プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」船内実験室と
ISS本体側実機との組合せ試験(MEIT-III)について

平成15年2月19日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. MEIT-IIIの経緯

  1. 米国航空宇宙局(NASA)は1998年のNASA諮問委員会評価結果を踏まえ、軌道上不具合発生のリスクを低減させるために、「きぼう」船内実験室と、「きぼう」と軌道上で結合する国際宇宙ステーション(ISS)本体側第2結合部(ノード2)のフライト実機同士を打上げ前に地上で組合せる試験(MEIT-III:Multi-Element Integration Test-III)への参加を宇宙開発事業団(NASDA)に提案した。

  2. NASDAはMEIT-III実施を「きぼう」の軌道上組立・起動時のリスクを低減させるために技術的に不可欠と判断し、 「きぼう」開発試験の一環と位置付け、参加することとした。なお、外部有識者による評価(1999年)でもMEIT-IIIを実施すべきとの提言を受けた。

2. MEIT-III実施の目的・意義

 船内実験室(日本開発)、第2結合部(欧州開発)、米国実験棟(米国開発)は、互いのインタフェースを規定した文書、図面を基に並行して開発を行っているが、ヒューマンエラー(要求の解釈誤りや図面通りに製造されない等)やソフトウェア接続に起因する不整合が存在するリスクがある。船内実験室の最もクリティカルなイベントである軌道上組立・起動を確実に行い、不具合発生リスクを回避するために、打上げ前に実機同士を用いた試験の実施は不可欠。

3. MEIT-IIIの概要

 日本が参加するMEITーIIIは、「きぼう」の船内実験室のフライト実機、第2結合部フライト実機及び米国実験棟の模擬装置(実機は既に軌道上にて運用中)を組合せて平成15年8月下旬にNASA/ケネディ宇宙センター(KSC)で実施される。

 なお、既に軌道上に打上げられた要素はそれぞれMEITを実施し、軌道上リスクの回避を図っている。

3.1 MEIT-IIIの試験目的

  • 「きぼう」船内実験室、第2結合部及び米国実験棟間で配線ケーブル・ダクト等を結合して機能を確認
  • 宇宙飛行士が参加して初期起動手順を確認

3.2 MEIT-IIIでの主な確認項目

  1. 第2結合部の電力機器から船内実験室に安定して電力を提供できること。

  2. 米国実験棟の中枢コンピュータと船内実験室のコンピュータ同士が第2結合部を経由し、通信を確立できること。

  3. 「きぼう」軌道上組立時に第2結合部/米国実験棟から船内実験室の初期起動用コンピュータ、管制制御コンピュータ、冷却システム、環境制御システムを順次確実に起動できること。

  4. 宇宙飛行士の生命に危機を及ぼす火災や気圧低下等の異常事態発生時の警告警報が、短時間に「きぼう」船内実験室と他モジュール間で相互に伝達できること。

  5. 「きぼう」ロボットアーム操作用に使用するカメラ映像が、第2結合部を通して米国実験棟で処理され、船内実験室に伝達できること。

  6. 「きぼう」実験装置の実験データが大容量光ファイバー伝送システムにより第2結合部経由で、米国実験棟へ伝送できること。

  7. 第2結合部と船内実験室を接続する配線ケーブル・ダクト等が干渉なく結合できること。

4. 今後の予定

 NASA/KSCで実施するMEITーIIIに参加するため、「きぼう」船内実験室を平成15年4月下旬に米国に向け輸送を開始する。なお、船内実験室の輸送開始に際し、出荷前審査会を社内で実施し万全を期す予定。

主なスケジュール
3月中旬  出荷前審査会
4月下旬  「きぼう」船内実験室の輸送開始
6月初旬  米国到着/設置開始
8月下旬  MEIT-III開始
 

MEIT-IIIの実施計画図(参考1)

「きぼう」とISSとの結合部(参考2)