本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
1. 経緯
- 民生部品・コンポーネント実証衛星(MDS-1)は平成9年度より開発に着手。
- 平成14年2月4日にH-?Aロケット試験機2号機により打上げ。
- 平成14年2月15日より定常段階に移行し、ミッション期間として予定していた一年間にわたり各ミッション機器のデータ取得・蓄積を実施。
- 平成15年2月12日に宇宙開発事業団社内において定常段階終了審査会を実施。
2. 定常段階における運用結果
定常段階終了審査会において下記内容の報告が行われた。
(1) 衛星バス
シャント温度のリミット値超過という問題は発生したが、適切な対処(注)の結果、要求される機能・性能は満足し、実験データを良好に取得可能な環境をミッション側に提供できた。また、静止トランスファー軌道の過酷な放射線環境(バンアレン帯を毎周回通過)の中においても、故障なく運用を継続している。
注:
シャントは余剰電力を消費する為の装置であり、太陽電池発生電力が予想以上にあったため、衛星の姿勢を約20°変更し発生電力を低下させた。
(2) ミッション機器
6つの実験装置は軌道上において不具合の発生もなく、正常に実験運用ができた。【下記『「つばさ」ミッション機器運用結果概要』参照】
3. 定常段階終了審査会における評価
上記の運用結果に関わる報告を踏まえ、審査会としての評価は以下の通りとなった。
- 静止トランスファー軌道の過酷な放射線環境の中において、衛星バスシステム及びミッション機器は故障なく運用できたことを確認した。
- 1年間の定常段階運用において所要のデータはすべて取得。
- 定常運用段階を終了し、後期利用段階に移行することは妥当。
- 得られた成果を今後の宇宙開発計画に生かしていくことが重要。
4. 後期利用段階の運用方針について
審査会において、定常段階終了後の後期利用段階の運用に関する以下の方針が示された。
宇宙環境計測の継続的実施、過酷な放射線環境における搭載コンポーネントの軌道上評価実験の続行による成果が期待できるため、当面1年程度の後期運用を行う。
5. 今後の予定
2月27日より後期利用段階へ移行する。