プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)と
先端型データ中継技術衛星「アルテミス」による
衛星間通信実験の成功について

平成15年4月4日

宇宙開発事業団

 宇宙開発事業団(NASDA)は、平成15年3月28日から30日(日本標準時、以下同じ)にかけ、NASDAの環境観測技術衛星「みどりII」と欧州宇宙機関(ESA)の先端型データ中継実験衛星「アルテミス(ARTEMIS)」との間で、データ送信のためのKaバンド(26GHz帯)とコマンド送信のためのSバンド(2GHz帯)を使用した衛星間通信実験に成功しました。

 「みどりII」は、平成15年2月19日に、NASDAのデータ中継技術衛星「こだま」との通信実験に成功しており、「アルテミス」との通信実験は、これに次ぐものですが、日欧の衛星が通信するのは史上初となります。

 本通信実験により日欧両機関による軌道上衛星通信が確立されたことは、将来の地球観測システムの構築に柔軟性が持てると共に、国際協力による地球環境観測ミッションの推進に貢献することが期待されます。

 「みどりII」は、現在、初期機能確認の最終段階として総合試験を実施しており、4月中旬に観測運用に移行後、本格運用に向けてさらに取得データの校正や検証を行います。



先端型データ中継技術衛星「アルテミス」について

 欧州宇宙機関(ESA)の先端型データ中継技術衛星「アルテミス」(ARTEMIS)は、高度な衛星間通信実験、陸域移動体通信実験等を目的とします。
 2001年7月12日にアリアン5で打ち上げられましたが、ロケットの上段の失敗により静止軌道への投入に失敗しました。衛星のドリフト補正制御用電気推進によって静止軌道への遷移を試み1年半のオペレーションの末、2003年1月31日静止軌道への遷移を完了し、地球観測衛星Envisatとの通信実験を、同年3月19日に成功しました。

参考:ESAプレスリリース
http://www.esa.int/export/esaCP/Pr_16_2003_p_EN.html


「アルテミス」軌道上想像図

打上げ時重量 3.1トン
アンテナ展開時形状 25m×8m×4.8m
軌道 静止(東経21.5度)
設計寿命 10年
ミッション - 光衛星通信
- データ中継(S/Kaバンド)
- 陸域移動体通信(Lバンド)

 また、「アルテミス」は宇宙開発事業団の光衛星間通信実験衛星(OICETS)との間で、将来の宇宙活動において重要となる光衛星間通信に関し、捕捉・追尾・指向技術を中心とした要素技術の軌道上実験を行うことを計画しています。