おそらく火星には統合された水系環境があったのではないでしょうか。少なくとも35億年前のメリディアニ平原付近には存在し、その水は、鉄分、硫黄に富んだ酸性水だったと考えられます。
地球からの調査と火星の地上探査にもかかわらず、火星の表面に石灰岩は見つかっていません。それは、火星の最初の環境が、非常に酸性度の高いものだったからではないかと考えられます。つまり、この浅い水の環境というのは、生命誕生の頃の地球環境とは化学的にまったく違ったということです。
このような環境下で、火星の生命体は生き延びることができたのでしょうか? リオティントの生命ような、地球に存在する証拠がその可能性を示唆しています。
リオティントにいるのは、進化形の生命体です。しかしながら、これらの生命が地球上でどのように進化したのか、そして、火星でも同様のことが起きたかどうかはわかりません。私たちは、複雑な化学物質から自己複製する有機物への第一歩が、地球上でどのように起こったのかという問いに対する適当な答えを持ち合わせてはいないのです。とは言うものの、一部には生命はどこか別の場所で誕生して、約40億年前に起こったとされるジャイアントインパクトの隕石の破片によって運ばれたと言う人たちもいます。
オポチュニティは、かつて火星に水が存在し、微生物が住める環境があった可能性を示す確かな証拠を今回初めて発見しました。天体生物学、あるいは火星における生命ということについて非常に大きな一歩を進めることができたのです。もちろん有機物が入った化石が見つかったわけではなく、実際に生物がいたかどうかはまだわかっていませんが、今後につながる非常に素晴らしい探査だったと思います。
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