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ペンシルロケット フェスティバル レポート 
「ペンシルロケットの復活」〜50年前の情熱を未来の50年へ〜
ペンシルロケット
  
   ペンシルロケットは、東京大学生産技術研究所の故糸川英夫教授が中心となって開発を行なった、全長23cmの超小型ロケットです。
糸川教授 写真
ペンシルロケットを持つ
糸川教授



1955年4月12日に公開試射が実施され、ペンシルロケットは長さ1.5mのランチャ(発射台)から水平に発射されました。この当時、日本にはまだレーダによるロケットの追跡技術がなかったため、糸川教授は、ロケットを打ち上げるのではなく、水平に発射するという方法を思いつきました。6日間に及んだ29機の試射はすべて成功を収め、糸川教授が「水平でも重力と空気抵抗の影響は十分に調べられる」と言ったとおり、ロケットの速度・加速度、ロケットの重心や尾翼の形状による飛翔経路のずれなど、本格的な飛翔実験に向けた貴重なデータを得ることができました。
その後、このロケットは、ベビー型、カッパ型へと改良を重ね、現在活躍するM-Vロケットへと進化していったのです。




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インタビュー ペンシルロケットの設計者 垣見恒男氏


ペンシルロケットの実験装置
        
   今回のプロジェクトは、50年前の水平発射実験と同じロケット、機材や装置を再現することが目的でした。
ペンシルロケット(図1参照)は全長23cmです。機体はアルミ合金製で、鉄製のノーズコーンとノズルを備えています。機体の中には、推進薬として8.4gの無煙火薬、および、点火薬として0.6gの黒色火薬が詰められています。燃焼時間はわずか0.15秒ですが、最高速度は時速270kmにもおよびます。
水平発射実験装置(図2参照)の射程は、約15mです。ロケットは、長さ3mのランチャを滑走後、その先に1m間隔で並べてある10枚の電気標的を次々と突き破って、12m先のキャッチャに突き刺さります。電気標的は薄葉紙で、その上には非常に細い導線が貼られていて、それがロケットによって切断されることで、通過時刻を計測します。さらに、薄葉紙を突き破った位置から、ロケットの軌道を計測することもできます。

ペンシルロケット 写真
復元されたペンシルロケット
水平発射実験装置 写真
水平発射実験装置
ペンシルロケットの構造図 拡大
ペンシルロケットの構造図

水平発射実験装置の概要図 拡大
水平発射実験装置の概要図
  

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