Q. 学校教育支援について具体的にどのような取り組みが行われていますか?

宇宙食の創作を目標にした「宇宙キッチンKagoshima」
小・中・高校等の先生方と一緒に、学校の授業に使う教材づくりを行っています。授業は、最初の5分〜10分でいかに子どもたちの心をつかむかが勝負です。最初の導入で、子どもたちの関心を高めることができると、その1時間の授業は非常に効率的で、効果があると言われています。そこで、宇宙を題材にした「導入教材」を先生方と相談してつくり、より効果的な授業を行うためのお手伝いをします。
これまでに、理科をはじめとして、国語、社会、家庭科、芸術などさまざまな教科に使える導入教材を開発し、全国の学校に提供してきました。例えば、社会科では、地球観測衛星「だいち」が撮影した、地球環境に関わる写真を使った導入教材をつくり、地球の温暖化について子どもたちに考えてもらいます。また、宇宙服や宇宙食など、衣食住に関わる写真は家庭科の導入教材として使えます。中には、地元の農産物の食材を使って宇宙食をつくるという授業にまで発展するケースもあり、宇宙教育の可能性が広がりつつあることを実感しています。
また、日本各地の教育委員会等と連携して、宇宙教育を行う教員を養成する研修を支援したり、科学館等と連携をして、展示のアドバイスや映像資料の提供、講演会に研究者を派遣するといったこともしています。JAXAにはさまざまな分野の研究者や技術者、教職経験者がいますので、人材はとても豊かです。さらに、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)やサイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)という、文部科学省が実施する、科学技術や理科、数学に特化した学生を育てるプログラムがありますが、そちらでの授業計画や授業内容について、先生方から相談を受けたり、カリキュラムを作成するお手伝いもしています。各学校の要望に合わせて、授業にJAXAの専門家を派遣したり、施設見学を設定するなど、より良い授業に向けたさまざま支援を行っています。
Q. 社会教育支援について具体的にどのような取り組みが行われていますか?

コズミックカレッジ相模原会場での風洞実験の様子
まずは、子ども向けの体験型プログラム、「コズミックカレッジ」があります。コズミックカレッジでは、高校生までを対象に年齢層別にコースを分け、子どもたちが観察や実験、ものづくりを通して、科学的なものの見方や考え方を学習できるようなプログラムを組んでいます。将来的には、それぞれの地域の方々が、青少年育成事業として自主的にコズミックカレッジを開催していただきたいと考えていますので、JAXAでは社会教育団体や民間企業との共同事業としてコズミックカレッジを開催しています。例えば、全国に広がる日本宇宙少年団(YAC)の団員の方々には、宇宙教育の実践者、指導者として協力いただいていますし、ドキュメンタリー専門のディスカバリーチャンネルとの共催で行うこともあります。
また、KU-MA(NPO法人 子ども・宇宙・未来の会)と連携して、主に小学校2年生までの子どもと保護者の方を対象とした「宇宙の学校」を開催しています。「宇宙の学校」では、1年間のカリキュラムに基づいて複数回のスクーリングが行われ、そのスクーリングの間に家庭に持ち帰った教材で学習していただきます。親子が一緒になって取り組める教材づくりに力を入れ、家庭教育を重視しているのが、「宇宙の学校」の特徴です。
そのほかにも、コズミックカレッジをはじめとした宇宙教育活動を実践する指導者を育てる、「宇宙教育指導者育成セミナー」を全国各地で行っています。セミナーには、宇宙教育の指導経験が少ない方や、指導者としてのスキルアップを目指す方たちが参加をして、宇宙教育の理念から教材の活用方法、子どもたちへの接し方や安全管理の方法など、指導者として必要なさまざまなスキルを学びます。今後さらに宇宙教育を全国展開していくためにも、指導者の育成はとても重要です。