きく8号への思いや、打ち上げに臨む気持ちが、率直な言葉でつづられています。
原 香織さん 担当:プロジェクト庶務
いよいよ、きく8号の打ち上げが迫ってきました。今は、やっとのことで打ち上げられることになった、という安堵の気持ちと、必ず成功するはずという期待感に、祈るような気持ちが入り混じって、毎日が複雑なワクワク感でいっぱいです。これまで、きく8号のプロジェクト庶務として6年間過ごしてきたからこその、胸の高まりなのだと実感しています。
仕事を始めた当初は、大好きな宇宙に携われると喜んでいましたが、実際に衛星のプロジェクトを進めている職員の皆さんの仕事はとても専門的で、何の知識もない私が皆さんのフォローをしていけるのかと不安になったこともありました。でも、これまでやってこられたのは、そんな素人のような私の質問でもわかりやすく丁寧に教えてくださったり、衛星の試験に立ち合わせてくださったりと、チームの一員として一緒に仕事を進めてくださった素敵なメンバーの皆さんのおかげです。打ち上げまで一緒に仕事をさせていただいて、とても感謝しています。 その皆さんと大事に大事に育んできた きく8号は、きっと宇宙で、その六角形の大きくて美しいアンテナを見事に広げてくれるはず。できることなら私も一緒に宇宙に飛んで行って、青い地球をバックに羽を広げたようなその姿をこの目で見たいです。 打ち上げ当日まであと少し。その瞬間が、今からとてもとても待ち遠しいです。
[2006年11月30日 更新]
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臼井 基文(もとふみ)さん 担当:大型展開アンテナ、姿勢制御系
打ち上げが近づいて、今は、寝ている時でも仕事の夢をみるような状態です(笑)。世界最大級という大きさの衛星を打ち上げる難しさを実感しています。きく8号の技術が実証されれば、JAXA長期ビジョンの基本理念である「宇宙航空技術の活用により、安全で豊かな社会をつくる」にも大きな役割を果たすことになり、その責任は非常に大きいと思っています。災害時や、山岳地帯、洋上など、まだまだ地上用の携帯電話が通じない場所はたくさんあります。こうした状況をなすくために、きく8号の技術は絶対に必要な技術です。あっという間に打ち上げの時期が近づいてきました。LDREX-2が成功して、まずはハードルをひとつクリアし、あとは、きく8号の打ち上げ・運用の本番までまっしぐら、全力投球です!
[2006年11月30日 更新]
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辻畑 昭夫さん 担当:プロジェクトマネージャー
きく8号は世界最大級の静止衛星であり、実証する技術は世界最先端であると自負しています。大きなミッションには、アンテナを大型化することによって小型端末でも衛星通信が可能となる技術の実証があり、それによって衛星を使った移動体通信の実現に近づくことができます。地上の端末が手のひらにのるくらい小型になれば、持ち運びに不便さを感じることなく使用でき、より多くの方々にご利用いただけることになると思います。きく8号は、いつでも、どこでも、どんなときでも、日本全国の皆さんからの声を聞き逃すことのない最先端技術の実証を目指していますが、これは言うなれば、"衛星を意識しないで、衛星通信や衛星を使った移動体通信ができる技術"ともいえるかもしれません。またきく8号は、原子時計と時刻比較装置が搭載されていることにより、とても正確な時刻情報ときく8号自身の位置情報を認識することができます。これは、常に日本上空、36,000kmの静止軌道にあるきく8号と、700kmほどの低軌道のGPS衛星を組み合わせることによって、非常に効率的かつ正確な位置情報を提供する技術につながっていきます。ほかに、大型衛星バスの先進的技術開発や展開ラジエータの技術革新など、数々の技術実証を行います。きく8号は我が国の社会にイノベーションをもたらす研究開発プロジェクトであり、将来、きく8号の技術が社会に役立っていくことは、かけがえのない私の幸せです。「絶対、成功させたい。絶対、成功させなければ!」という思いを、日に日に強くしています。
[2006年11月27日 更新]
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春井 勝一さん 担当:品質信頼性
これまでひとつひとつ積み上げてきたことを、これからも粛々と積み重ねていけば失敗することはないだろうと信じています。「野菜は足音を聴いて育つ」という言葉を耳にしたことがあります。足繁く畑に出向き、手をかけた野菜はおいしいという意味の言葉ですが、これは人工衛星にも言えることで、日頃から手をかけ、気にかけていると、不思議なものでこちらのいうことをちゃんと聞いてくれるんです。メーカー・JAXAが手塩にかけて埋め込んだ品質・信頼性がシステム及び搭載機器をして軌道上で期待される機能を発揮せしめるものと信じています。マイナスなことは考えないようにすること、決して安心しすぎないことが大切。頼むよ八ちゃん!
[2006年11月27日 更新]
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寺田 弘慈さん 担当:ファンクションマネージャ
きく8号の打ち上げの日まで、ずっと温暖な日が続いてくれれば良いなと思っています。私自身もそうだけれども、きく8号は地上の温度に敏感なので。10月に打ち上げられたLDREX2(大型展開アンテナ小型・部分モデル2)は、技術的な宇宙での実験の成否に至る前にも、本当にプレッシャーがかかりました。ロケットの都合で打ち上げが時期が遅れに遅れ、これ以上遅れたら、きく8号の打ち上げ計画に影響がでるといったぎりぎりのタイミングで打ち上がった時には、正直ほっとしました。いまは休日返上で本番に備えているため、バスケットボールの試合の審判でストレス解消をするのもままならない状況ですが、「きく」の大輪が宇宙に咲き、日本の未来は、「八」(末広がり)と信じています。
[2006年11月27日 更新]
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高橋 真人さん 担当:電源パドル
地上の通信端末が手のひらにのるくらい小型なもので対応できるということは、衛星のアンテナをそれだけ大型にする必要があります。そして、そのためには大型の衛星に合わせて電力もパワーアップしなければなりません。今回、きく8号では通常50Vのところを100Vに倍増させて対応しています。こうした高電圧に対応させるため、電気の回路や機器を新しくしたり、またそれを宇宙環境にうまく適用させるために改善に改善を重ねてきました。きく8号に携わってきた10年は、長かったような短かったような…、とにかくあっという間でした。いまは太陽電池パドルがちゃんと開いて、バッテリーがきちんと電力を供給してくれるように、祈るような気持ちでいます。そしてすべてが正常に機能した暁には、さまざまな技術が次の衛星につながるように、そして世界に誇れる技術となるように願っています。
[2006年11月20日 更新]
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伊藤 崇さん 担当:サブマネージャ
きく6号、きく8号に携わって20年、振り返ってみると、短かったという印象です。以前はゴルフやテニスで汗を流すこともありましたが、いまは仕事一筋、きく一筋といったところでしょうか(笑)。きく8号のすべてのミッションが成功して、その技術を次の衛星へ、そして安全で豊かな社会作りに貢献できるよう、いま、やるべきことはすべてやっています。残念ながら、きく6号では静止軌道に到達できず、かなりの実証実験を行うことができませんでした。いまでも、静止軌道投入を断念したときの様子が目に焼きついて離れません。けれど、二度とあのような経験はしたくありません。きく8号は絶対に成功させます!
[2006年11月20日 更新]
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新舘 恭嗣(きょうじ)さん 担当:機械系(構造)、大型アンテナ
入社してすぐにきく8号のプロジェクトに配属されました。はじめて携わった衛星がもうじき打ち上がるというのは、とても感慨深いですね。これまで、特に展開アンテナを宇宙で開かせるために、心血を注いできました。先日、アンテナの小型モデル(LDREX-2)の展開実験がありましたが、その計画段階から「成功が絶対条件」というプレッシャーを常に感じていました。だから、無事開いたという一報を受けたときは、本当にうれしかったですね。ただ、これからが本番なので、気を引き締めて頑張ります。絶対に開かせますよ!
[2006年11月13日 更新]
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野田 浩幸さん 担当:測位ミッション系、熱制御系
きく8号のミッションのひとつに、測位ミッションがあります。きく8号では、ほとんど時間のずれない原子時計を搭載してGPSのような測位信号を作ります。この信号を使って衛星の軌道を決める実験をするのですが、きく8号のような静止衛星の実験は、技術的に難しいこともあって、世界でもほとんど行われていません。参考となる情報がないですから、とにかくひとつひとつの技術を地上でみっちり検証していかなければならないんです。例えば、測位信号の安定度を測る試験は、設定が非常に神経質な上に、最低でも24時間は連続して計測するのですが、そんな時に限って雷警報で強制中断&やり直し(号泣)ということもありました。こんなに苦労したので、きく8号の技術は、次の測位衛星に引き継がれ、測位サービスをより良くすると信じていますが、それよりも今は「とにかく軌道上まで辿り着いて、無事動いて下さい…」と祈るような気持ちです。そんなわけで、祈る気持ちのドキドキと不安なドキドキが、日々、右肩上がりで上昇中です。
[2006年11月13日 更新]
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池田 正文(まさふみ)さん 担当:姿勢制御系、推進系
きく8号の開発に、10年携わってきました。技術試験衛星は、宇宙で新しい技術を実験・実証する役割をもった衛星ですから、いわば、前例のない未知の分野への挑戦になります。これまで地上において、さまざまな実験を行ってきました。そのすべてをクリアして打ち上げに臨むわけですが、宇宙できく8号のすべての技術が実証されてはじめて、本当に喜びを実感できるのかなと思っています。未知の分野への挑戦は、正直、ストレスがたまります(笑)。そんなときは、私の場合は晩酌をしてストレス解消。好きな純米酒に、イカのつまみを自分で作ったりしています。打ち上げを成功させて、すべての技術が実証されたとき、これまで味わったことのないおいしいお酒が飲めるのかもしれません。ここまで最善を尽くしてきました。そしてこれからも、最善を尽くします。
[2006年11月13日 更新]
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高畑 博樹さん 担当:電気系、通信データ処理系
きく6号、きく8号と携わって、16年です。きく8号は、手のひらにのるくらい小型の携帯端末でも通信が可能なようにアンテナを大きくしています。そのために通信データを処理する回線の設定など、新しい技術に取り組んできました。きくひとすじの16年は、長かった……。きく6号では実証実験の一部ができなかったので、きく8号には「うまくいってほしい!」、いまの心境はこの一言につきます。
[2006年11月6日 更新]
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目黒 在(あきら)さん 担当:機械系全般、大型アンテナ
きく8号の仕事をやりたい一心で、今年4月、JAXAに入社しました。それまでも、NTTで通信衛星の研究開発に携わり、きく6号、VSOP、商用衛星などに関わってきましたが、どうしてもプロジェクト側のメンバーとしてきく8号の仕事がしたかったんです。きく8号の技術実証は、移動体通信の技術を次の世代へ橋渡しする、非常に重要なイノベーションです。大型展開アンテナ反射鏡、フェーズドアレイ給電装置、衛星交換機など、きく8号の技術実証は、衛星通信機器技術のマイグレーションのためのキーテクノロジーという位置づけなんです。こうした重要な基盤技術ですから、先駆けとして実施したLDREX-2の実験に成功したときは本当に嬉しかったですね。打ち上げられた仏領ギアナのギアナ宇宙センターでアンテナが展開しているカメラ画像を確認したんですが、思わずそばにいた辻畑プロマネに抱きついてしまったんですよ。感動のあまり若干、涙ぐんでしまいました。LDREX-2の成功の勢いに乗って、いまはただただきく8号の成功を祈るのみです。この技術が実証された際の社会貢献度は計り知れず、きく8号のすべての技術実証が成功した折には、辻畑プロマネの胴上げもあるかもしれません!?それまではもちろん全力投球です!
[2006年11月6日 更新]
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