講演・パネルディスカッションの要約(サマリー) |
■主催者挨拶
宇宙航空研究開発機構 理事 堀川 康 |
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●本日はお忙しい中お集まりいただき、心よりお礼を申し上げます。(場内の混雑ぶりに触れ)もっと広い会場を選ぶべきであったと反省し、おわび申し上げます。
●2月はじめの初画像には私自身もたいへん感動致しました。また、地すべりや洪水や噴火や地震など、アジア地域での自然災害が頻発したため、急遽関係する画像を取得し、現地で少しでも役立てられればと関係諸機関に提供してきました。
●本日参加されているのは、いわばプロのみなさんが中心ですが、今後はその利用層をもっと広げていきたい。そのためにもご協力をお願いしたいと思っています。
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■挨拶
文部科学省 研究開発局 審議官 井田 久雄氏 |
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●だいちの活躍ぶりは各国からも注目され、ますます期待が集まっている。本来の目的である地図作製をはじめとするミッションなどを通して、その成果が国民生活に還元され、理解され、実感してもらうことが重要と考えています。
●本日お集まりの方々の協力とご理解で宇宙政策がより有意義なものとなっていく。どうかよろしくお願いしたいと思います。
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■ALOSの概要と運用状況
宇宙航空研究開発機構 ALOSプロジェクトマネージャ 富岡 健治 |
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●(実画像を織り込んだCG画像を用い、センサ構成や衛星の概況を解説しながら)長くALOSに関わってきたみなさんは、CG部分は何度もご覧になった映像だと思うが、今日お見せしているのは、富士山やオホーツクの流氷など、実際に取得された画像をはさみ込んで再編集したものです。こうした形でご紹介できることに喜びを感じています。
●(ミッション要求とシステム仕様などの関連性、ALOS固有の新技術、データ伝送経路などを解説しつつ)たとえばALOS固有の新技術としては、衛星構体各部の熱膨張をゼロに近づけるような特殊な炭素材料を使い、高解像度でミッション要求に応えています。
●(ALOSならではの画像として)富士山の初画像や、噴煙を上げる桜島。ハマチ養殖で知られる錦江湾では赤潮の兆候も見てとれる。北海道・オホーツク海ではPALSARで350km幅を一気に撮像するトライアルを行い、流氷もとらえました。
●(主要成果として)高分解能で連続撮影をするセンサとしては、PALSARによる「フルポラリメトリ」観測は世界初。AVNIR2とPALSARの同時稼働も世界初。データ中継衛星「こだま」との間でのデータ伝送速度278Mbpsは世界最高速といった成果を上げ、アジア地域の大規模災害にも対応してきました。
●(各国へのデータ提供体制、開発スケジュールなどに触れた後)現状までに、設計目標をほぼ満足する成果が得られています。今後いっそうの利用拡大に向け努力を続けます。
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■ALOSデータの校正検証状況と観測画像から見るALOSの特徴
宇宙航空研究開発機構 主幹研究員 島田 政信 |
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●打上げから5か月が過ぎましたが、私たちのチームにとっては(データ本格提供までの)3か月以内にキャリブレーションを終了しなければならないわけで、残り時間が少なくなってきていることを実感しています。現段階の校正作業の状況などをお知らせしたいと思います。
●校正というと堅苦しい仕事のように思われるかもしれません。皆さんに画像を提供する上で、色つき画像である「標準プロダクト」、さまざまに利用しやすいよう、倒れ込み補正などを施した「高次プロダクト」など種類がありますが、その画像・データを使い物になるようにするための裏方の仕事です。
●各センサはみな順調で、予測通りの性能が出ています。PALSARによる画像など、解像度もあり深みも重みもある実に良い画像だと見ていてほれぼれする。
●この5か月間に約100回、地上でPALSARの電波を、入射方向に反射する「レーダーキャリブレーター」を用いてキャリブレーションを行ってきました。4.5mの分解能が実地に出ています。スイスのザルツブルグの画像や、アマゾン流域を350km幅で撮った画像を見てほしい。雨が降った後の川の流れを抽出できている。また、世界初の「フルポラリメトリ」データと、インターフェロメトリの組み合わせで森林の木の高さなどを知ることができ、(バイオマス量の推定などに)成果が期待されています。
●日本国内の観測画像に、一部ノイズかと思うような点が映っていたので拡大してみたら、旅客機だった。双発のジェットのボーイング767型でしょうか、機種まで分かります。あるいは光が線を引くスミアが見られたので、現地(静岡県)まで行って現場で確認したところ、ビニールハウスがあった。屋根の角度などの条件でこういうことが起きました。
●インドネシア・メラピ山の4月と6月の観測データを比較しての、インターフェロメトリ画像を得ています。この図はまだベースバンド(比較対照に用いた衛星軌道の間隔)が1.7kmと長いものですが、ここ2週間以内にもっと精度の高い画像が公表できると思っています。タイ北部の洪水の場合も、JERS-1による過去の観測データの蓄積があったおかげで、それとの比較から洪水の範囲を推定することができています。
●校正作業に関しては、これまでの5か月で1万3000シーンを取得し、現在も進行中です。あと3か月もあっという間にすぎることでしょう。
●ぜひALOSのデータを使っていただき、感想をどんどんお寄せいただければと思います。
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■地理情報の整備から見たALOSデータへの期待
東京大学 空間情報科学研究センター長 兼 教授 柴崎 亮介氏 |
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●「2003年打ち上げ!」というプロモーションビデオをずっと見ながらやきもきしていました。種子島には出向けず、大学でインターネット中継で打ち上げを見届けましたが、ちょうどそれが偶然にも国土地理院の方との会議の最中のことでした。
●ALOSデータに期待することは、この衛星ならではのユニークさを存分に生かしてほしいということです。2003年6月のエビアンサミットで提言された「GEOSS(=Global Earth Observation System of Systems=全地球観測システム)」は「健全な意志決定のために包括的かつ高品質の地球観測データを、長期間にわたって提供する、複数の観測システムからなるシステム」を目的としている。実現のためにはデータの共有と統合が鍵になります。
●XMLという情報と情報構造の記述形式は、数式やベクトルデータ、デジタルTVプログラムなどさまざまな分野で利用が広がっている。タグの定義なども可能な、非常に柔軟性の高い形式なので、これに沿うかたちで標準化が進むのは必然。ただ標準化は「縛り」を増やすということにもつながります。(インターネットでアクセスできる世界地名辞書“GEOnet Names Server”を例示しながら)世界各地の集落レベルの地名まで網羅し、表記揺れもカバーしている。こういうサイトやサービスも参考になるでしょう。
●(建設CALSなどを例にひきながら)地理情報と土地利用情報、施設情報などと地理情報の統合が重要です。安くて良いものが提供されると次第にそこに統合されていく、というのが期待したいシナリオです。防災に地理情報をどう生かすか。たとえば大雨で堤防が決壊すると、水がどうあふれたかを知るだけでは十分でない。その土地の人口や年齢別の分布、あるいは具体的に「誰が」住んでいるのかを洗い出し、どういうルートで救出に向かえばいいかまで洗い出すものができないかと思います。
●今後のデータ作成戦略についてだが、「集中と分散」はこの分野でも当てはまる。どんな地図でも「ピタリと重なる」ことが重要なので、軌道・座標情報はある機関が集約して行う必要がある。その地図にどんな情報を載せていくかは、さまざまな機関や個人が担い、地図の利用が豊かなものになっていきます。
●分散型の好例としてDCP(Degree of Confluence Project)をご紹介したい。東経137度・北緯36度といった経緯度が整数値となる地点に出向き、その場所の写真を撮ってサイト上に登録するもの(潜水艦で出向き、北極点まで登録されている)。非常に興味深いもので、いろいろな展開や統合が期待できるものです。
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■森林リモートセンシングとALOS
九州大学 助手 村上 拓彦氏 |
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●私が最初にALOSデータを受け取って、何にどう驚いたかを今日はお伝えしたいと思います。
●そもそも森林リモートセンシングは林種判読、林道のトレース、病害虫発生の状況判別、違法伐採、森林火災の発見・把握などに有用です。ALOSのAVNIR-2に関してはマルチスペクトル(可視〜赤外をワイドレンジで)の観測に、PRISMに関してはDEM(デジタル標高モデル)について期待している。PALSARについては森林バイオマスの把握に今後の期待が高まっています。
●まず、解像度に驚きました。(AVNIR-2+PRISMによる高解像度カラーの)パンシャープン画像で宮崎県にある九州大学演習林の一帯を見てみたが、林道まで詳細にとらえられており、過去のLANDSAT画像と比較することで、その間の伐採地の抽出もできました。
●ALOS利用協議会でも言ってるように、衛星データの利用促進にGISの存在は大きい。まずはGISの背景図として使ってもらえるようなプロダクトが出てくれば良いと思う。例えば、社団法人日本森林技術協会のForest Wide Imageは森林域に特化した色調補正を施した衛星画像地図である。
●なお、日本の森林はほとんどが山間の傾斜地にあります。オルソプロダクト(斜め上空から見たデータを、真上から見たデータとして使えるよう、標高データに基づいて修正したもの)が利用拡大の鍵を握ることになります。山間地であっても、ピクセルtoピクセルの重ねあわせに耐える高品質のオルソ化画像が最初から提供されれば、背景図としての利用から広がっていくでしょう。年1回程度の更新があればなお安心です。
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■ALOS画像による広域緑地モニタリング ー地域生態系解析への適用−
鳥取大学 教授 長澤 良太氏 |
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▽長澤良太氏(鳥取大学農学部教授・景観生態学研究室)
●緑地抽出という観点でお話ししたいが、とりもなおさず植生図の作成という国家プロジェクトです。5月の連休明けにいただいたデータを大急ぎで処理でした画像を例にお話しします。
●広域緑地モニタリングをどういう主体がやるかで、どんなデータが必要かが違ってくる。国が担当する、広いエリアを対象としたものであれば、これまでの衛星画像で十分間に合っている。15万分の1ならばAVNIR-2もLANDSATも同じなのです。それが県単位、市町村単位となると話が変わってくるわけです。その鍵を握っているのは、道路や橋や建物まではっきり判別できるほどのALOSデータの「解像度」でした。
●「植生区分」は大きな項目だけでも58項目。リモートセンシングで判別しやすい物理的な相違のはっきりしたものもあるが、精密にやるには人力での作業(写真判読)であり、それを広範囲にわたってやりきるのは、(作業量と難しさからいっても)現実味はありません。
●今回、神奈川県の相模川中流域の植生データを比較してみた。従来から利用されている「最尤法(さいゆうほう)」による分類画像と、対象の形状を手がかりにする「オブジェクト指向」の分類手法(ソフトウェア)を用いての分類画像を作成し、実際の植生図と比較してみました。用いたのは“eCognition”というドイツ製のソフトウェアです。ここにたとえば「水田は方形」といった具合に特徴的な形状を覚え込ませ、分類の助けにするわけです。
●高い解像度があってはじめて形状が抽出できる。結果として従来の「最尤法」に比べ、人間がやるのにかなり近い結果を得ることができました。作業しながら分かったが、「高解像度ゆえに、オブジェクト判別が有効」なわけです。
●「野生生物の適地マップ」のような、環境アセス等への適用も可能なデータをこうした手法で得ることができるだろう、と思いました。
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■ALOSデータによる農業監視戦略
東北大学 教授 斎藤 元也氏 |
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●日本の食料輸入率は60%。世界の農業監視は「自分たちの胃袋」のためにも必要なのです。
●2006年5月4日のALOSデータをもらったが、この日は実は「特異日」。兼業の多い日本の農家が、ゴールデンウィーク中の休日にあわせいっせいに田植えを行う。じいちゃんばあちゃんが面倒を見る田んぼに、町に出て暮らす息子や娘たちが帰ってきて田植えを手伝うわけで、しかも全国的に晴れていました。
●北海道から東北を南下する形でALOSのPALSARとAVNIR-2はデータを取得しています。北海道では1区画が大きいのが特徴的です。休耕し小麦などを植えている区画はAVNIR-2のカラー合成画像で赤く映っているが、まだ水を入れている田は少ない様子。これが、岩手、仙台、福島と南下していくにつれ湛水田の比率が増えてきます。
●PALSARのデータでも湛水田がはっきり判別できます。水面ではレーダーの電波を入射と反対方向にほぼ全反射するので、暗く映るからです。より広い範囲を観測する有効な手段である。
●メラピ火山の防災目的での観測データからも、周辺の農地の事情がよく分かります。災害監視の小判ザメ的な農業モニタリングも手かもしれません。
●ALOSのデータを見て、あらためてぜひ早い時期に後継衛星/センサの計画を動かしてほしいと強く感じました。これは研究の継続、ひいては日本が世界に冠たる「作物統計技術」の強みを生かしていけるかどうかに関わる問題です。実はこの技術プレゼンスは下降気味であり、それだけになおさら日本の衛星データとセットで、その技術を世界に広めていきたいと思っております。
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■ALOSデータの地域実利用への期待と課題
株式会社ラング 代表取締役社長 横山 隆三氏 |
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●当社は岩手大学発のベンチャー企業です。私はコンピュータがコアメモリーの時代から30年、リモートセンシングに関わってきました。この技術を地元の生活に役立てたいという思いでおります。
●リモセン技術をどう生かせるか、JAXAより調査を受託し、北東北3県(青森、秋田、岩手)の自治体の54部署65課題、250人にヒアリングを行いました。
●たとえば、産業廃棄物の不法投棄の問題に行政の担当者は頭を悩ませています。「毎年ヘリコプターを出して調査するが、捜し切れない」と。ALOS搭載センサの解像度なら、わずかダンプ数台分のゴミの投棄でも、見つけることはできるはずで、期待を寄せられています。
●行政の担当者が日常業務の一環としてALOSデータのような高精度の衛星画像を利用するというのが望ましい姿です。そこでもし間違った判断をしたら、大批判にさらされる。そういう懸念を受け止められるだけの精度と信頼性が重要だろうと思います。
●さらに、画像データと日常業務を結びつける「インタプリター」的人材の育成、逼迫する財政の中でどう価値を認めてもらうか、データの継続性はどうなのか……。課題はさまざまあるが、現場での利用と知見の蓄積でシステムの進化が促されるというシナリオに期待している。
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■Google EarthによるALOSデータの高度利用とGISへの展開
デジタル・アース株式会社 取締役 雨車 美和氏 |
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●GoogleEarthについてはあらためて説明の必要はなかろうと思いますが、前身は2001年創立の米ベンチャー"Keyhole"という会社が作ったKeyholeVer1.0というソフトウェア(サービス)です。日本ではシリコンスタジオという会社が総販売代理店となっており提供していました。サーバーにユーザーの画像データを投入し、イントラネットの中で利用するものでした。そして昨年5月にGoogleが同社を買収、Google Earthとして無償配布を開始し、世の中に大きなインパクトを与えました。当社は昨年秋にシリコンスタジオ100%出資の子会社として設立されました。
●つい先頃、Google EarthのVer.4.0がアナウンスされており、日本語対応、透過型のナビゲーションパネルがフィーチャーされております。
●KML(Keyhole Markup Language)を使いますと、お手元のさまざまな画像をGoogleEarthに載せる(半透明化し重ねて表示させる)ことができます。ご自身のお仕事や研究に必要なALOSのデータをこれで記述し、Google Earthに載せて使っていただきたいと思います。
●たとえば九州・阿蘇山の画像が先日公開されました。こうしたものを重ねることもできますし、水位監視のための定点カメラを地図上にポイントすることもできます。あるいは人口分布のデータを地図に重ね柱状グラフとして表示させることも可能です。東京23区の人口データで、人口区分別の65歳以上を表示させてみたところ東京の北西部で突出している部分が見てとれるでしょうか。これは高島平団地でした。
●GoogleEarthはさまざまな情報を展開するベースマップとしてひじょうに有効なものであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
●無償ソフトであるGoogle Earth Freeは個人利用のみを想定したもので、商用利用の際はGoogle Earth Proというライセンスをお買い求めいただきたい。ホームページからクレジットカードによるドル支払いか、円でお支払いになりたい場合は弊社にご連絡ください。
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■ERSDACのPALSARデータ利用の取り組み
(財)資源・環境観測解析センター(ERSDAC) 利用技術研究部長 加藤 雅胤 |
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●当センターのメインプロジェクトは、各種衛星データを使って地下資源の探査における有望箇所を抽出したり、資源探査に関わる環境モニタリング(環境影響評価)などです。経済産業省で開発したASTERというセンサーを利用していますが、今回ALOSのPALSARが利用できることになり、たいへん喜ばしく思っています。本日はPALSARのデータ利用のために行ってきた、いわばリハーサルの成果をお見せしたいと思います。
●たとえば「熱帯雨林地域での地質解析」に、非常に期待が持てます。一例として天然ガス産地であるインドネシアのスラウェシ島の画像をお見せしますが、このような地域ではいつもこうしたひつじ雲のような雲がかっていて、可視・近赤外のセンサーではなかなか観測が難しいという実情があります。そういうときに雲があっても観測可能なPALSARはたいへんありがたいわけです。実際の地質判読図との比較で、非常に整合性が高いことが分かりました。
●「多偏波データによる地質解析」では、航空機搭載レーダーを利用してリハーサルをやってみましたところ、光学センサーでは見いだせない地層の褶曲や断層の構造を、偏波データから見いだすことができました(中国・トルファン堆積盆地)
●海底油田のある地域では、オイルスリックという海底から浮かび上がった油の筋が見受けられます。ただそれがタンカーから流れ出したものであるかもしれません。そういうものを抽出し、海底油田探査の助けにするためには、なかなか経験も必要です。
●このほか環境監視でいえば、焼き畑や洪水(時系列比較)、土地利用分類(多偏波データ)、地盤沈下量把握(差分干渉)などのアプリケーションが考えられます。
●インドネシア・ジャワ島のメラピ火山の観測で、4月29日と6月14日のPALSARデータを比較、さらに検証用にASTERの熱画像と重ね合わせてみたところ「溶岩流」が抽出できました。今後面白い利用法が生まれるのではないかと思っております。
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■ALOSを利用したアジア防災協力
アジア防災センター 主任研究員 荒木田 勝氏 |
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●アジア地域における防災協力に、衛星がどれほど役に立ち、またALOSデータがどう期待されているかをお話ししたいと思います。
●ここ10年、とくに90年代後半から自然災害の被災者は増加しています。そして被災者の9割がアジア地域に集中しています。地理的条件、都市への人口集中、貧困などがからみあい、億単位の被災者が出る場合もあります。
●1988年のアルメニア地震での被害額は同国GDPの9倍に達しました。2004年のインド洋大津波におけるモルディブではGDPの62%です(ちなみに1995年の阪神淡路大震災では2.5%)。これは1国の努力でどうこうできるレベルの被害ではないわけです。
●いったん災害が起きても、資金投入ができなければ、復興はおろか働く機会も失われ経済も低調なまま。当然防災にも資金を振り向けられず、災害に脆弱な社会となってしまい、そこにまた新たな災害が起きる……という負のスパイラルに陥ってしまいかねません。
●そういう意味からも、防災はアジア地域の持続可能な発展のためにも不可欠です。自然災害そのものを減らすことはできませんが、災害被害を減らすことはできます。被害は災害に対する社会の脆弱さと、ハザード(潜在または顕在の危険)が重なったところで生じるものなので、その脆弱さとハザードを減らすことが、災害被害を小さくすることにつながるからです。
●さて、そういう局面で衛星はどう役に立つのか。実例を上げますと、インド洋大津波の現場では、災害対策を指揮するあちこちの現場でイコノス画像が非常に多く引用されていました。が、それは使われていたのではなく、オフィスの壁やボードに「貼られていた」だけでした。今回のジャワ島中部地震で被害を受けたジョグジャカルタでも事情は同様でした。多くの災害現場を実地調査した経験からハッキリ言わせていただきますが「何の役にも立っていない!」ということになります。現場では「衛星画像を処理する技術も知識も時間もない!」のです。
●被災地の情報をすばやく現地に届けることが重要です。たとえ不正確であったとしても、半分間違っていたとしても、情報はないよりあったほうがいい。半年後に正確なものが見られても何の役にもたちません。現地で活動する人が被災範囲の拡がりや被害状況を具体的なイメージを持てるようにするためにも衛星による画像情報は重要なのです。
●災害のモニタリング、発生直後の全体像把握、復興時のハザードマップ作成と都市計画、防災教育への活用……。さまざまな局面で衛星は役立てることができます。アジア防災センターとJAXAが協力し衛星情報を迅速に提供するしくみ「ALOSラピッドレスポンスシステム(ARRS)」を今年の10月ごろからスタートさせたいと思っています。この成否は我々の存在意義を試すものになる、と今から緊張しております。 |
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■ALOSデータ主提供業者としての取り組み
(財)リモート・センシング技術センター 利用推進部次長 伊藤 恭一 |
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●RESTEC(財団法人リモート・センシング技術センター)はJAXAからライセンス認定を受けた、ALOSデータの主提供機関です。2006年10月ごろから「標準処理データ」「付加価値製品」「高次付加価値製品」「オンデマンド製品」の販売を開始します。
●標準処理データ価格(予定)はユーザー内部利用の場合25,000円、データをもとに高次付加価値製品を製造・販売する場合は50,000円ですすべてのセンサ、国内・海外ユーザーに共通で、大量購入割引やオンライン割引などの体系を導入する予定です。またオンライン注文とクレジットカード決済などにも対応していく予定です。詳細はRESTECホームページをご覧ください。
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■パネルディスカッション:ALOSへの期待
司会:宇宙航空研究開発機構 執行役 小澤 秀司 |
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●ここまでのレクチャーで、ALOSは広いジャンル、広い範囲で使えるというお話をいただきました。パネルディスカッションではさらに一段掘り下げた議論をすすめ、よりよく使っていただくための方法を探っていきたいと思います。 |
□パネリスト:
国土地理院地理地殻活動研究センター地理地殻活動総括研究官 村上 亮氏 |
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●たいへん良好なデータをいただいており、関係者に敬意を表し、またお礼申し上げたいと思います。国として最も基本的な地図である2万5000分の1地図は4400面で国土をカバーしていますが、1983年にこの整備は終わっています。しかし変貌する国土に合わせた更新が、なかなか追いついていない状況にあります。
現在は実証実験の段階ですが、ALOSのデータが今後の2万5000分の1地図の修正に大活躍することは疑いなく、大きく期待しているところです。本当に簡単に精度の高い地図更新が可能となります。
●またこの技術は、災害時の現況図を短時間に作成する、といったようなことにもつながります。
●さらに実用ベースですぐ役に立つと思われるのは「火山の観測」です。2004年の浅間山の噴火では、電子基準点のGPSによる精密観測から、山体の膨らむ様子が見えていました。これは地下でのマグマの移動を示唆するものです。
●とはいえ、GPS精密観測を行なう電子基準点は、日本のような(観測網が世界一整備された)国であっても漏れなく火山をカバーできてはいません。またあくまで「点」でしかありません。面で広い範囲をカバーし、精密なデータを提供してくれるALOSに期待がかかるところです。
●実はJERSが1993年から95年にかけ、北海道・屈斜路湖畔の活火山「アトサヌプリ火山」周辺の火山性隆起をSARでとらえていました。幸いこのときは噴火には至りませんでしたが、誰も気づかなかった山体のふくらみ、すなわち地下のマグマの移動を、宇宙から衛星がとらえていたことになります。
●精密な軌道制御ができているALOSでは、JERSよりもはるかにきれいな画像を得ることができます。しかも(森林の影響などを無視できる)Lバンドのレーダーで観測を行っております。このLバンドで観測を行い、画像全面にわたって干渉画像を出せる(精密な変位のデータを取得できる)のは、世界で唯一、ALOSだけの能力です。将来の衛星・センサの計画では、ぜひこの「Lバンドによる観測の継続性」を考慮していただきたいと思います。 |
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□パネリスト:
環境省生物多様性センター総括企画官 中島 尚子氏 |
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●山梨県の富士吉田市にオフィスを置き、全国の自然環境情報の収集・整理を行っています。「緑の国政調査」とよばれる植生や動植物の分布など全国の自然環境概況の調査を5年ごとに実施しており、現在は第7回の調査中となっています。
●全国の4400枚の2万5000分の1地図をベースに、全国の3分の1の植生図の整備が終わったところです。更新をもっと早いサイクルで行っていきたいが、予算の制約などあり、なかなか難しいのが現状です。全国をカバーする植生図データは、最新のものでも20年前。早急な整備が求められています。
●これまでの航空写真の利用した植生図に比べて、ALOSで全国をカバーをする画像が得られるというのは非常に魅力的です。低コストで迅速に植生図をまとめて更新できるのではないかと期待をしており、JAXAさんらとともに準備をすすめているところです。
●行政施策の企画立案をする立場からは「経年変化を見られないか」というようなニーズもあります。少なくとも「相観」と呼ばれる、おおまかな植生区分図については、毎年更新ができるくらいのパワーがあるのではないかと期待しています。
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□パネリスト:
海上保安庁海洋情報部技術・国際課海洋研究室長 菊池 眞一氏 |
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●海はたいへんに広いです。その広い範囲のデータを律儀に集めてくれる人工衛星のような存在は、水路図などを作成・提供する我々にとってたいへんにありがたい存在で、ALOSの打ち上げ成功をわがことのように喜びました。今日は3つの側面からお話しさせていただきます。
●まず「火山」です。大規模な火山活動ならば地震を伴うので観測できますが、海面に現れる「火山性変色水」が最初の兆候です。そしてこの兆候はほとんどが漁船や航空機からの通報によるもので、それを元に我々が航空機で確認をします。
分解能があがり、時化も関係ないALOSに期待をしております。
●次が「流氷」です。今や観光資源ともなっている流氷ですが、昔は港湾に押し寄せ、避難してきていた船を破壊して沈めたというようなこともありました。今も航海では重要な情報ですが、流氷の出る1〜4月は雲が多く航空機による観測は難しい時期でもあるため、雲を通して観測できるPALSARに大きく期待しております。「海氷密接度」を得る手法をJAXAが開発、我々の現地調査と照合し協力しながら使えるデータにしていこうと考えております。
●最後が「航行障害となるようなものの情報提供」です。養殖いかだや定置網などを把握しておくことは、船舶にとっても水産事業者にとっても重要です。ただ、それが難しい場合もあります。
●たとえば海苔の養殖は、シーズンとしては10〜12月です。最初はいかだを支える柱が海面に出ていますが、これが水中に没してしまうこともあり、航空機からの観測でも太陽の角度によって見えにくい場合もあり、なかなか難しい観測対象です。定置網なども事情は似ています。
●清水〜焼津にかけてのALOSのサンプルデータを精査すると、何と水中に没している定置網までが映っていました。PRISMの後方視の画層のみでしたが、これには非常にびっくりしました。
●既存のデータとの組み合わせで応用範囲を広げつつ、ALOSならではの強みを生かした利用法が広がっていくものと期待をしております |
□パネリスト:
慶應義塾大学 教授 福井 弘道氏 |
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●地球観測衛星のデータが、気象衛星データのように「実利用」されるためには「観測とデータ流通」についての、明確な戦略が必要となってきます。現実の利用シーンに即した高次プロダクトをどう提供していくか、観測データ取得の(センサ/衛星/予備後継機レベルでの)継続性をどう担保するか、(防災利用などで)必要な場所にタイムリーに情報を届けるためにどんなシステムが必要かなど検討が必要です。また、納税者のお金でつくられた衛星のデータ公共財です。公共財としてのオープンで安価な利用という側面と、有価物として販売されるという側面とを、どう折り合わせていくか、課金ポリシーも重要になってきます。
●視覚を通じて地球を実感するために、有益な情報となってくれます。最もフレンドリー(敷居が低い)にそれを提供してくれるのが今日、何度も話に出てきている「Google Earth」です。さまざまなデータをサーバーに放り込み、重ね合わせ(マッピング)して示すことができます。
●特に私たちが注目しているのは、2006年2月に科学雑誌「Nature」がGoogle Earthを大きく取り上げています。「パーソナルコンピュータがコンピュータ利用を大衆化させたのと同様に、Google EarthがGISを大衆化させている」としている点です。地理情報システムや空間情報利用の民主化、大衆化が始まっている、との認識を示したものです。
●GOFC-GOLDというプロジェクトに携わっています。メリーランド大が中心となり、ランドサットの過去35年分のデータを整理し、フリーでダウンロードできるようにしているものです。
●またGoogle Earthのようなデジタル化された地球のプラットホームを作る「Digital Asia」という取り組みも行っています。「地上で発生したニュースと地理情報へのマッピング」などもキラーコンテンツになるのではないかと思っています。
●地上のデータ、ニュース情報などと統合された利用システムが整備されることで利用が進み、利用が進むことでますます衛星データの(質と量の両面での)需要が高まるものと思っております。
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□パネリスト:
東北大学 教授 斎藤 元也氏 |
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●打ち上がって嬉しいが、3年の遅れは大きい。事情が変わり、農業分野を担当する人がこの場に出てこられなくなった。私はその代役としてお話しをさせていただく。
●日本ではあまり顧みられていない農業分野だが、世界的にはホットなテーマ。外国の研究者に広範囲の時系列データをなぜ使わないのかと聞かれ、「カネがなくて使えない」と答えたら、哀れみの目で見られてしまいました。利用可能な衛星データは豊富にあります。ただ「お金があれば」という条件付きです。ここでも格差社会が拡大しているのでしょうか。
●現在農業分野で現実的に使える衛星データはASTERのみです。いろいろ工面してSPOTイメージを買ったりもしています。
●そういう意味でもALOSへの期待は大きいわけです。何より「大量で格安のデータ」を「継続的に提供してくれる」という点においてです。
●防災利用のお話もたくさん出てきましたが、農業の視点からも補足しておきたいことがあります。火山が噴火すると農地が灰をかぶり、収量が低下します。どの程度の範囲でそういう影響が出るのか分析を日本で行いアジア地域に提供するという方策も、国際協力というだけでなく、日本の食糧安全保障の面からも重要です。食糧が石油に置き換わる(戦略物資となる)時代が現実となりつつあるからです。 |
□パネリスト:
産業技術総合研究所 研究コーディネータ 佃 栄吉氏 |
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●経済産業省所管の組織として、産総研はJERS-1の時代からデータ解析のユーザーとして関わってきました。今後ASTERに現在関わっており、今後ALOSのPALSARとの補完関係でより高度な情報を提供できるようにしていきたいと考えています。
●産総研も主体的に衛星事業に関わろうと決心し、ERSDACと協力してこれに取り組んでいます。たとえばガラパゴス諸島や薩摩硫黄島での火山噴火の観測を行っています。熱画像で溶岩の流れが見て取れますが、これにALOSによる地殻変動データが加われば、より詳しい情報が提供できるものと思います。「火山衛星画像データベース」をインターネットで公開していますので、ぜひご覧になってみてください。
●元来は石油資源探査からスタートした経済産業省の地球観測ですが、ここから環境リスクや災害リスク情報が提供できるようになれば、と考えて取り組んでいます。産総研の持つグリッドコンピューティングの技術をもとに空間情報提供データベースを構築中です。どうやって使いやすいコンテンツにできるか研究を進めており、Google Earthという強力なライバルもいますが、(地質、資源、災害、環境情報というコンテンツで)チャレンジしていきたいと思っています。ASTERデータを元にしたDEMを構築中であり、まもなくみなさんに公開できると思います。 |
□パネリスト:
内閣府参事官(災害予防・広報・国際防災推進担当) 西川 智氏 |
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●防災行政の実務、アジア諸国との国際防災協力に従事している者として、ALOSへの期待をお話しさせていただきたいと思います。 ●日本で災害が起こると、警察、消防をはじめ、国交省、農水省、林野庁からわッと人が出て、アッという間に情報が中央に集まってきます。「全国をカバー」する「複数の組織」のネットワークがあり、しかも電気も電話も道路のネットワークも生きているという前提でこれが可能になっています。ほぼ100%の災害がこの体制でカバーできており、そしてこんな国は世界のどこにもありません。
●ただ例外もあります。数少ない例外が、2004年10月23日に起こった新潟県中越地震です。私自身、現在の役職でこの災害に遭遇しました。地震が起きたのは夕方の午後5時56分、ほぼ暗くなってからの時間帯で、同時に停電もした。すると警察や自衛隊などのヘリコプターを飛ばしての空からの状況確認ができなくなってしまいます。しかも土砂崩れ・地滑りで道路の寸断箇所が多かったため、普通であれば人間がその場へ行って視認・報告するということをやるわけですが、その手も使えなかった。一部の集落については、翌朝ようやく徒歩で自衛隊員が到達し、報告が上がってきたというような状態でした。夜間の中山間地での情報収集の難しさが浮き彫りになったわけです。
●日本ではこういうケースは稀ですが、実は多くのアジアの国においては普通のことです。災害の発生から全容把握までに数日かかるのが常態であり、それは地方組織や道路網や情報通信網が未整備だったりするためです。インドネシアやフィリピンのように島が多い国土だったり、中央アジア地域のように険しい国土の地域だったりすると、「どの地域が、どの程度被害を受けているか」を把握することがますます難しくなります。そして状況把握が遅れ、対策が遅れれば、これは中央政府への批判や社会不安につながるものとなってしまいます。災害の全容把握と対策は政権にとっても重要命題なわけです。
●そこで衛星に期待がかかります。陸路で到達できない場所の情報を迅速に把握することは、20年ほど前から「衛星でできる」と言われてきました。研究レベルでは面白い利用法も出てきています。ただ、防災で災害対応をする人間にとって重要なことはもっとシンプルです。「難しい解析はいらない。分かりやすい情報が欲しい。たとえば台風が通過した翌朝、どの範囲が水に浸かったかを翌朝一番で大統領に報告したい」とフィリピンの実務担当者は言っていました。もっともだと思います。
●日本の中山間地域はどんどん人口が減っています。情報収集のためのマンパワーが減っているということです。また津波で海沿いの道路が寸断されたとき、道路に沿って続く集落の情報をどうやって把握するのか、という問題も出てきます。
●日本人には縁遠いものですが、「旱魃」はじわじわと押し寄せてくる災害です。どの程度地面が感想し、植物がどの程度枯れてきたのかがALOSで分かれば、旱魃の予報や警報が出せると思います。あるいは東シベリアやインドネシアの長期にわたる森林・原野火災です。範囲が広く、(燃えているため)人が入り込めず、長い時には数ヶ月にわたる火災をモニタリングするには、衛星しか手段がありません。そういった部分についても大きく期待を寄せております。
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■閉会挨拶
経済産業省製造産業局航空機武器宇宙産業課宇宙産業室長 志村 勝也氏 |
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●ALOSが無事打ち上がり、このような盛大なシンポジウムが開かれたことを嬉しくおもっています。経済産業省は資源探査の側面から協力してきたわけですが、利用分野の拡がりが大きいことにあらためて責任の重さを感じております。
●宇宙の産業化という目的のため、関係機関と協力しながら引き続き努力していきたいと思います。今後ともご支援をよろしくお願いいたします。
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