技術試験衛星VII型「きく7号」(ETS-VII)は「おりひめ・ひこぼし」と言う愛称で、将来の宇宙活動において必要なランデブ・ドッキング技術や宇宙用ロボット技術を修得することを目的とした人工衛星です。
この衛星は、チェイサ衛星(ひこぼし)とターゲット衛星(おりひめ)の2機の衛星から構成されており、2機は打ち上げ後宇宙空間で分離し、自動操縦により分離や接近・ドッキングを行うランデブ・ドッキング実験を3回実施しています。
きく7号は、2つの宇宙機の接近・結合を自動及び遠隔操縦により行うためのランデブ・ドッキング技術実験と、地上からの遠隔操作により無人で軌道上作業を行うための宇宙用ロボット技術実験を行いました。宇宙用ロボット技術実験ではNASDAによる技術実験に加え、通産省・電子技術総合研究所、通信総合研究所、航空宇宙技術研究所による宇宙用ロボット要素技術実験が行なわれます。また、上記の技術実験を、地上からデータ中継衛星(TDRS等)を経由して行うことにより、データ中継衛星を介した軌道上作業の運用技術を修得します。これらの技術は、我が国にとって初めての技術であり、世界的に見ても未だ十分に達成されていない最高水準の技術です。きく7号の実験により、軌道上作業に必要となる技術の基礎を確立することができます。
きく7号では、ランデブ・ドッキング、宇宙用ロボット技術実験時の衛星の遠隔操作をNASDAの追跡管制局からデータ中継衛星(TDRS)を経由して行います。
国際標識番号 | ひこぼし1997-074B/おりひめ1997-074E |
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打ち上げ日時 | 1997(平成9)年11月28日 6:27 |
打ち上げロケット | H-IIロケット6号機 |
打ち上げ場所 | 種子島宇宙センター |
形状 | ひこぼし:2.6m×2.3m×2.0m おりひめ:0.7m×1.7m×1.5m 展開型太陽電池パドルを有する箱型 |
質量 | 約2,860kg |
軌道 | 円軌道 |
軌道高度 | 約550km |
軌道傾斜角 | 約35度 |
軌道周期 | 約96分 |
姿勢制御方式 | 三軸姿勢制御方式 |