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宇宙は人間の探究心をかきたてる

Q. 監督は小学生の頃、名古屋の科学館で「星の会」に入会されていたそうですが、子どもの頃は宇宙に興味があったんですか?

子どもの頃は、宇宙に興味があるといっても、月に1回、プラネタリウムの演目が変わると友達と一緒に見に行って、冬の星座はこれ、春の星座はこれ、南半球に行くと南十字星が見えるとか、その程度のことしか知りませんでした。マニアックなことは分からず、それよりも、科学館で売っていたカレーホットドッグがおいしいから食べようとか、そっちの方に興味がありましたね。特に天文少年だったというわけではありません。
でも、NASAの「ボイジャー」が打ち上がった頃(1977年)から何となく宇宙探査に興味を持つようになって、今どこに何が飛んでいるというのは何となく知っていました。いまだに宇宙への活動には非常に興味があって、たまに新聞で「火星の表面の写真」とか「宇宙空間でこんなことがありました」という記事を読むとワクワクします。 Q. 宇宙のどういうところが好きですか? 私が少年時代を過ごした1960年代は、映画「2001年宇宙の旅」が上映されるなど、宇宙に対して非常に夢があった頃です。私自身も小学生の時には、21世紀の早い時期に、あらゆる人間は少なくとも大気圏外を旅行できる可能性があると思っていましたし、もしかしたら月にコロニーができているんじゃないかと真剣に思っていました。そういう内容の漫画やSFもたくさんありましたからね。でも実際に21世紀をむかえると全然そこまで行っていなくて、人間の宇宙への挑戦はまだ始まったばかりという感じです。
現在、軌道上に国際宇宙ステーションがあって実験をしたり、探査機がいろいろな惑星に飛んでいるという意味では、少年時代に夢見たことに近いものはあります。ただ、それ以上先の話になると、「イトカワ」ですら地球からの電波が届くのに17分もかかるんですから、もっと遠くの宇宙のことになると想像もつきません。タイムマシンと一緒で、何十億年という過去を見ているわけですから、もう神の領域という感じがします。しかし、ダークマターやニュートリノなど深宇宙をどんどん解析している人たちがいるんですよね。
このように、「宇宙」という未知の世界に対して飽くなき探求をすることはすごいと思いますが、宇宙には人間をそうさせる魅力がある。人間の探究心をかきたてる何かがあるんです。私は宇宙のそういうところが好きです。

プロの世界を観られて、しかも心温まる映画

Q. 将来の日本の宇宙ミッションに期待することは何でしょうか?

人間が開発できる、もしくは行って見てこられる部分への私の興味はいまだに尽きません。できれば月から火星や木星など、どんどん積極的に行ってほしいと思っています。
今回の映画の最後のエンディングロールで、ペンシルロケットから始まった日本の科学探査機の略歴を写真で紹介したんですが、あのような探査機を1年に2〜3機くらい、もっとどんどん飛ばしてほしいと思います。
もちろん予算の限界もあるでしょうし、いろいろ難しい問題があるかもしれない。でも現実に「はやぶさ」がイトカワの砂を持ち帰ったことは、科学的な成果としてすごいだけでなく、私たちにたくさんの夢を与えてくれたと思うんです。ですから、もっとアグレッシブに宇宙を追求していってほしいと思います。 Q. 映画をこれからご覧になる方たちにメッセージをお願いします。 「はやぶさ/HAYABUSA」は決して難しい映画ではなく、とても見やすい映画だと思います。科学的な専門用語が飛び交っているところもありますが、それは、スポーツ選手やミュージシャンが、私たち素人には分からない言葉で語ることがあるのと一緒です。私はこの映画で、プロフェッショナルの世界がどうなっているのかをきちんととらえたつもりでいます。
それと同時に、非常に優しい気持ちを持った温かい映画だと思いますので、「はやぶさ」ファンはもちろん、女性の方。そして、おじいちゃんやおばあちゃんがお孫さんと一緒に映画館に来ていただくなど、是非いろいろな方に見てほしいと思います。

関連リンク: 映画「はやぶさ/HAYABUSA」公式サイト

(写真提供:20世紀フォックス映画)

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