星等の小型・軽量化、省エネルギ化、高性能・高機能化、長寿命・高信頼性化等への寄与が期待される、ナノ・テクノロジーの適用により自己修復性等の画期的な特性を付与した、部品・材料等の開発
先進複合材料 将来型輸送系に必要な金属材料に代わり得る軽量材料の開発
駆動・展開確認技術 リモートコントロールする機器の簡易・軽量な駆動・展開確認技術の開発
3 誘導制御技術 小型/高性能誘導制御機器 超小型ジャイロ、加速度計、恒星センサ、GPS受信機などの開発
ランデブドッキング技術 ランデブセンサ(測距センサ、画像センサ)、捕獲機構等の研究
宇宙ロボット技術 視覚センサ、エンドエフェクター、ローバ、パターン認識技術などの開発
4 熱技術 マイクロ・チャンネル型ヒートシンク 多様なパターンの耐圧細径冷媒流路を有するヒートシンクの開発
超軽量ラジエータ 細径冷媒流路を有する軽量かつ熱伝導・放射性に優れる超軽量ラジエータの開発
小型・軽量コンプレッサ 耐久性、信頼性に優れた小型・軽量コンプレッサの開発