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 日本に向けられた期待が非常に大きいことも、今回の会議を通じてあらためて感じたことのひとつです。そもそも「宇宙の平和利用」を高く掲げて発足した日本の宇宙機関は、世界宇宙飛行士会議の理念とも根底のところでつながっています。そして今や日本は、理念を超え実質を伴う貢献ができるレベルに達しています。日本人宇宙飛行士の訓練と国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の運用などを担う筑波宇宙センター(TKSC)を、彼らは高く評価してくれました。共同議長のレオノフ氏などは「TKSCはロシアの過ちを踏まえて、正しい努力を行っている。必要なやり方をすべて取り入れ、方向性も確かだ。素晴らしい専門家・学者がたくさんいて、どんな課題が与えられてもそれに答えられる」と面はゆいばかりに絶賛し、「日本人宇宙飛行士が面白い仕事をしてくれることを確信している」と語ってくれました。TKSCのスタッフはむしろこの賛辞に身が引き締まる思いだったかもしれません。

 会議のプログラムには、「クルーセーフティ(乗組員の安全性確保)」のセッションがあります。コロンビア号の事故後最初の会議ということでたいへん注目されました。そこで私は、日本で生み出された高度な技術、たとえば超高感度のハイビジョンカメラなどが安全性の向上に貢献できるはず、とコメントしました。その背景にあったのは、「それぞれの国や機関が得意な技術や独自の知恵を持ち寄ることで問題を解決していけるはずだ」という思いです。宇宙飛行士が長い訓練を経て宇宙に飛び出すのと同じように、地上で十分に練り上げられた技術が宇宙で花開くときを待っていて、そうした技術はこの日本にも多くあるに違いないと思うのです。

「中国の有人飛行成功」に寄せて、日本独自の有人飛行の可能性について何度も聞かれました。私は自然な流れとして、日本もいずれはやるようになると思いますし、それを通じて人類の宇宙活動に大きな貢献もできるはずだと思います。それがいつかについては、多くの人とこれから話し合っていかなければならないことになるでしょうが、「いずれは」と思い定め、技術を磨いていくことはたいへん重要なことだと思っています。


アレクセイ・レオノフ氏写真
アレクセイ・レオノフ氏

関連リンク:
第18回世界宇宙飛行士会議


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