2001年8月29日、JAXAの前身のNASDAはH-IIAロケット1号機を打ち上げました。この成功は、安全で信頼性が高く、コスト競争力のある国産の宇宙輸送手段を目指して進めてきた日本のロケット開発の、ひとつの結実であったと考えています。
しかし2003年11月29日の6号機の失敗により、ロケットの打ち上げ計画は中断されることになりました。同年10月に発足したJAXAは、日本で唯一の「打ち上げ機関」としての責任を果たせなくなってしまいました。
1日でも早く打上げを再開させるため、失敗の直接的な原因であった「SRB-A」はもちろん、ロケットの機体と打ち上げ設備の全体、そして設計・製造・運用のすべてに対し、約1年をかけて「総点検」が行われました。開発中の衛星のプロジェクトもストップし、企業や組織の壁を超えての徹底的な「総点検」が実施されたのです。
ロケットや衛星の開発に直接従事しているわけではないわれわれ(編集部)にも、「総点検」に取り組む担当者たちが、どれほどの緊張感とプレッシャーのなかで仕事をしているかが、はっきりと感じられる1年あまりの日々でした。
こうした「総点検」の末、ロケットについては77件の改善項目を洗い出して対処がなされました。それが「打ち上げ成功」という結果につながったのだと思います。しかもその成功を、国土交通省/気象庁の「MTSAT-1R」という、日本を含めたアジア地域の人々の日常生活に密着した「きわめて重い」衛星の打ち上げで飾ることができました。
「打ち上げの実施にご協力いただいた関係各方面、応援してくださった国民の皆さまのおかげです。本当にありがとうございました。信頼性と安全性をいっそう高めたH-IIAロケットの開発に向け、努力を続けます」という気持ちは、製造や打ち上げに関わった直接の担当者だけのものではありません。いわば付帯業務に関わっているわれわれ一同もそれに共感し、深い喜びを感じていることをお伝えしておきたいと思います。
そして宇宙科学についても、衛星についても、先端航空技術についても……。国民の皆さまのたくさんのご支援が、JAXAのプロジェクトを動かしています。われわれウェブサイト編集部は、当事者でありながら応援団でもあるような、JAXAと国民の皆様の間をとりもつ立場で、今後とも積極的な情報提供を進めます。そしてたくさんの「ミッション成功」を皆さまにお知らせしていきます。
JAXAウェブサイト編集部