宇宙開発事業団
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
世界気象機関(WMO)の全球観測システム(GOS)に宇宙機関の研究開発(R&D)衛星を含めることについて、WMOと世界の宇宙機関が協議を行った結果について報告する。
185のメンバー国から構成される国連の専門機関。1950年に設立。気象と水及び気候に関する情報の作成と交換に関する参加国の活動、研究、専門家の訓練等の調整を行っている。
(CGMS: Coordination Group for Meteorological Satellites)
気象衛星に関する情報交換と技術調整を目的として、衛星運用機関により1972年に設立された国際調整委員会。気象庁、NOAA、中国気象局、インド気象局、ロシア水文気象局、EUMETSAT、WMO、IOCがメンバー。現在の気象衛星の調整を行っている。
GOSは、WMOが参加国の協力により構築を進めている地上観測網と衛星による全球観測システム。宇宙部分については従来、静止及び極軌道の実用気象衛星で構成されているが、これに宇宙機関の研究開発(R&D)衛星を参加させることがWMO理事会議で合意された。
WMOの次期宇宙計画は、WMO宇宙計画への宇宙機関とそれらのR&D衛星の参加を促進することを目標としている
機関名 | 衛星名 | 形態 | 利用目的 |
豪州気象機関 | ERS-1, ERS-2 | 現業 | 海上風の数値予報入力 |
QuickSCAT | 現業 | 同上 | |
DMSP SSM/I | 現業 | 降水量推定 | |
TRMM | 現業・R&D | 降水量推定とサイクロン予報 | |
Topex/Poseidon | R&D・現業 | 海面高度の海洋データ同化 | |
Aqua/AIRS | R&D・現業 | サウンディングデータの数値予報入力 | |
Terra/MODIS | R&D・現業 | SST, 雲識別、火山灰 | |
Jason | R&D | 海洋データ同化 | |
ADEOS-II | R&D・現業 | 海上風、マイクロ波放射計データ | |
ENVISAT | R&D | 海上風、SST | |
GCOM | R&D | 気候研究 | |
GIFT | R&D | 将来の数値予報 | |
中国気象局 | EOS/MODIS | R&D | 雪氷観測、山火事面積推定 |
FY-1A, FY-1B | 現業 | 植生、洪水、雪氷、SSTの観測 | |
キューバ水文気象庁 | TRMM | 計画中 | PR、TMIデータ |
デンマーク気象研究所 | ERS-1, ERS-2 | 現業 | 海氷監視 |
QuickSCAT | 現業 | 同上 | |
ADEOS-II | R&D | 同上(SeaWINDS及びAMSRデータ) | |
Aqua/MODIS | R&D | 同上 | |
欧州中期気象予報センター | TRMM | 現業 | 数値予報(TMI) |
QuickSCAT | 現業 | 数値予報 | |
ADEOS-II | 現業 | 数値予報(SeaWINDS) | |
フランス気象庁 | POLDER | R&D | 放射収支データセット作成 |
ドイツ気象庁 | ERS-2 | 現業 | オゾン予報 |
ドイツ海洋水文機関 | ERS | R&D | 海氷監視 |
ドイツ水文研究所 | ERS | R&D | 土壌水分 |
印度気象局 | DMSP SSM/I | 現業 | 数値予報 |
ERS-2 | R&D | 数値予報 | |
TRMM | R&D | 数値予報 | |
QuickSCAT | R&D | 数値予報 | |
気象庁(日本) | TRMM | 現業 | 台風解析、数値予報、降水監視 |
SSM/I | 現業 | 数値予報、海氷監視 | |
QuickSCAT | 現業 | 台風解析、数値予報 | |
ADEOS-II | 現業 | SST、海氷監視 | |
Topex/Poseidon | 現業 | 海洋解析 | |
SAGE-II | 現業 | オゾン監視 | |
オランダ気象庁 | ERS | 現業 | 数値予報 |
QuickSCAT | 現業 | 数値予報 | |
ADEOS-II | 現業 | 数値予報 | |
ニュージーランド | QuickSCAT | 現業 | 嵐の位置、前線の検出 |
ADEOS-II | 現業 | 同上 | |
ロシア水文環境監視庁 | Okean | 現業 | 気象及び海洋監視 |
Resurs | 現業 | 気象及び環境監視 | |
SPOT-4 | R&D | 土地利用 | |
SAGE-III | R&D | 放射収支データセット作成 | |
ScaRab | R&D | 同上 | |
ERS | R&D | SARデータ利用 | |
MODIS | R&D | 植生、海洋監視 | |
AQUA | R&D | 同上 | |
CriS | R&D | サウンディングデータ | |
GIFTS | R&D | 同上 | |
IASI | R&D | 放射収支データセット作成 | |
TRMM-CERES | R&D | 放射収支データセット作成 | |
DMSP SSM/I | 現業 | 数値予報 | |
QuickSCAT | 計画中 | 数値予報 |
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NASDA関連ミッション |
TRMMの降雨レーダ観測データから得られた2年間の月別降水分布(NASDA)
降雨レーダによって海上の降水分布を世界で初めて明らかにした。月別降水分布は気候値(気象の統計データ)の作成に使われる。
左上、左下: TRMMで得られたエル・ニーニョ期間(1998年1月)中とラ・ニーニャ期間(1999年1月)中の降水量
右上、右下: 気候モデルから予想された同期間の降水量 (英国気象庁)
TRMMの観測データは、モデルの検証に使われる。
ADEOS/TOMSによって1996年10月15日に観測されたオゾン全量分布(GSFC作成)。
DEOS海上風観測装置による1997年エル・ニーニョ時の、海面水温と海上風速 (JPL作成)。