地球が人の住むことができる惑星になった原因を問う場合には、地球と、金星や火星などの地球型惑星の差がなぜ生まれたかということを理解しなければなりません。
私たちは、地球の初期条件を求めるために、実験によって高圧の限界に挑み、地球の表面から深さ千数百キロ、あるいは核マントル境界からさらに地球の中心部にいたる領域を研究していこうとしています。それでわかることは「マグマオーシャンができた直後に、地球はいったいどう分化したのか」「中にどのような成層構造ができたのか」「地球の核となったのはどんな元素なのか」ということです。これらがわかると、最初に地球の表面にできたであろうマグマオーシャンと、そこから分かれてできた大気と海洋の、組成や量がわかるのです。
地球の初期条件、そして最初の数億年間を理解するためには、実験や惑星の理論的なシミュレーションでしか研究できませんが、その後、生命がどの段階で発達して、どのように進化を遂げたかということは、岩石によって知ることができます。化石を得ることができる39億年間の地球の歴史について、化石を徹底的に解読し、地球環境を解析するという方法を使って、地球を取り巻いた大気と海水の状態を明らかにしようと考えています。
また、生命の進化を考える上で、磁場は重要な要素です。太陽風と地球の磁場の相互作用によってできるバンアレン帯は、地球に入ってくる有害な太陽風をカットしていますが、バンアレン帯ができる以前の地球は宇宙と同じような環境で、生命にとって非常に過酷だったはずです。
そしてオゾンの存在。オゾンは、酸素濃度の上昇にともなってでき始めます。地球の歴史の中でいつオゾンできたかということは、生命の陸上への進出に深くかかわっていたと考えられています。
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