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さて、このように頻繁に繰り返し飛行することを前提に打ち上げるような機会は本当にあるのでしょうか。あるいは、輸送系の研究開発の立場から、ロケットの次のゴールはどのように考えたらよいのでしょうか。
われわれの考え方を少し述べます。つまり、今の宇宙への輸送の需要の世界は、情報を電波に乗せてばらまく仕事と、宇宙ステーションの建設のように、経済性の世界とは別の原理でドライブされる輸送、それと科学探査などです。この世界では、例えば衛星放送の聴視者から少しずつのお金を集めれば、今の使い捨てロケットで打ち上げるお金はまかなえてしまいます。また、科学探査や宇宙ステーションはすべて税金でまかなう世界です。スペースシャトルでは、ご存じのように部分的に再使用するシステムを作りましたが、今の程度の輸送需要と飛行頻度では、むしろ使い捨てロケットより高くついています。本当の意味で繰り返し飛行が役に立っている図式とは言えませんし、むしろ批判が多いのも事実です。
これに対し、未来の需要は、現在の需要とは本質的に異なるものです。例えば、1基3万トンほどの軌道上の発電所を何十基も上げて、地球のエネルギー問題や環境問題を解消しようとか、年間に100万人の宇宙旅行の旅客を輸送しようという全くスケールの異なるものです。前者では、最終的な電力価格が他の発電と競争できること、後者の旅行では、切符を1枚いくらで提供できればこのくらいの乗客がいるというマーケット調査に基づいて、経済的に成り立つ輸送システムはこうすべきだという要求が決まります。この時の輸送の形態は、今の飛行機のように、大量かつ頻繁に繰り返し飛行を行うことができるシステムでなければ成り立たないことは容易に想像できます。 |
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