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運輸多目的衛星新1号(MTSAT-1R)/H-IIAロケット7号機の打ち上げに成功しました。 記者会見報告
Report2
写真河内山治朗
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
H-IIAロケットプロジェクトマネージャー


本当に感無量です。
H-IIAロケット6号機の事故から、その調査と原因究明を急務とされ、JAXAとメーカーの人間は共に激務に挑んできました。どこを見ても本当に悔いのない打ち上げにするために、力を合わせて最後の最後までがんばってきたことが心に残っています。
通常ならば、打ち上げのイベントが進むたびに、そのパートに携わってきた人たちから拍手が起きるのですが、今回は終始張り詰めた空気のままロケットを見守っていました。みんなの思いは、最後の衛星分離が完了したところでようやく弾け、全員で喜びを分かち合うことができました。
これからは、H-IIAロケットをより洗練されたロケットにするために開発を続けていきたいと思います。
写真園田昭眞
JAXA射場運用室長


打ち上げ当日の準備は非常に順調で、2時間半ほど余裕を持って進めていましたが、打ち上げ時刻の約1時間前になって、ロケットの機体と地上の設備の信号を伝送する伝達機からのアラームを確認しました。
地上とロケットのやりとりが時々途切れるというレベルの問題で、ロケットの制御、打ち上げの機能、機体側などには一切問題ないことはわかっており、河内山プロジェクトマネージャーと私の間でも確認しあっていました。しかし、この状態で作業を続けることができるかを確認するために時間を要し、最終的に予定よりも1時間16分ほど打ち上げ時刻をずらすことになりました。18時前後に打ち上げられるのではないかという話も出ていたのですが、18時25分に打ち上げ時刻を再設定しました。これは慎重を期した結果であり、本日のラウンチ・ウィンドウの中で打ち上げられないかもしれないという危機感は持っていませんでした。
ただし、完全に解決したわけではなかったので、17時25分から60分前の作業をスタートさせてからは、再発するかもしれないという危惧はありました。この原因は、まだはっきりしていませんが、今後原因を徹底的に究明して、今後に反映したいと思います。
アラームが出てから非常に短時間のうちに問題を整理して対処し、打ち上げることができたのは、この1年以上にもおよぶ総点検や信頼性向上の取り組みから、JAXAのスタッフ、関連企業が一丸となって、柔軟に対応できるようになったからだと思っております。
JAXAウェブサイト編集部より皆さまへ(2005年3月1日)

2001年8月29日、JAXAの前身のNASDAはH-IIAロケット1号機を打ち上げました。この成功は、安全で信頼性が高く、コスト競争力のある国産の宇宙輸送手段を目指して進めてきた日本のロケット開発の、ひとつの結実であったと考えています。

しかし2003年11月29日の6号機の失敗により、ロケットの打ち上げ計画は中断されることになりました。同年10月に発足したJAXAは、日本で唯一の「打ち上げ機関」としての責任を果たせなくなってしまいました。

1日でも早く打上げを再開させるため、失敗の直接的な原因であった「SRB-A」はもちろん、ロケットの機体と打ち上げ設備の全体、そして設計・製造・運用のすべてに対し、約1年をかけて「総点検」が行われました。開発中の衛星のプロジェクトもストップし、企業や組織の壁を超えての徹底的な「総点検」が実施されたのです。

ロケットや衛星の開発に直接従事しているわけではないわれわれ(編集部)にも、「総点検」に取り組む担当者たちが、どれほどの緊張感とプレッシャーのなかで仕事をしているかが、はっきりと感じられる1年あまりの日々でした。

こうした「総点検」の末、ロケットについては77件の改善項目を洗い出して対処がなされました。それが「打ち上げ成功」という結果につながったのだと思います。しかもその成功を、国土交通省/気象庁の「MTSAT-1R」という、日本を含めたアジア地域の人々の日常生活に密着した「きわめて重い」衛星の打ち上げで飾ることができました。

「打ち上げの実施にご協力いただいた関係各方面、応援してくださった国民の皆さまのおかげです。本当にありがとうございました。信頼性と安全性をいっそう高めたH-IIAロケットの開発に向け、努力を続けます」という気持ちは、製造や打ち上げに関わった直接の担当者だけのものではありません。いわば付帯業務に関わっているわれわれ一同もそれに共感し、深い喜びを感じていることをお伝えしておきたいと思います。

そして宇宙科学についても、衛星についても、先端航空技術についても……。国民の皆さまのたくさんのご支援が、JAXAのプロジェクトを動かしています。われわれウェブサイト編集部は、当事者でありながら応援団でもあるような、JAXAと国民の皆様の間をとりもつ立場で、今後とも積極的な情報提供を進めます。そしてたくさんの「ミッション成功」を皆さまにお知らせしていきます。

JAXAウェブサイト編集部

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記者会見レポート
Report 1−中山文部科学大臣/安富国土交通審議官 ほか

Report 2−RSC津田社長 ほか

Report 3−JAXA河内山H-IIAロケットプロジェクトマネージャー ほか

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