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初めて月面に立った時の感想をお聞かせください。 |
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最初に感じたのは、「母国アメリカだけではなく、人類を代表しているのだ」という幸福感でした。そして次に、月の美しさです。月は、太陽に照らされ光り輝く丘陵地帯と、暗黒の空が奏でるコントラストの世界です。私たちが着陸したタウルス・リトロー地域の南西部には2100mの山脈があり、その上空に青く美しいマーブル模様の地球の姿を目の当たりにすることができました。
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博士は月面に降り立った唯一の科学者ですが、宇宙探査に科学者が参加する重要性とは何でしょう? |
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それは、彼らがもつ専門分野の貴重な経験を活かしながら、効率的かつ理知的に作業を遂行できることです。
アポロ計画の宇宙飛行士は、私を除く全員がパイロット出身者でした。確かに、元パイロットであっても、訓練によってきちんと観測できるようになります。しかし、フィールドワークの経験が15年もある地質学者とは、比較になりません。経験豊富な地質学者は、重要なものとそうでないものを瞬時に見極めることができます。宇宙開発で必要とされるあらゆる分野において、蓄積した経験に勝るものはないのです。
地質学者に自分の心臓を手術してほしいとは思わないでしょう? 経験豊富な医師にやってもらいたいと思うはずです。月面探査も同じことで、地質学者としての経験がある人に任せたい。科学者が宇宙探査に参加するということは、非常に有意義なことなのです。
人間が宇宙に行くことは、「脳」という優れたコンピュータを宇宙に持ち込こむということ。加えて、人間には、「目」という優れた視覚能力や、ロボットよりも高精度の操作能力を備えた「手」もあります。決まった手順で機械的に情報収集を行うだけならロボットの方が人間よりも遥かに上かもしれませんが、人間とロボットの優れた面を共に活用してこそ、宇宙で素晴らしい成果が出せるのだと思います。
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