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ともあれ、この実験の全体を通じてわれわれがやりたいことは、「従来の使い捨てロケット」では経験することのない再使用ロケット固有のシステムについて、実際に飛行可能な機体を作って繰り返し飛ばしてみて勉強することです。
例えば、ロケットと飛行機の信頼性の違いについてよく言われますが、使い捨て型のロケットでは、機体やエンジンの不具合は、直ちにミッションの放棄や機体の破壊などに直結します。一方飛行機では、エンジン一機が故障しても目的地への飛行継続が可能ですし、もう一機のエンジンが故障した場合でも、所定の操縦性を失わず安全に着陸できるという仕掛けや途中の着陸場が用意されて運用されています。要するに、故障しても大丈夫な仕掛けが、信頼性や安全性の向上のかなりの部分を占め、ロケットでいわれるような故障の確率をただ下げるだけではないことがその本質です。これは単に2重や3重の冗長系を用意することだけでなく、壊れる前にどう検知するとか、エンジンが一つ止まったときのバランスをどうするとか、空気の力でどう操縦性を確保するなどのシステム全体の構成にかかわる話です。
また、旅客機のような経済性を要求される機体では、その飛行間隔(ターンアラウンドといいます)をできるだけ短くすることが求められます。要するに、地上にいる飛行機は、何もお金を生み出さないのです。故障したらすぐ捨てるロケットを1年に1回しか打たない今のロケット屋には、このような発想はありません。この実験機のような小さな機体では全部のことはできませんが、このような本格的な再使用のシステムはどんなものかを考えて設計してあります。
例えば、飛行中のどの時間に故障を検知しても安全に緊急着陸するとか、着陸してから機体を安全な状態に戻し、次の飛行の準備をすぐにやるなどといった仕掛けです。今回は天気の都合などでできませんでしたが、前回の実験では1日1回の飛行を連続して行いました。 |
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