プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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日本実験棟(JEM)「きぼう」船内実験室と
国際宇宙ステーション本体側実機との
組合せ試験(MEIT-III)の実施結果について

平成15年9月17日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 報告事項

 ケネディー宇宙センター(KSC)において実施した、日本実験棟「きぼう」船内実験室、国際宇宙ステーション(ISS)本体側第2結合部(ノード2)実機及び米国実験棟模擬装置の組合せ試験(MEIT-III:Multi-Element Integration Test-III)の結果を報告する。

2. MEIT-IIIの概要

  • 平成15年4月23日から6月5日にかけて、「きぼう」船内実験室をKSCに輸送した。
  • MEIT-IIIにおいては、NASDA及びNASAが、「きぼう」船内実験室のフライト実機、ノード2フライト実機及び米国実験棟の模擬装置(実機は既に軌道上にて運用中)を打上げ前に地上試験用ケーブルで結合し、機能・性能を確認する試験を実施した。
  • MEIT-IIIは、平成15年8月26日から9月10日(米国東部夏時間)の間の平日に24時間連続運転で実施した。実施にあたっては、NASDA及びNASAの宇宙飛行士も参加し、米国実験棟模擬装置からのコマンドの送信及び「きぼう」船内実験室内の機器スイッチの操作を行った。

3. MEIT-III実施結果

  • 計画した試験を全て終了し、米国実験棟模擬装置からノード2を介して「きぼう」船内実験室の各搭載機器を起動できるとともに信号の伝達が正常に行われることを確認した。主な確認項目と確認結果を表1に示す。なお、NASAが開発した音声システムに不具合があるため音声系については別途実施することとしている。
  • MEIT-IIIにおける「きぼう」船内実験室実機の不具合は1件(操作端末の起動時にソフトウェア起動エラー)発生したが、再起動後には正常に動作し問題はなかった。なお、当該不具合を除き搭載機器は全て正常に動作した。

4. 今後の予定

 平成16年3月まで、KSCにおいて保管前の機能点検・試験を行い、平成16年4月より保管に入り、打上げ約1年前よりスペースシャトル搭載に向けた作業を実施する。



表1 MEIT-IIIにおける確認項目と確認結果


主な確認項目確認結果
1 ノード2の電力機器から船内実験室に安定して電力を提供できること。 ・正常に電力が供給されることを確認した。
・電源系の特性(ノイズ、インピーダンス等)を計測し良好であることを確認した。
2 米国実験棟の中枢コンピュータと船内実験室のコンピュータ同士がノード2を経由し、通信を確立できること。 ・起動試験及び全試験期間を通じて、システムコンピュータ同士の通信を確立でき、コマンド及びテレメトリを正常に伝送できることを確認した。
3 「きぼう」軌道上組立て時にノード2/米国実験棟から船内実験室の初期起動用コンピュータ、管制制御コンピュータ、冷却システム、環境制御システムを順次確実に起動できること。 ・軌道上組立時の起動手順(通常手順及びバックアップ手順)に従い、船内実験室の初期起動用コンピュータ、管制制御コンピュータ、及び各サブシステムの搭載機器を正常に起動でき、動作することを確認した。
・低温(4.5℃)及び中温(17.2℃)の2系統の冷却水の循環も正常に動作した。
・環境制御システム(温湿度調整、空気循環)も正常に起動し動作した。
・不具合(操作端末の起動時にソフトウェア起動エラー)が発生したが、再起動後には正常に動作した。
4 宇宙飛行士の生命に危機を及ぼす火災や気圧低下等の異常事態発生時の警告警報が、短時間に「きぼう」船内実験室と他のモジュール間で相互に伝達できること。 ・警告・警報機能試験を実施し、信号が正常に伝達できることを確認した。
5 「きぼう」ロボットアーム操作用に使用するカメラ映像が、ノード2を通して米国実験棟で処理され、船内実験室に伝達できること。 ・ビデオ信号インタフェース試験を実施し、カメラ映像が処理され正常に伝達できることを確認した。
6 「きぼう」実験装置の実験データが大容量光ファイバー伝送システムによりノード2経由で、米国実験棟へ伝送できること。 ・高速データ(光ファイバー)伝送試験を実施し、データを正常に伝送できることを確認した。
・中速データ(Ethernet)伝送試験を実施し、データを正常に伝送できることを確認した。
・低速データの通信系統(1553Bバス)も機能していることを確認した。
7 ノード2と船内実験室を接続する配線ケーブル・ダクト等が干渉なく結合できること。 ・実機配線ケーブル・ダクトを使用し、NASA宇宙飛行士により結合できることを確認した。

MEIT-III接続図




「きぼう」とISSとの結合部(参考1)