宇宙開発事業団
宇宙開発事業団は、平成14年12月14日に打ち上げた環境観測技術衛星「みどりII」に搭載の高性能マイクロ波放射計*1(AMSR)のアンテナ回転及びグローバルイメージャ*2(GLI)の所定温度への冷却を1月3日から10日まで実施し、衛星からのテレメトリ・データを解析した結果、これらが正常に行われたことを確認しました。
これにより「みどりII」は予定のクリティカルフェーズ(注1)を終了し、今後4月中旬までの約3ヶ月間、センサ等の衛星搭載機器の機能確認を実施する初期機能確認段階(注2)に移行します。
別紙に「みどりII」のこれまでの運用経過を示します。
また、現在の「みどりII」の軌道は以下のとおりです。
遠地点高度 | 813km |
近地点高度 | 775km |
軌道傾斜角 | 98.7度 |
周 期 | 101分 |
注1: | 電力の確保や三軸姿勢制御の確立等衛星の基本機能の確認を含め、観測軌道への軌道変換、観測機器の立ち上げなど運用初期における困難性を伴う運用段階のこと。 |
注2: | 搭載観測機器の機能確認(画像取得等)、衛星間通信実験等を実施する定常運用開始(4月中旬予定)までの運用段階のこと。なお、センサ初期観測画像の取得は1月下旬から2月上旬に行われる予定。 |
*1 | AMSRは、マイクロ波を用いた観測で昼夜、雲の有無に関わらず降水量、海面水 温、積雪などを測り、全球規模の水循環・エネルギー循環を把握するのに貢献します。 |
*2 | GLIは、クロロフィル濃度や植生分布等を測り、全球規模の炭素循環や気候変動 を把握するのに貢献します。 |
日時(日本時間) | 運用経過 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 | 平成14年12月14日午前10時31分 | 打上げ | |
2 | 平成14年12月14日午前11時36分 | 太陽電池パドル展開 | |
3 | 平成14年12月17日午前9時25分頃 | 衛星間通信用アンテナ展開 | |
4 | 平成14年12月17日午前11時8分頃 | 定常制御モード(スラスタによる姿勢制御からホイールによる姿勢制御)へ移行 | |
5 | 平成14年12月23日午後11時1分頃 | 軌道制御 | 軌道面の制御 |
6 | 平成14年12月30日午前4時13分頃 | 軌道制御 | 高度方向の制御 |
7 | 平成15年1月3日午後9時49分頃 | AMSRランアップ(毎分2.3回転) | |
8 | 平成15年1月4日午後11時10分頃 | AMSRランアップ(毎分9.5回転) | |
9 | 平成15年1月4日午後11時30分頃 | AMSRランアップ(毎分17.7回転) | |
10 | 平成15年1月5日午前4時6分頃 | 軌道制御 | 高度方向の制御 |
11 | 平成15年1月5日午後10時44分頃 | AMSRランアップ(毎分25.4回転) | |
12 | 平成15年1月6日午後10時10分頃 | AMSRランアップ(毎分33.1回転) | |
13 | 平成15年1月7日午後9時47分頃 | AMSRランアップ(毎分40回転) | |
14 | 平成15年1月8日午前3時36分頃 | 軌道制御 | 高度方向の制御 |
15 | 平成15年1月10日午前11時5分頃 | GLIクールダウン |
*AMSRランアップ | : | AMSRを停止状態から、定常観測回転数(40rpm)まで増速し安定回転させること。 |
*GLIクールダウン | : | センサ部を所定の温度へ冷却すること。 (短波長赤外検出器:220K、中間熱赤外検出器:80K) |