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宇宙技術による自然災害のリスクと脆弱性の軽減に期待
国連国際防災戦略(UNISDR)
ディレクタ−
サルバノ・ブリセノ(Salvano Briceno)
国連国際防災戦略(UNISDR)は、6年前に国連総会で発足した戦略で、自然災害へのリスクと脆弱性を軽減させるための取り組みです。社会と住民が災害に対して脆弱性を持っているという理解にもとづいています。単に災害が起きた時の緊急対策を準備しておくだけではなく、被害のリスク、脆弱性を事前に取り除いておくことが重要なのです。こうした新しい考え方にもとづいて、この戦略が構想されました。

2005年、神戸の国連防災世界会議で宣言された「兵庫行動枠組み2005-2015」は、災害のリスクと脆弱性を軽減するうえで、これから取り組むべき広範な問題を網羅的に提示しています。中でも第1の優先課題に、リスクの軽減を挙げています。単なる災害対策ではなく、まず防災の観点からリスクを軽減するのです。第2の課題として、リスクを見極め、どのようなリスクや脆弱性があるかをよく理解した上で、リスクの査定をし、早期警報システムを導入することで災害に関する情報をいち早く提供できるようにする必要があります。3番目に、知識の醸成と教育にも焦点を当てています。災害リスクの軽減や災害に対する弱点について、子供たちにも教えるように学校教育に組み込んでいます。そして第4番目の課題は、潜在的なリスク要因をいかに減らしていくかということです。住宅など建築の質を向上させること、土地利用計画の適正化、そしてエコシステムの管理など、いずれも災害のリスクを軽減する上で不可欠な問題です。

「兵庫行動枠組」の実現するためには宇宙技術の利用がとても重要です。地上からの観測では発見できないような災害に対する弱点を、宇宙技術を使って見極めることが可能になってきたからです。ですから「センチネル・アジア」がとても興味深い計画であることは言うまでもありません。とても意義のあるプロジェクトだと思います。「センチネル・アジア」が、より一層国連の各機関と連携を深めていけば、お互いの力を活用し、さらに有益な活動が出来ることでしょう。
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