宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の電力異常発生後、約3週間に亘って「だいち」との交信を試みてきました。しかし、このたび交信不能と判断し、平成23年5月12日(午前10時50分)に「だいち」の停波作業(注1)を実施し、これをもって同衛星の運用を終了しましたのでお知らせいたします。
「だいち」は、平成18年1月24日に種子島宇宙センターからH-IIAロケット8号機により打ち上げられ、設計寿命3年、目標寿命5年を超えての運用を通じて、地球観測に関する多くの成果をあげてきました。
これまでの運用にあたり、ご協力をいただいた関係各機関及び各位に深く感謝いたします。
なお、電力異常の原因については、これまでに入手できたデータを元に、引き続き調査を行い、文部科学省の宇宙開発委員会等の場で報告することとしております。
「だいち」の実績・成果
(1)全世界を観測し、5年間で650万シーンを撮像。
(2)災害緊急観測活動による貢献。
- 要請に基づき年間約100件の大規模災害を観測し、国内外へ情報提供。
(四川省地震の際に中国から感謝状を受領)
- 災害発生時の撮像に加え、平時のハザードマップ作りや活火山モニタリングなどにも貢献。
- 東日本大震災では400シーンの撮像を行い、10府省・機関へ情報提供し、政府の情報集約に貢献。
- 「だいち」がこれまで海外の大規模災害へ積極的に対応してきたことにより、東日本大震災では、国際災害チャータやセンチネルアジアによる海外から約5,000シーンの提供を受けた。
(3)国土地理院での2万5千分1地形図の作成・更新に「だいち」データが利用され、また、アフリカ諸国の地図作成にも利用。
(4)ブラジルの森林伐採監視(ブラジルから感謝状を受領)、世界銀行との協力(気候変動の影響監視)など、地球環境分野でも貢献。
注1)「だいち」搭載の送信機とバッテリーを停止するコマンドを地上より送信すること。
注2)「だいち」の主要な成果につきましては、以下の平成19年4月18日、平成21年2月25日、平成22年2月17日及び平成23年4月6日の宇宙開発委員会報告資料をご参照下さい。
(1)平成19年4月18日 宇宙開発委員会報告資料
陸域観測技術衛星「だいち」の定常観測運用での成果について
http://www.jaxa.jp/press/2007/04/20070418_sac_daichi_j.html
(2)平成21年2月25日 宇宙開発委員会報告資料
陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の定常運用段階終了と後期利用計画について
http://www.jaxa.jp/press/2009/02/20090225_sac_daichi_j.html
(3)平成22年2月17日 宇宙開発委員会報告資料
陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の後期利用段階の利用状況について
http://www.jaxa.jp/press/2010/02/20100217_sac_daichi_j.html
(4)平成23年4月6日 宇宙開発委員会報告資料
東日本大震災のJAXAの対応について
http://www.jaxa.jp/press/2011/04/20110406_sac_earthquakes_j.html
別紙
「だいち」が捉えた最後の地球
(1)高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)によるアラスカ周辺

観測終了4月22日5:21(JST) |
 |
(2)パンクロマチック立体視センサ(PRISM)によるアラスカ周辺

観測終了4月22日5:21(JST) |
 |
(3)フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)によるアフリカ・コンゴ周辺

観測開始4月22日6:15(JST)
アフリカ中央部チャド湖 |
 |