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ジェット機が登場したのもヒトラー政権下のドイツでのことでした。1939年の開戦の1週間前に初飛行を行ったジェット推進によるハインケル178号機がそれです。しかし、優れた可能性を秘めていた同機に対してヒトラーが関心を示さなかったため、実用機として戦場に登場したのは戦争末期で、その時にはもはや戦局を変えることはできませんでした。
ジェット機が旅客機として登場したのは1952年の英国デハビランド社のコメット(彗星)1型機が初めてです。コメット機は機内を気密室にして与圧し、高度約1万mの成層圏を飛行して、速さ・航続距離などこれまでの飛行機とは比べものにならないほどの性能を実証し、人々に快適な空の旅を約束しました。しかし、残念なことに1953〜'54年にかけて与圧による金属疲労のために相次いで空中分解事故を起こしてしまいました。そして、原因究明やその対策に時間を費やしていた間にボーイング社がB-707型機の開発に成功し、世界の市場が完全に米国に移ったという経緯があります。一方で、ジェットエンジンは航空事故の大幅な減少に貢献しました。往復運動を回転運動に変える複雑な機構をもつプロペラ推進に比べ、ジェットエンジンは故障の少ない回転部分が主で安定して大きな推進力を生み出すことができるためです。
このように100年間で旅客機に限っても航続距離はおよそ4万倍、速度はコンコルドで150倍と飛躍的な進歩を遂げたことになります。 |
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ボーイング707

コンコルド |
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