プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

CRLとNASDAの航空機搭載映像レーダを用いた研究提案の募集について

平成15年9月1日

独立行政法人 通信総合研究所
宇宙開発事業団

 独立行政法人通信総合研究所(CRL)と宇宙開発事業団(NASDA)は、航空機搭載映像レーダ(航空機搭載合成開口レーダ、略称Pi-SAR)を共同で開発し、これまで国内のいくつかの研究機関とともに、その機能の検証および観測実験を進めてまいりました。

 このたび、本レーダのより広い応用分野の開拓と実証を目指し、また合成開口レーダ技術を利用した新しい研究分野と研究者の育成を目的として、国内の幅広い研究者から本レーダを用いた研究提案を募集し、それに基づいた実験観測を実施することといたしました。

 詳細な情報は、以下のウェブサイトで公開しておりますのでご参照下さい。

 多くの研究者の提案応募を期待しております。




Pi-SAR研究公募要項


1. はじめに

 通信総合研究所*1 (CRL)と宇宙開発事業団*2 (NASDA)は、平成5年度より共同で航空機搭載映像レーダ(Pi-SAR) を開発し、平成10年度からこれまでに国内において機能の実証や一部の応用分野に関する観測実験を進めてきた。これらの実験は主に技術的な検証を眼目としたもので、国内のいくつかの研究機関と共同で実施し、成果を挙げてきた。一方、その実験を通じて、高機能映像レーダである本レーダのより広い分野への応用の可能性が示されてきた。また、平成12年以降、火山災害時の状況把握等への貢献から、本レーダに対する関心が一般にも広まりを見せている。
 このような背景のもとで、本レーダのより広い応用分野の開拓と実証を目指して、また、合成開口レーダを利用した新しい研究分野と研究者の育成を目的として、国内の幅広い研究者から本レーダを用いた研究提案を募集し、それに基づいた実験観測を実施することとした。

*1 通信総合研究所は平成16年4月1日より情報通信研究機構となる予定である。
*2 宇宙開発事業団(NASDA) は平成15年10月1日より宇宙航空研究開発機構(JAXA)となる予定である。
 本研究公募により採択された研究の実施等に関する本書の記述について、上記日付以降は、それぞれの機関名を新機関名に読み替えるものとする。

2. Pi-SAR

2.1 Pi-SARシステム

 Pi-SARは、CRLが開発/運用しているX-band SARとNASDAが開発/運用しているL-band SARから成る。X-, L-band SARはそれぞれポラリメトリック観測機能を持つ。X-band SARは2つの受信用アンテナでクロストラックインタフェロメトリ観測を行う機能を持つ。Pi-SARの詳細については、[http://www.crl.go.jp/dk/c215/PI-SAR/J/index.html]、または[Kobayashi, T., et al, "Airborne Dual-Frequency Polarimetric and Interferometric SAR", IEICE Trans. Commun., Vo. E33-B, No.9, pp. 1945-1954, 2000.]を参照されたい。

2.2 Pi-SAR データ(プロダクト)

 提供されるPi-SAR データは、 X、Lバンドともに、再生処理後のシングルルック複素数画像データ(ssc), 4ルック振幅画像データ(mgaf)あるいは4ルックポラリメトリック画像データ(mgp)のいずれかの形式のものである。研究提案者においてデータを処理・解析するために必要なソフトウェアは提供されない。

2.3  RA に係るPi-SAR実験

 本研究公募に係るPi-SAR飛行実験は以下のように2004年2月から2005年3月までの間に4回(時期A〜D)行う。(ただし、必要に応じて、時期及び回数を調整、変更する場合がある。)
 採択された研究提案の代表者(Principal Investigator, 以下「PI」と呼ぶ)は、実験計画調整のために観測要求(観測位置、範囲、入射角、方位角等)を提出し、CRL, NASDA と必要な調整を行う。全体の飛行計画の作成、及び観測(レーダ運用)はCRLとNASDAが行う。

A RA実験(1) 2004年2月上旬の2日間 -- 実験(観測) 計画調整 2003年12月
B RA実験(2) 2004年夏季(7-9月)の2日間 --実験(観測) 計画調整 2004年6月頃
C RA実験(3) 2004年秋季(10-12月)の2日間 -- 実験(観測) 計画調整 2004年9月頃
D RA実験(4) 2005年冬季(1-3月)の2日間 -- 実験(観測) 計画調整 2004年12月頃

 実験飛行範囲は日本国内(海洋を含む)に限られる。従って、実験提案者が要求できる観測範囲も日本国内に限られる。

3. 研究目的

 応募される研究提案は次の4つの分野のいずれかに属するもので、科学研究またはSAR技術の関連研究として、新規性あるいは実用性をもつものでなければならない。商業目的を主眼とした提案は採択されない。

(ア) 装置検証 / 較正
(イ) 偏波応用
(ウ) 干渉SAR応用
     (X-band SARのクロストラック・インタフェロメトリ機能を利用したもの)
(エ) 応用研究(一般)

4. 分担

4.1 CRL及びNASDAの責任 

 CRL及びNASDAは採択された研究提案に基づく飛行実験を実施し、PIが指定したシーンのデータを提供する。データ提供後1年間は当該PIの優先使用期間とし、原則としてそのデータを他者に提供しない。その後は、要求があれば、当該データを他の利用者にも提供できるものとする。
 CRL及NASDAは、この研究公募に関連して、研究費、旅費等の提供を行わない。

4.2 採択されたPIの責任 

 採択されたPIは、CRL及びNASDAそれぞれと本研究公募に関する研究契約を結び、それに基づき研究を実施する。(付録2にNASDA契約書案を示す。)
 得られた研究成果は、原則として、学会発表や誌上発表により公表するものとする。
 採択されたPIは、CRLとNASDA が主催するPI会議へ出席し、研究提案の成果の発表を行う。また、CRLとNASDAが本研究公募の成果をまとめるために必要な報告書を作成し、提出する。

4.3 実験の中止、データ取得の不履行の場合

 装置の故障やその他のやむを得ない事由により、観測が中止されたり、または、データ取得が実施できない場合、CRL及びNASDAはそれに対する賠償等の責任は負わないものとする。

5. 研究提案書の提出方法

5.1 内容(作成様式)

 本研究公募に研究提案を提出する者は、付録1に示す作成様式に従い、A4用紙(片面)で5枚程度で研究提案書を作成する。研究提案書は日本語で作成する。

5.2 提出先、時期、提出方法(媒体)

 応募書類はA4 用紙に印刷したもの3部を郵送にて2003年10月17日(必着)までに、本書8に記載されたPi-SAR研究公募事務局へ提出すること。
 応募書類は返却しない。
 CRL及びNASDAは、採択されたPIに対して応募書類の全部または一部を電子ファイルで提出することを要求する場合がある。

6. 研究提案の選定方法

 CRL及びNASDAは、外部研究者から成る評価者による研究提案のレビュー結果を参考として、研究提案に対する採否の決定を行う。
 研究提案のレビュー及び採否の決定は以下の項目を考慮して総合的に判定する。

  1. 研究提案の新規性/実用性/信頼性
  2. 観測要求の妥当性(他の観測機会を圧迫する観測要求や極端に限定された時期のデータ取得を必要とする提案は実現性が低くなる)
  3. 研究計画、関連データ(地上データ)取得計画
  4. 研究提案者の業績及び使用設備

 選定結果(採否)は研究提案を提出したPIへ郵送にて通知する(2003年12月1日発送予定)。また、採択された研究提案題目とPI名は、CRLのwwwページ内に掲載すること等により公表する。

7. スケジュール

2003年 9月 1日 研究公募 発出
2003年10月17日 研究提案の提出締め切り
2003年12月8日 採択された研究提案(及びPI名) 発表
2003年12月8日
 〜2004年1月30日
研究契約手続(採択PI-CRL間、採択PI-NASDA間)
2004年2月上旬 A RA実験(1) 実験(観測) 計画調整 2003年12月
2004年3月 第1回PI会議(東京) -- 研究計画報告
2004年夏季(7-9月) B RA実験(2) 実験(観測) 計画調整 2004年6月頃
2004年秋季(10-12月) C RA実験(3) 実験(観測) 計画調整 2004年9月頃
2005年冬季(1-3月) D RA実験(4) 実験(観測) 計画調整 2004年12月頃
2005年3月 第2回PI会議 -- 研究成果(中間)報告
2006年1月 第3回PI会議 -- 研究成果(最終)報告

8. 本研究公募に関する連絡先

8.1 応募書類の提出先

Pi-SAR 研究公募事務局
(住所) 〒184-8795東京都小金井市貫井北町4-2-1
独立行政法人 通信総合研究所 電磁波計測部門
(e-mail) /cgi-bin/admin/mail:Pi-SAR@crl.go.jp

8.2 CRL代表者

浦塚清峰 
(住所) 〒184-8795東京都小金井市貫井北町4-2-1
独立行政法人 通信総合研究所 電磁波計測部門
(e-mail) /cgi-bin/admin/mail:Pi-SAR@crl.go.jp

8.3 NASDA代表者

島田政信
(住所) 〒104-6023東京都中央区晴海1-8-10
晴海アイランド トリトンスクエア オフィスタワーX棟23階
宇宙開発事業団 地球観測利用研究センター
(e-mail) /cgi-bin/admin/mail:Pi-SAR@eorc.nasda.go.jp


付録のPDFファイル:




(付録1)

研究提案書 様式

研究提案書は、以下の項目について、日本語で、簡潔に分かりやすい表現で記述すること。
A4用紙(片面)で5枚程度にまとめること。
必要に応じて、図表等を使用し、理解しやすいよう表現にすること。

I. 研究提案

  1. 題目
  2. 目的
  3. 期待される成果
  4. 実施方法

II. 研究計画

  • 研究開始から終了までのスケジュールを示す。
  • 関連データの取得計画や地上同期実験の計画についても示すこと。

III. 観測要求

  • 本研究のためにCRL, NASDAに要求するPi-SAR 観測、データに関して下記の事項を記載する。
  • 観測要求が複数ある場合は、それぞれについて各事項を記載するとともに、「5. 優先度」において、その優先順位をつけること。
  1. 観測場所(緯経度、サイズ等を入れて、観測範囲が分かるように記述すること)
  2. 観測時期
  3. レーダ運用パラメータ(入射角、方位角、観測モード、等)
  4. データ(画像再生処理範囲、X/Lバンドの別、データの種類(ssc/mgp/mgaf))
  5. 観測の優先度
    (例、A:必要不可欠、B: 研究実行上重要、C: 事情が許せば実施したい。)
(注1) 提案の観測要求が他の提案のそれと類似している場合、両者の観測要求を共同のもの(取得データも共同利用)とし、採択する場合がある。
(注2) 研究提案が採択された場合でも、効率的なデータ取得のため、実験計画(観測範囲)調整において、観測場所、観測時期、観測方位角、入射角等を変更する場合がある。
(注3) 新たな観測(データ取得)なしに、既存のPi-SARデータで研究提案が実施可能と判断された場合は、本研究公募とは別に、当該データを提供する場合がある.

IV. 研究提案者、使用設備・データ

  1. 研究代表者(PI) 氏名、所属(役職)、連絡先(住所、電話、FAX、e-mail)、本研究提案に係る業績等
  2. 共同研究者(Co-I) 氏名、所属(役職)、本研究提案に係る実績等
    (共同研究者数の制限はない。)
  3. 使用する設備、関連データ等
    (既に所有するもの、及び、入手予定のものをそれぞれ記載する。)



(付録2)

採択されたPIとNASDAとの間で締結する共同研究契約書案

標記書類を下記に示す。
本契約書案に対する変更、修正等は原則として行わない。但し、契約書案中、現在未定の箇所については後日調整するものとする。従って、採択されたPIは本契約書案につき、真にやむを得ない場合を除き変更依頼等を行わないものとする。


共同研究契約書(案)

宇宙航空研究開発機構(以下、「甲」という。)と、○○○○○○(以下、「乙」という。)は、Pi-SARに関する共同研究を実施することとし、次の条項によって契約を締結する。

(共同研究の目的)

第1条 (研究テーマを記載)

(業務の分担)

第2条 甲及び乙は、以下の条項に示す業務を各々分担し、実施するものとする。
  1. 甲の業務
    (1) PIの指定するシーンのデータ提供
    (2) PI会議の開催
    (3) 研究のまとめ
  2. 乙の業務
    (1) (採択されたテーマに基づく研究内容を記載)
    (2) 甲が主催するPI会議への出席及び研究成果の発表
    (3) 研究報告書の作成及び甲への提出

(共同研究に要する費用)

第3条 甲及び乙は、第2条に規定する業務を実施するため必要となる費用を、それぞれの分担に応じて負担する。甲は乙に対して研究費、旅費等の提供を行わない。

(共同研究の実施場所)

第4条 共同研究の実施場所は、次に示す場所の他、必要な場所とする。
    甲)
    乙)

(本契約の有効期間)

第5条 本契約の有効期間(以下、「実施期間」という。)は、本契約の締結の日から平成年 月 日までとする。
2 前項の規定にかかわらず、第10条、第11条、第13条、第14条及び第15条の規定は、この契約の有効期間満了後においてもなお効力を有する。

(共同研究に参加する者)

第6条 甲及び乙は、それぞれ別表1に掲げる者を本共同研究に参加させ、それぞれ主担当者を置くものとする。

(研究協力者)

第7条 甲及び乙は、必要に応じ研究協力者を指名し研究に参加させることができる。甲及び乙は、研究協力者に対し、本契約を遵守するよう必要な措置をとるものとする。

(共同研究の管理)

第8条 甲及び乙は、連携を図りつつ、それぞれ主担当者を通して本共同研究の管理を行うものとする。

(施設・設備・機械装置等の提供等)

第9条 甲及び乙は、それぞれの施設・設備等を本共同研究の用に供することができる。
2 甲及び乙は、共同研究遂行のため、いずれか一方の当事者が持ち込んだ物品等(以下「持込物品」という。)を使用する場合、別途定める特約条項の規定に従うものとする。
3 甲及び乙は、研究協力者に持込物品を使用させる場合は、前項の規程に基づく義務を研究協力者に遵守させるよう所要の措置を講ずるものとする。

(技術情報等の提供及び取扱い)

第10条 甲及び乙は、可能な範囲で、第2条に規定する業務を実施するため必要と認められる技術情報を相互に提供するものとする。なお、観測データについても、技術情報の定義に含めるものとする。
2 甲及び乙は、それぞれ相手方より提供を受けた技術情報を本共同研究の目的以外に利用してはならない。
3 甲及び乙は、それぞれ相手方より提供を受けた技術情報そのもの(観測データについては、原初データに復元できることを判断要素とする。)、その複製及びそれに類するものを指定を受けた者以外へ提供開示しないものとする。
4 提供された技術情報が、相手方と他の機関との協定等に基づくものであるときには、甲及び乙は、提供された技術情報を利用又は当該技術情報を含む研究成果を公表するとき、当該協定等を遵守する。

(研究成果の帰属及び利用)

第11条 甲及び乙は、本共同研究の実施の結果、得られた研究成果を共有するものとする。
2 甲及び乙は、自己の業務の目的に限り、相手方の同意を得ることなく、研究成果を無償で自由に利用できる。

(研究報告会の開催)

第12条 甲は、作業の進捗状況の把握、インターフェースの調整を行うため、研究報告会を必要に応じ開催し、乙はこれに出席する。
2 甲及び乙は研究終了時に研究報告書を作成する。

(工業所有権等の取扱い)

第13条 甲及び乙は、本共同研究に基づき共同で発明等が生じた場合には、これに対する権利を共有するものとし、出願前に持分、出願手続、出願費用の負担等について相手方に協議するものとする。
2 甲又は乙は、本共同研究に基づき単独で発明等が生じた場合には、当該出願につき、事前に相手方の同意を得るものとする。

(研究成果の公表)

第14条 甲及び乙は、実施期間中において、研究成果を相手方以外の第三者に知らせようとするときは、あらかじめ相手方に協議するものとする。
2 甲及び乙は、実施期間終了後、本共同研究に基づく研究成果を公表するものとする。また、公表の際には、相手方に届け出るものとする。
3 甲及び乙は、相手方から当該研究成果の一部又は全部について公表しないよう申し入れがあり、かつ公表しないことにつき相当の理由があると認められる場合には、前項の規定にかかわらず、当該一部又は全部を公表しないものとする。
4 甲及び乙は、相手方から要請のあった場合には、公表物の写しを寄贈するものとする。
5 甲及び乙は、公表の際には、甲及び乙の共同研究に基づくものである旨及びデータの出所を適切に表示するものとする。

(研究成果報告書及び公表物の取扱い)

第15条 甲及び乙は、研究成果報告書及び相手方より寄贈を受けた公表物を、当該公表物の著作権が学会に移転している場合を除き、それぞれ自己の業務の目的に限り配布、複製及び利用できる。

(有効期間の延長等)

第16条 天災その他研究遂行上、止むを得ない事由があるときは、甲及び乙の協議のうえ、本共同研究を停止、中止又は実施期間を延長することができる。

(実験の中止等)

第17条 装置の故障、その他やむを得ない事由により、観測が中止されたり、またはデータ取得が実施できない場合、甲はそれに対する賠償等の責を負わないものとする。

(本契約の変更)

第18条 本契約は、甲及び乙の双方の合意のもとに変更することができる。

(協議)

第19条 本契約について疑義が生じたとき、及び本共同研究の遂行に関して本契約に規定のない事項が生じたとき、甲、乙別途協議のうえ定めるものとする。

 上記を証するものとして本契約書2通を作成し、甲及び乙双方の代表者が記名押印のうえそれぞれ1通保有する。


平成15年  月  日


住所
社名
代表者名
住所
社名
代表者名
別表1 共同研究に参加する者

氏名 所属職名
   
   

持込物品に関する特約条項

共同研究契約書第9条第2項に基づく持込物品に関する特約条項を次のとおり定める。

(甲及び乙の責任)

第1条  甲及び乙は、契約の他方当事者が持込む物品の取扱いに関し次の各号に従うものとする。 (1) 持込物品を善良なる管理者の注意をもって管理しなければならない。
(2) 持込物品を共同研究契約書に定めた目的以外に使用してはならない。
(3) 持込物品を滅失又は損傷した場合は、原因にかかわらず速やかにその旨を他方の当事者に報告しなければならない。

(持込物品の滅失、損傷)

第2条 甲及び乙は、持込物品を故意又は過失、その他自己の責に帰すべき事由により滅失又は損傷したときは、他方の当事者に対して補修若しくは代品の納付を行い、又はその損害を賠償しなければならない。
2 甲及び乙は、前項にかかわらず共同研究契約書に定めた目的以外で使用したことに起因して持込物品を滅失又は損傷したときは、故意、過失その他理由の如何にかかわらず他方の当事者に対して補修若しくは代品の納付を行い、又はその損害を賠償しなければならない。


補足資料


背景

独立行政法人通信総合研究所と宇宙開発事業団は、航空機搭載映像レーダ(略称Pi-SAR)を共同で開発し、これまでに国内において機能の実証や各種の応用分野に関する観測実験を進めて来ました。これらの実験は主に技術的な検証を眼目としたもので,国内のいくつかの研究機関と共同で実施し,成果を上げて参りました。一方、その実験を通じて,高機能映像レーダである本レーダのより広い分野への応用の可能性が示され、また,平成12年以降,火山災害時の状況把握等への貢献から,一般の方々にも本レーダに対する関心が広がってきています。

航空機搭載レーダの概要

航空機搭載3次元映像レーダは、地球環境計測及び災害監視分野の研究を目的として通信総合研究所と宇宙開発事業団が開発した合成開口レーダシステムで、1.5mの高い分解能で地上を観測することができます。Xバンド(9.55ギガヘルツ、波長3.14センチ)とLバンド(1.27ギガヘルツ、波長24センチ)という2つのマイクロ波とポラリメトリと呼ぶ機能をもっており、映像に地上の何が写っているのかを細かく判断することができます。さらにXバンドでは左右の2つのアンテナを用いて地表の高さ情報(2mの精度)を得ることが出来るインターフェロメトリ機能をもちます。マイクロ波を使用するため、雲や火山噴煙に遮られることなく、夜間でも観測が可能です。

用語解説

分解能:

地上の物体の大きさがどこまで識別できるかの尺度。1.5mの分解能とは、1.5m以上離れた2つのものが映像の中でも2つに分かれて見えるという意味。

インターフェロメトリ機能:

離れて配置された2つのアンテナを用いて、人間が双方の目で立体的に視ることができるのと類似の方法で3次元的像を得る。電波の位相情報を使うため、非常に高精度で、全天候にわたって観測できるのが特長。

ポラリメトリ機能:

電波は、電場と磁場が共に振動しながら伝搬する波であるが、電場の振動面を偏波と呼ぶ。物体は、任意の偏波に対し固有の偏波を反射する。この性質を用い、偏波の組み合わせで地表面を観測し、それぞれの場合の散乱信号を精密に測定し、これらを利用して対象を詳細に識別する機能。

Xバンド、Lバンド:

レーダに使用されるマイクロ波(1GHzから40GHzまでの周波数の電波、1GHzは10の9乗ヘルツ)の周波数をいくつかの帯域に分けて呼ぶ慣習的な呼び方。Xバンドは約10GHz、Lバンドは約1GHzのマイクロ波のこと。

合成開口レーダ(SAR: Synthetic Aperture Radar):

映像レーダの一種。小型のアンテナで受信信号強度と位相を正確に記録し、これをコンピュータで処理して高分解能を得る。





図1 ガルフストリーム機に搭載されたPi-SAR

図2 Pi-SAR観測例(1):三宅島(Xバンド,偏波カラー合成)

図3 Pi-SAR観測例(2):関西空港(Xバンド,偏波カラー合成)