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「センチネル・アジア」のデータを災害対策に活かした現場から  インドネシア国立航空宇宙研究所(LAPAN)  天然資源・環境モニタリング部長  オルビタ・ロスウィンティアルティ(Dr. Orbita Roswintiarti)
インドネシアは、アジアの中でも多くの自然災害に見舞われています。私たちは災害をいくつかの種類に分けて考えています。まず「地質学的」なもの。地震、津波、火山の噴火や土砂崩れなどです。もう1つが「水文気象学的」なもの(大気や降雨の状況から水源、災害などの関係を探ること)。洪水、猛暑、旱魃(かんばつ)、山火事などです。

災害時には高解像度の衛星画像データがとても役に立ちます。衛星の情報をもとに、被害の程度を直接、かなり鮮明に見ることが出来るからです。例えば地震の場合には、被害を受けた住宅や建物がどの地域にあるのかを知りたいので、災害発生前と後の画像を比べれば、おおよその被害状況が分かります。一方、被害を事前に軽減するため、つまり防災という観点では、広域の衛星画像が必要です。アジア全体の気象状況などを定期的に監視出来るからです。

「センチネル・アジア」が発足してからとても助けられています。そしてこれまで被災した時には、ほとんどタイムラグがなく、災害発生からわずか2時間後ぐらいで、迅速にデータを入手することが出来ました。このことは「センチネル・アジア」のシステムが順調に稼働していることの証明です。昨年は何件か大きな災害がありました。まずは2006年5月のメラピ火山の噴火です。また同じ年の5月には、ジャワ島中央部のジョグジャカルタで地震もありました。これらの災害時には「センチネル・アジア」を通じて日本の地球観測衛星「だいち」のデータをもらいました。そして今年初め、2007年2月にはジャカルタが洪水に見舞われました。そして3月には西スマトラで大地震が発生。この2件の災害の時にも「センチネル・アジア」を通じてデータを入手し、とても役に立ちました。

「センチネル・アジア」のシステムの使い方は簡単ですが、私たちインドネシアでは問題も抱えています。この国では、未だにインターネット回線が高速・大容量でないのです。ですから現状ではデータをダウンロードするのが困難な時があります。「センチネル・アジア」のシステムは、インターネットを基盤としているので、高画質な画像を迅速に入手するためには、我が国のインターネット通信網を改善する必要があるのです。

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