ご覧いただいているページに掲載されている情報は、過去のものであり、最新のものとは異なる場合があります。
掲載年についてはインタビュー 一覧特集 一覧にてご確認いただけます。



アジア太平洋地域のすべての国に宇宙技術の恩恵を  国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)  情報・通信・宇宙技術部長  シヴァサンカラン・タンピ(Sivasankaran Thampi)
2004年のスマトラの津波だけでなく、パキスタンの地震、インドやバングラデシュを襲った洪水などを目にしてきた今、インドだけでも2500万人が被災し、死者は1000人を超えていると聞いています。そうした大きな苦しみを味わっている人々を助けるために出来る限り活動することが、世界の政府間を結ぶ組織である国連の務めだと思います。各国の災害対策組織を結びつけること、これこそ国連が得意な仕事です。最終的には各国の地方自治体も巻きこんで、災害対策に一致協力して取り組み、衛星画像の利用や早期警報システムの構築を進めたいと思います。スマトラの津波の時に早期警報システムがあったならば、何千人という命を救えたはずですが、不幸にして事前の警告はありませんでした。リスク・マネジメントという点、そして予測不能な危機にどう対処すべきかという点で、欠け替えのない教訓を得たと思います。

国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)の加盟国の多くは、世界的にも最も開発が進んでいない国々です。加盟国の多くは自然災害に対応する能力を持っていません。情報通信や宇宙技術の恩恵を享受できない国々なのです。ですから、「センチネル・アジア」が目指す、あまねく国に宇宙技術の恩恵を提供して災害対策を進めるということは、私たちUNESCAP情報・通信・宇宙技術部の役割と大いに関連していると言えます。「センチネル・アジア」は、先を見すえたビジョンのある取組みだと思います。災害対策にしっかりとした枠組みを提供するものです。「センチネル・アジア」が地域間協力の仕組みとして目指しているものと、同じく地域間協力のための組織で、複数の専門領域を持っている私たちUNESCAPが提供できるものは相互に補完し合う面がたくさんあると思います。「センチネル・アジア」によって、アジア太平洋地域全体で宇宙技術が利用できる機会が今後拡大していくだろうと私は期待しています。

UNESCAPは、アジアだけで62か国もの加盟国があります(センチネル・アジアの加盟国は、現在、20カ国)。ですから私たちやほかの国連組織と共同して進めることができれば、「センチネル・アジア」にとってとてもいい基盤を提供することができると言えるでしょう。現在、話し合っていることに1つに人的資源の拡大があります。JAXAには技術面での専門性などがあり、国連には、ヒューマン・リソース面での貢献ができると思っています。UNESCAPとセンチネル・アジアとの協力がうまくいけば、同じような自然災害に苦しんできたアフリカや南米など、ほかの地域にこの経験を応用していける可能性があります。それはとても有効な手段になるはずです。

Back