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ヘリオスフィア(太陽圏)の想像図。中央の小さい点は太陽を表す(提供:NASA)


ボイジャーに取り付けられたゴールドディスク(提供:NASA)


太陽系外惑星(左下の赤い物体)
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今ボイジャーはどこを飛行しているのでしょうか?
現在、2機のボイジャーとも恒星間空間への旅を続けていて、1号は太陽から約140億km、2号は約110億kmのところを飛行中です。
“太陽圏の果て”(ヘリオポーズ)の手前では、時速150万kmという超音速で吹いている太陽風が、恒星間ガスにぶつかって急速に減速されターミネーションショック(末端衝撃波面)が形成されています。ボイジャー1号は、そのターミネーションショックを飛行中です。
ボイジャーがこれほど長期間飛行することを予想していましたか?
ボイジャーが長期間飛行することは期待していましたが、打ち上げられた1977年というのは、宇宙時代が幕を開けてから20年しか経っていない頃です。こんなに長い間飛行することを、研究に基づいて予測するのは不可能でした。しかし打ち上げ後、「探査機の寿命が消耗部品次第である」こと、「信頼性を高めるには全体の機能に余裕をもたせればいい」ことが分かってきました。ボイジャーに搭載された原子力電池は、故障しない限り2020年まで持ちます。その頃ボイジャー1号は、太陽から約224億4000万kmという地球と太陽の150倍の距離に達し、恒星間飛行をする人類史上初の探査機となっていることでしょう。
ボイジャーに取り付けた「ゴールドディスク」の目的は何ですか?
ゴールドディスクは、旧式のアナログレコードですが、地球上のさまざまな写真や言語、音声などが記録されており、知的生命に地球を紹介するためのものです。ボイジャーを恒星間空間に到達する初めての探査機にすることは、打ち上げ当時から目指していたので、1号、2号ともに、飛行ルートは太陽圏を脱出する最短距離を選びました。そして私たちは、地球外知的生命に向けて、「地球(人類)の技術が、地球を離れ、ついに恒星間空間に到達するレベルになった」というメッセージを送ろうと思ったのです。実際に知的生命がディスクを発見することはないかもしれませんが、私たちの技術が永久に地球を離れ、恒星間空間に達するということに意義があるのです。
地球外知的生命の存在を信じていらっしゃいますか?
私たちの銀河や宇宙に多くの惑星が存在していることは、明らかです。この宇宙のどこかに微生物などの生命が存在している可能性は、かなり高いと思っています。もしかすると、私たちの太陽系のどこかにも微生物が存在しているかもしれません。「かつて火星には生命が存在していた」「もしかしたら今も存在しているかもしれない」「木星の衛星エウロパのひび割れた氷の下に、生命がいるかもしれない」とも言われていますからね。私たちの銀河系のどこかに微生物が生きている可能性は、非常に高いと思います。
今後、宇宙探査を進める上で大切なこととは何でしょう?
宇宙探査と宇宙開発の目的は、以下の宇宙における5つの分野を発展させることだと考えています。
1.物理―いまだ訪れたことのない場所に探査機が行く
2.知識―宇宙には何があるのかを理論的に理解する
3.技術―宇宙という新しい領域で、人間の活動を可能にするための技術を開発する
4.人間―宇宙で人間がどう機能できるかを考察する
5.利用―私たちの生活をより豊かにするための宇宙開発を考える
宇宙探査を計画する世界中の宇宙機関は、この5つのうちの1つ、またはそれ以上に取り組むべきだと思います。宇宙探査の幕開けからわずか50年で、まだまだ成すべきことが山積みですが、宇宙での可能性を広げるためには、この5つの分野に挑戦することが不可欠です。
宇宙探査で最も大切なのは、新しいことを学び続け、それを実践すること。
ある場所へ初めて訪れることによって、新しく何かを学ぶ。そこに何があるかを見て、理解することによって学ぶ。未知の体験を可能にする技術開発から学ぶ。宇宙における人類について学ぶ。地球について学び、私たちの生活をより豊かにするために、宇宙観測の利用の仕方を学ぶ。すべてにおいて、学ぶことが将来への鍵となるのです。
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