プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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「きぼう」船内実験室の米国出荷について

平成15年4月9日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1.経緯

(1)2月17日までに「きぼう」の統合システム試験を終了。
(2)平成15年2月19日開催の宇宙開発委員会(注)において、日本実験棟「きぼう」船内実験室と軌道上で結合する国際宇宙ステーション(ISS)本体側第2結合部(ノード2)のフライト実機同士を打上げ前に組合せる試験(MEIT-III:Multi-Element Integration Test-III)の概要及び「きぼう」船内実験室の米国出荷スケジュールを報告。
(注)「国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」船内実験室とISS本体側実機との組合せ試験(MEIT-III)について」(委8-3)

2.米国出荷にあたっての確認状況

(1)3月18日及び4月7日に、「きぼう」船内実験室の米国出荷前審査を実施。米国に出荷予定の「きぼう」船内実験室に関して、開発上の課題解決、不具合処置の妥当性、輸送計画、米国到着後の作業について技術的な評価を行い、米国へ出荷しても問題がないことを確認した。 表1に主な開発上の課題と得られた成果を示す。
(2)4月7日に、NASA・NASDA共同の船内実験室出荷前審査会(PSR:Pre-Shipment Review)(於:NASDA本社)を実施。NASA・NASDA共同のPSRにおいて、NASA・ケネディ宇宙センター(KSC)側も船内実験室の受け入れ準備が整っていることを確認した。
(3)NASAは、MEIT-IIIを予定通り平成15年8〜9月に実施する計画である。4月4日に、第2結合部の受領前確認審査会(FAR:Final Acceptance Review)(於:イタリア)をNASAが実施。(NASDAもオブザーバーとして参加)FARにおいて、MEIT-IIIで船内実験室と組み合わされる第2結合部フライト実機は、MEIT-IIIの実施に支障のないことを確認した。

3.今後の予定

下記のスケジュールで「きぼう」船内実験室を米国に向け輸送する。
4月11日  プレス公開
4月22日  「きぼう」船内実験室の輸送開始(つくば宇宙センター発)
5月 2日   横浜港発
6月初旬  米国・KSC到着/設置開始
8月〜9月  MEIT-III実施
MEIT-III終了後はMEIT-IIIの結果及び開発過程で識別された課題への対応等を反映させ、「きぼう」全体の開発完了確認を2004年2月頃に実施する予定。

表1.主な開発上の課題と得られた成果

主な開発上の課題得られた成果
十分な耐性と運用寿命 打上時及び軌道上の過酷な環境において15年間の運用寿命を有し、かつ隕石/デブリ等の防御手段として1cm以下のデブリに対し十分な非貫通確率を確保した宇宙構造体の製造技術を獲得。
搭乗員と地上との協調運用 各サブシステムの制御及びモニタを、地上及び軌道上搭乗員のラップトップコンピュータから実施することを可能にする通信制御技術を獲得。
人間が使い易いシステム 搭乗員による機器の保全、監視、制御を容易かつ安全に実施するための人間工学の発達に寄与。
コンピュータによる安全な運用 誤コマンドの送出に対応するための、独立した遮断機能を有するソフトウェア技術の獲得。緊急事態に対し、独立して自動的に安全化の図れるソフトウェア技術の獲得。
搭乗員の生命の維持 搭乗員の呼吸等による二酸化炭素の換気、温度・湿度の制御を可能とし、微小重力の影響下でも空気を滞留させない空気循環システムに係る技術の獲得。

MEIT-IIIの実施計画図(参考1)

MEIT-IIIの実施計画図(参考1)

「きぼう」とISSとの結合部(参考2)

「きぼう」とISSとの結合部(参考2)