学校がある千代田区の環境を考える授業(支援:三菱地所株式会社)
提案をまとめた壁新聞
東京都国分寺市にある「ひかりプラザ」で、宇宙教育を取り入れた実験教室が行われているという話を伺ったのが、最初のきっかけです。それで、自分の学校の生徒にもぜひ体験させてみたいと思い、私からJAXAに連絡させていただきました。その時に、JAXAの方に伺ったのが鹿児島の宇宙教育の例で、完全循環型の生活をするというものでした。例えば、ゴミが出ない料理の作り方を実践する際に、子どもたちが、焼き鳥の串をゴボウにしたらどうかと提案した話を聞いて、とても素晴らしいと思ったのです。
教育で最も大事なのは、子どもたちに夢を持たせてあげること、自分たちにもできるんだという意欲、やる気を持たせてあげることです。「宇宙教育」にはそれができると思いました。宇宙は子どものやる気を喚起すると思います。
環境問題を実践的に考えた場合、例えば、ゴミをできるだけ少なくするとか、電気を節約するといった提案をする子どもたちが多いと思います。このような身近な取り組みは重要ですが、少し規模が小さい気がします。3年前はこのような身近な提案をする生徒がほとんどでした。しかし、宇宙教育を取り入れ、宇宙での暮らし方や宇宙技術の開発などの話を聞いた生徒は、とても夢のある提案をするようになりました。例えば、中学1年生の生徒が環境を配慮した生活を考えて、生ゴミや人間の排泄物を利用した「食材製造機」を提案するといった感じです。まさに、内容が激変したという感じで、宇宙教育を取り入れる有効性を実感しました。学校の文化祭や環境をテーマにしたイベントなどで、生徒が提案を発表する機会がありますが、「子どもがこのような提案をするなんてスゴイ」と言って、保護者の方はとても驚いていらっしゃいます。
またこれらの提案は、4名1組の班ごとに発表されますが、中学1年生ですと、話し合いをする練習からスタートします。そして、最初はうまく話し合いをすることができなかった生徒が、回を重ねていくうちに、班のみんなの考えをまとめて、疑問などを直接講師の方に質問するようになります。こういった質疑応答も、JAXAとの連携で、授業中にすぐできますので、どんどん質問が出て、とても活気があります。現場の生の情報をすぐに得ることができるというのも、子どもたちに大きな変化を与えていると思います。
写真提供:千代田区立九段中等教育学校