独立行政法人 通信総合研究所
宇宙開発事業団
独立行政法人通信総合研究所(CRL)と宇宙開発事業団(NASDA)は、航空機搭載映像レーダ(航空機搭載合成開口レーダ、略称Pi-SAR)を共同で開発し、これまで国内のいくつかの研究機関とともに、その機能の検証および観測実験を進めてまいりました。
このたび、本レーダのより広い応用分野の開拓と実証を目指し、また合成開口レーダ技術を利用した新しい研究分野と研究者の育成を目的として、国内の幅広い研究者から本レーダを用いた研究提案を募集し、それに基づいた実験観測を実施することといたしました。
多くの研究者の提案応募を期待しております。
通信総合研究所*1 (CRL)と宇宙開発事業団*2 (NASDA)は、平成5年度より共同で航空機搭載映像レーダ(Pi-SAR) を開発し、平成10年度からこれまでに国内において機能の実証や一部の応用分野に関する観測実験を進めてきた。これらの実験は主に技術的な検証を眼目としたもので、国内のいくつかの研究機関と共同で実施し、成果を挙げてきた。一方、その実験を通じて、高機能映像レーダである本レーダのより広い分野への応用の可能性が示されてきた。また、平成12年以降、火山災害時の状況把握等への貢献から、本レーダに対する関心が一般にも広まりを見せている。
このような背景のもとで、本レーダのより広い応用分野の開拓と実証を目指して、また、合成開口レーダを利用した新しい研究分野と研究者の育成を目的として、国内の幅広い研究者から本レーダを用いた研究提案を募集し、それに基づいた実験観測を実施することとした。
*1 | 通信総合研究所は平成16年4月1日より情報通信研究機構となる予定である。 |
*2 | 宇宙開発事業団(NASDA) は平成15年10月1日より宇宙航空研究開発機構(JAXA)となる予定である。 |
本研究公募により採択された研究の実施等に関する本書の記述について、上記日付以降は、それぞれの機関名を新機関名に読み替えるものとする。 |
Pi-SARは、CRLが開発/運用しているX-band SARとNASDAが開発/運用しているL-band SARから成る。X-, L-band SARはそれぞれポラリメトリック観測機能を持つ。X-band SARは2つの受信用アンテナでクロストラックインタフェロメトリ観測を行う機能を持つ。Pi-SARの詳細については、[http://www.crl.go.jp/dk/c215/PI-SAR/J/index.html]、または[Kobayashi, T., et al, "Airborne Dual-Frequency Polarimetric and Interferometric SAR", IEICE Trans. Commun., Vo. E33-B, No.9, pp. 1945-1954, 2000.]を参照されたい。
提供されるPi-SAR データは、 X、Lバンドともに、再生処理後のシングルルック複素数画像データ(ssc), 4ルック振幅画像データ(mgaf)あるいは4ルックポラリメトリック画像データ(mgp)のいずれかの形式のものである。研究提案者においてデータを処理・解析するために必要なソフトウェアは提供されない。
本研究公募に係るPi-SAR飛行実験は以下のように2004年2月から2005年3月までの間に4回(時期A〜D)行う。(ただし、必要に応じて、時期及び回数を調整、変更する場合がある。)
採択された研究提案の代表者(Principal Investigator, 以下「PI」と呼ぶ)は、実験計画調整のために観測要求(観測位置、範囲、入射角、方位角等)を提出し、CRL, NASDA と必要な調整を行う。全体の飛行計画の作成、及び観測(レーダ運用)はCRLとNASDAが行う。
A RA実験(1) | 2004年2月上旬の2日間 -- 実験(観測) 計画調整 2003年12月 |
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B RA実験(2) | 2004年夏季(7-9月)の2日間 --実験(観測) 計画調整 2004年6月頃 |
C RA実験(3) | 2004年秋季(10-12月)の2日間 -- 実験(観測) 計画調整 2004年9月頃 |
D RA実験(4) | 2005年冬季(1-3月)の2日間 -- 実験(観測) 計画調整 2004年12月頃 |
実験飛行範囲は日本国内(海洋を含む)に限られる。従って、実験提案者が要求できる観測範囲も日本国内に限られる。
応募される研究提案は次の4つの分野のいずれかに属するもので、科学研究またはSAR技術の関連研究として、新規性あるいは実用性をもつものでなければならない。商業目的を主眼とした提案は採択されない。
CRL及びNASDAは採択された研究提案に基づく飛行実験を実施し、PIが指定したシーンのデータを提供する。データ提供後1年間は当該PIの優先使用期間とし、原則としてそのデータを他者に提供しない。その後は、要求があれば、当該データを他の利用者にも提供できるものとする。
CRL及NASDAは、この研究公募に関連して、研究費、旅費等の提供を行わない。
採択されたPIは、CRL及びNASDAそれぞれと本研究公募に関する研究契約を結び、それに基づき研究を実施する。(付録2にNASDA契約書案を示す。)
得られた研究成果は、原則として、学会発表や誌上発表により公表するものとする。
採択されたPIは、CRLとNASDA が主催するPI会議へ出席し、研究提案の成果の発表を行う。また、CRLとNASDAが本研究公募の成果をまとめるために必要な報告書を作成し、提出する。
装置の故障やその他のやむを得ない事由により、観測が中止されたり、または、データ取得が実施できない場合、CRL及びNASDAはそれに対する賠償等の責任は負わないものとする。
本研究公募に研究提案を提出する者は、付録1に示す作成様式に従い、A4用紙(片面)で5枚程度で研究提案書を作成する。研究提案書は日本語で作成する。
応募書類はA4 用紙に印刷したもの3部を郵送にて2003年10月17日(必着)までに、本書8に記載されたPi-SAR研究公募事務局へ提出すること。
応募書類は返却しない。
CRL及びNASDAは、採択されたPIに対して応募書類の全部または一部を電子ファイルで提出することを要求する場合がある。
CRL及びNASDAは、外部研究者から成る評価者による研究提案のレビュー結果を参考として、研究提案に対する採否の決定を行う。
研究提案のレビュー及び採否の決定は以下の項目を考慮して総合的に判定する。
選定結果(採否)は研究提案を提出したPIへ郵送にて通知する(2003年12月1日発送予定)。また、採択された研究提案題目とPI名は、CRLのwwwページ内に掲載すること等により公表する。
2003年 9月 1日 | 研究公募 発出 |
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2003年10月17日 | 研究提案の提出締め切り |
2003年12月8日 | 採択された研究提案(及びPI名) 発表 |
2003年12月8日 〜2004年1月30日 |
研究契約手続(採択PI-CRL間、採択PI-NASDA間) |
2004年2月上旬 | A RA実験(1) 実験(観測) 計画調整 2003年12月 |
2004年3月 | 第1回PI会議(東京) -- 研究計画報告 |
2004年夏季(7-9月) | B RA実験(2) 実験(観測) 計画調整 2004年6月頃 |
2004年秋季(10-12月) | C RA実験(3) 実験(観測) 計画調整 2004年9月頃 |
2005年冬季(1-3月) | D RA実験(4) 実験(観測) 計画調整 2004年12月頃 |
2005年3月 | 第2回PI会議 -- 研究成果(中間)報告 |
2006年1月 | 第3回PI会議 -- 研究成果(最終)報告 |
(住所) | 〒184-8795東京都小金井市貫井北町4-2-1 独立行政法人 通信総合研究所 電磁波計測部門 |
(e-mail) | /cgi-bin/admin/mail:Pi-SAR@crl.go.jp |
(住所) | 〒184-8795東京都小金井市貫井北町4-2-1 独立行政法人 通信総合研究所 電磁波計測部門 |
(e-mail) | /cgi-bin/admin/mail:Pi-SAR@crl.go.jp |
(住所) | 〒104-6023東京都中央区晴海1-8-10 晴海アイランド トリトンスクエア オフィスタワーX棟23階 宇宙開発事業団 地球観測利用研究センター |
(e-mail) | /cgi-bin/admin/mail:Pi-SAR@eorc.nasda.go.jp |
研究提案書は、以下の項目について、日本語で、簡潔に分かりやすい表現で記述すること。
A4用紙(片面)で5枚程度にまとめること。
必要に応じて、図表等を使用し、理解しやすいよう表現にすること。
(注1) | 提案の観測要求が他の提案のそれと類似している場合、両者の観測要求を共同のもの(取得データも共同利用)とし、採択する場合がある。 |
(注2) | 研究提案が採択された場合でも、効率的なデータ取得のため、実験計画(観測範囲)調整において、観測場所、観測時期、観測方位角、入射角等を変更する場合がある。 |
(注3) | 新たな観測(データ取得)なしに、既存のPi-SARデータで研究提案が実施可能と判断された場合は、本研究公募とは別に、当該データを提供する場合がある. |
標記書類を下記に示す。
本契約書案に対する変更、修正等は原則として行わない。但し、契約書案中、現在未定の箇所については後日調整するものとする。従って、採択されたPIは本契約書案につき、真にやむを得ない場合を除き変更依頼等を行わないものとする。
宇宙航空研究開発機構(以下、「甲」という。)と、○○○○○○(以下、「乙」という。)は、Pi-SARに関する共同研究を実施することとし、次の条項によって契約を締結する。
第1条 (研究テーマを記載)
上記を証するものとして本契約書2通を作成し、甲及び乙双方の代表者が記名押印のうえそれぞれ1通保有する。
甲 | 住所 社名 代表者名 |
|
乙 | 住所 社名 代表者名 |
氏名 | 所属職名 | |
甲 | ||
乙 |
共同研究契約書第9条第2項に基づく持込物品に関する特約条項を次のとおり定める。
地上の物体の大きさがどこまで識別できるかの尺度。1.5mの分解能とは、1.5m以上離れた2つのものが映像の中でも2つに分かれて見えるという意味。
離れて配置された2つのアンテナを用いて、人間が双方の目で立体的に視ることができるのと類似の方法で3次元的像を得る。電波の位相情報を使うため、非常に高精度で、全天候にわたって観測できるのが特長。
電波は、電場と磁場が共に振動しながら伝搬する波であるが、電場の振動面を偏波と呼ぶ。物体は、任意の偏波に対し固有の偏波を反射する。この性質を用い、偏波の組み合わせで地表面を観測し、それぞれの場合の散乱信号を精密に測定し、これらを利用して対象を詳細に識別する機能。
レーダに使用されるマイクロ波(1GHzから40GHzまでの周波数の電波、1GHzは10の9乗ヘルツ)の周波数をいくつかの帯域に分けて呼ぶ慣習的な呼び方。Xバンドは約10GHz、Lバンドは約1GHzのマイクロ波のこと。
映像レーダの一種。小型のアンテナで受信信号強度と位相を正確に記録し、これをコンピュータで処理して高分解能を得る。