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基本情報の充実によって迅速で有益な情報配信を目指す  インド宇宙研究機関(ISRO)  災害対策ディレクタ−  V.S. ヘグデ(Dr. V.S. Hegde)
インドは国土面積が3億2800万ヘクタールにもおよぶ広大な国です。海岸線も総延長7500キロ。そのうち5700キロは、暴風雨に襲われることが多い地域です。一方、国土の68%は旱魃(かんばつ)が発生し易すく、20%は厳しい旱魃が起き易い地域となっています。また、国土の20%は洪水の被害をしばしば受け、そのうちの900万〜1000万ヘクタールは、毎年洪水に見舞われています。さらに国土の68%は地震帯に入っています。それもゾーン3から5の地域です(インドの地震帯マップは、地震の起き易い地域をゾーン2から5の4段階で評価。5が一番危ない地域)。これらは基本的にヒマラヤ地域です。また、国土の多くの地域で土砂崩れが発生する危険性があります。北部のヒマラヤと西部の山間部です。それから北部、中央部、それに南西部には山火事が発生し易い落葉樹林帯があります。このように、インドは世界でも最も自然災害が起き易い地域だと言えます。

私たちは衛星画像と周辺情報を組み合わせた基本情報データベースを作成済みです。例えば土地利用、植生、インフラ、村の境界線などの情報がデータベースに入っています。ですから衛星データは迅速に災害対策に役立ちます。衛星画像を災害地域の基本情報を重ね合わせて、被災した地域の地図を迅速に作成します。そして衛星地図を災害対策担当者に提供し、彼らが有効に活用するわけです。衛星からは光学的なデータとレーダーによるデータの両方が必要です。広域をカバーする低解像度の衛星画像は、災害調査や監視に役立ちます。ですからインドでは、広域(低解像度)カメラによる衛星画像を2日ごとに繰り返し取得しています。一方で、観測地域が雲に覆われていると、光学カメラではよい画像は得られません。その時には、レーダーによる観測データがとても必要になるのです。

「センチネル・アジア」へは、まず初期段階として、広域カメラによる観測データを送っています。この画像は、アジアの多くの地域をカバーします。次に、「センチネル・アジア」のメンバー国から具体的なリクエストがあれば、私たちはインドの衛星を使って、できるだけ高解像度の衛星画像を撮影するよう努力するつもりです。さらにそれらのデータを解析する用意もあります。データを解析した上で、リクエストがあった被災国へ送信するのです。

「センチネル・アジア」に参加したことによって、インドが持つ高度な専門技術を近隣諸国のために役立てることが出来、とても嬉しく思っています。また、わが国もJAXAなど、ほかの宇宙機関の助けを得たいと思います。なぜなら衛星の軌道によっては、インドの衛星が該当する被災地をいち早く観測出来るとは限らないからです。自然災害発生時には、迅速な対応こそが重要です。ですから多くの国々の宇宙機関が手を結ぶことは、メンバー全てにとって有益なものとなるはずです。

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