理事長挨拶・定例会見

平成19年10月
平成19年5月 理事長定例記者会見 立川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします。
日 時:2007年10月11日(木) 13:30〜14:15
場 所:東京事務所プレゼンテーションルーム

トピックス
・JAXA設立4周年を迎えて
・9月14日「かぐや」打ち上げ成功
・第58回国際宇宙会議(IAC)ハイデラバード大会の参加について
・NASAの新宇宙飛行士募集について
・「きぼう」有償利用テーマを公募
・「すざく」の観測結果について
・大気球実験場について
・国立大学法人東京大学との連携協力協定締結について
・WINDSの愛称について
・気球実験について
・今後のトピックスについて

JAXA設立4周年を迎えて

2003年に3機関を統合し、JAXAとしてスタートしました。統合当初は残念ながら失敗もあり皆さまにはご迷惑をお掛けしましたが、ようやく軌道に乗ったと感じております。この4年間を振り返ってみますと、初期の統合目的を達成でき、ロケットの打ち上げも延べ10回成功しまして、着々と成果を上げつつあると感じております。
設立4周年にあたりJAXAの経営理念である「宇宙航空分野の研究開発を推進し、英知を深め、安全で豊かな社会の実現に貢献する」という原点にかえり、更に今後の発展に寄与したいと思っております。
我々は、「国民の期待と信頼に応え、関係機関と協調し事業を進め、世界一流の研究開発を目指す」ことを行動規範にしておりますが、それを再認識して進んで行きたいと思います。具体的には2005年に長期ビジョンを作成しましたが、このビジョンの具現化を図って行きたいと考えております。特に第二期中期目標期間(平成20年度〜24年度の5年間)では、更なる具現化に向け、一歩前進したいと思っております。


9月14日「かぐや」打ち上げ成功

9月14日に「かぐや」の打ち上げが成功裏に終わり、10月4日には月周回軌道にも投入できました。今回の打ち上げの特徴は、H-IIAロケットの民間移管の初号機でありました。三菱重工業さんも順調なスタートが出来たと思います。
また、既に報道されておりますが、「かぐや」に搭載されているハイビジョンカメラの画像は、地球が半分程、写っている画像でした。今後、そのハイビジョンカメラで「地球の出」を撮影してくれるだろうと期待しております。
現在「かぐや」は月周回軌道を下げており、まもなく100キロメートル位に到達すると思います。子衛星の分離も着々と進めております。観測運用については12月頃から開始を予定しております。


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第58回国際宇宙会議(IAC)ハイデラバード大会の参加について

インドのハイデラバードで開催された第58回国際宇宙会議(IAC)に出席してきました。この会議には主要の7機関の機関長が出席しパネルディスカッションを行い、各国がそれぞれの考えを表明しました。
また、併せて各宇宙機関とのバイ会談(二機関間の直接会談)も行いました。いくつか興味のありそうなものをご紹介しますと、ロシアは2012年頃、月探査用のルナグローブという月周回衛星を打ち上げる計画があります。この打ち上げに日本が開発しましたペネトレータを搭載していただくことを考えておりまして、検討を行っていきます。
現在ロシアは2040年までの長期ビジョンを作成しているとのことで、年内には大統領の了承も得られると伺っております。近日中に発表されることと思いますが、事前にロシアの長官からもご紹介があり、これから開発する輸送機で月へ向かい、月に基地を作ることも考えているとのことです。
中国は嫦娥という月周回衛星を10月下旬に打ち上げるとのことで、JAXAも招待されており、副理事長と専門家が行く予定にしております。
インドもチャンドラヤーンという月周回衛星を来年に打ち上げる予定ですが、インドの長官より、月の観測データ交換を行いましょうという話をされ、知を高めていきましょうという話をしました。


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NASAの新宇宙飛行士募集について

NASAが新宇宙飛行士を募集するとのことです。募集は、来年の7月に締め切るとのことです。NASAは100数十人の宇宙飛行士がおりますが、月・火星探査の要員として、募集を行うということです。そろそろ、日本も宇宙飛行士の募集について考えなければならないと思っております。


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「きぼう」有償利用テーマを公募

「きぼう」有償利用テーマ公募に向けた今後の進め方について発表しました。「きぼう」を利用するために必要な費用は利用者の皆様にご負担いただきますが、商業利用など利用者の皆様の自由な発想で「きぼう」を活用いただくことのできる制度です。テレビコマーシャルとして使用できるのではないかと思います。公序良俗に反してはならない等の制限事項等もありますが、応募していただければと思います。


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「すざく」の観測結果について

新聞等にも取り上げていただきましたが、2年前に打ち上げました「すざく」の研究成果で良い結果がでました。宇宙線が超新星爆発により生じたとの仮説の検証が出来ました。主たる成分は電子ではなく陽子であるということが判ったということです。10月4日発行の科学雑誌Natureに掲載され、世界的に脚光を浴びております。


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国立大学法人東京大学との連携協力協定締結について

10月5日に東京大学と連携協力協定を締結しました。8月に東北大学とも協力協定を締結しましたが、それに続く2番目の協力協定です。ご存知のとおり東京大学との協力は、宇宙科学研究所時代から連携は進んでおりますが、大学も独立法人になり、改めて連携協定を結びました。
この機会に始める試みとしては連携講座を作ろうと計画していており、東京大学でエンジンのコンピュータシュミレーションの共同研究を行う事にしました。来年の4月から開始する予定です。


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WINDSの愛称について

衛星の愛称募集は、宇宙開発に係る理解増進を図ることを目的としております。来年打ち上げる予定の超高速インターネット衛星WINDSの名称が「きずな」に決まりました。昨日の宇宙開発委員会でも報告させていただきましたが、応募総数約1万人に対して約460票が「きずな」に応募されました。これは全体の約5%の方々が「きずな」に応募されたこととなります。「SELENE」の募集の際は、全体の約10%の方々が「かぐや」に応募されました。


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気球実験について

JAXAは、気球の実験を行っておりますが、平成19年度の第二次の気球実験は9月に終了しました。この機会に三陸における気球実験所を閉鎖することにしました。
来年度からは北海道大樹町で実験を行うことになります。なぜ北海道に場所を移動したかと申しますと、残念ながら三陸沖上空では偏西風、戻り風が東北上空では弱まっており、気球の回収に苦労しております。また、航空路の関係や人家に近い関係もあり、条件の良い北海道に移動することにしました。


宇宙医学生物研究室長の紹介について

国際宇宙大学(ISU)で教鞭をとっておられた向井千秋 宇宙飛行士が宇宙医学生物研究室長に就任されました。JAXAの宇宙医学発展に貢献してもらいます。


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今後のトピックスについて

・ 筑波宇宙センター一般公開(10月20日)
・ JAXAタウンミーティングin木津川市(10月20日)
・ JAXAタウンミーティングin鳥取市(10月28日)
・ JAXAタウンミーティングinいわき市(11月10日)
・ 日本インド共催APRSAF開催inインド・バンガロール(11月21日〜23日)


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