特設サイト きく8号/H-IIA11号機打ち上げへ!

プロジェクトKiku

きく8号の打ち上げを控え、開発に携わったスタッフのコラムを連載でお届けします。
きく8号への思いや、打ち上げに臨む気持ちが、率直な言葉でつづられています。

中村 信一さん 担当:衛星班実験係

きく8号は、技術試験衛星という名の通り、今後、日本の基盤技術の実証を行う衛星です。特に私が実験係として担当する測位実験については、衛星の時間と地球上の時間はどのくらいの精度で同期できるか?静止衛星をGPS衛星と見立てると地上の位置決定精度はどのくらい向上するか?など、これまで誰も挑戦した事のない課題に取り組みます。簡単なようですが、そもそも、時間を合わせるとは?時間と空間の精密決定とは?などは、理学的にも工学的にも奥が深い世界です。今後、きく8号からの実験データが取得できる日をワクワクして待っています。宇宙スケールの実験を担当することは、私の夢でした。尊敬する松本零士先生の御言葉を借りると、「きく8号は、時間と夢を裏切らない、夢と時間もきく8号を裏切らない」を、今、まさに実現しようとしています。

[2006年12月25日 更新]

竹下 健治さん 担当:追跡ネットワーク班

追跡ネットワーク班(NW係)は、筑波管制局を中心に国内外に設置されたアンテナを遠隔コントロールして、人工衛星の追跡管制を行うのが仕事です。きく8号の業務では国内外6ヶ所のアンテナを活用し、軌道決定のためのレンジング(RNG)、ドップラー(DOPP)、きく8号に搭載されている機器の状態等を表すテレメトリ信号(TLM)の受信および制御などの指令(CMD:コマンド)の送信等の運用を行っています。追跡ネットワーク班の仕事には、電波からコンピュータネットワークまで幅広い知識が必要ですが、きく8号との通信が常に確立できるように、いつも最善を尽くしています。

[2006年12月25日 更新]

三吉 基之さん 担当:追跡ネットワーク班 軌道係

打ち上げ後、きく8号が与えられた役割を果たせるよう衛星の位置を正確に把握する、また、予定している軌道位置へきちんと衛星を投入させるための計画を立てることが、追跡ネットワーク班軌道係の主な仕事です。きく8号を静止軌道位置に無事投入できるよう追跡管制隊の一員として頑張ります!

[2006年12月25日 更新]

伊藤 寛行さん 担当:衛星班コマンド計画係

追跡管制隊は、衛星が打ち上がった直後から一定の期間(クリティカルフェーズ)、特に重要なこの時期に、万が一不測な事態が発生した場合においても即対応ができるよう、JAXA内のみならず、各メーカの担当の方も総動員で、24時間体制で衛星の運用を管理するものです。打ち上げられたばかりの衛星は、人間でいうと言わば生まれたばかりの状態ですから、たくさんの人が見守っていないといけないわけです。2006年7月、きく8号の追管隊が発足し、数度に渡るリハーサルを重ねてきました。またコマンド計画係としては、きく8号の地上システムはかなり安定したものに仕上がったと思っています。待ちに待った打ち上げ、長丁場で不規則な勤務体制の追管隊ですが、気を引き締めて取り組んでいます。

[2006年12月20日 更新]

大久保 慎さん 担当:企画管理班

企画管理班では、追跡管制隊全体の計画立案や総合調整を行っています。追跡管制隊全隊員がスムースに作業を行えるよう運用文書を制定したり、追跡管制隊各班間にまたがる案件を隊全体としてうまく機能するよう調整を行ったり、また、打ち上げ時には追跡管制の進行管理を行っています。実際は、全体調整のほか庶務も担っており臨機応変な対応が求められる場合も多いのですが、追跡管制隊がうまく機能するように日夜、頑張っています。

[2006年12月20日 更新]

川井 淳(まこと)さん 担当:衛星班コマンド計画係

衛星は打ち上げられた後も、地上から衛星の状態を監視したり、さまざまな命令(コマンド)を衛星に与えてやることによって、はじめてその役割を果たすことができます。私が担当しているコマンド計画係は、軌道制御をさせたり、大型展開アンテナを展開させたりと未来の衛星運用を計画し、それに必要となる命令(コマンド)を作成する仕事です。私は入社以来ずっときく8号の運用準備、地上システムの開発を行ってきました。特にきく8号の地上システム開発では、計算機の調達からシステム構築、試験まですべてに携わってきたので、きく8号と共に地上システムが順調に動作して欲しいと思っています。

[2006年12月20日 更新]

福田 貴雄さん 担当:情報連絡班

情報連絡班の仕事は、きく8号が打ち上げられてからクリティカルフェーズが終了するまでの8日間に実施される追跡管制運用に関する各種情報を、国民の皆さまにできるだけ早く、正確にお伝えすることです。主に、きく8号の飛行状況、太陽電池パドル展開、アポジエンジン噴射結果及び大型展開アンテナの展開結果などの状況をお知らせするもので、期間中は24時間体制で対応いたします。運用が順調な場合も、また想定外の事象が発生した場合でも、可能な限り早く正確な情報発信を行うためには、常に状況を的確に把握して、臨機応変に対応していかなればなりません。日に日に寒さも増していますが、クリティカルフェーズ中の勤務に支障がないように、体調管理には十分気を付けています。

[2006年12月20日 更新]

畠山 正明さん 担当:TTCサブシステム、軌道上運用準備、通信実験準備

担当している通信実験の準備は、きく8号のもつ移動体通信のイノベーションとなる技術が、どのように社会に貢献できるかを見極め、より役立つ方法を試すものです。手のひらにのるくらい超小型の携帯通信端末で衛星通信が可能になれば、携帯電話が通じにくい山岳地帯、洋上や災害がおこったときでも、不都合がなくなります。そうした社会の実現に向けて、無事打ち上げが成功することを祈る日々です。

[2006年12月5日 更新]

白倉(しらくら)政志さん 担当:通信系

きく8号は、テニスコート大の大型展開アンテナを2つ(受信用、送信用)搭載しています。これにより、地上の通信端末を小さくすることが出来ます。今回は、地上から送った情報が36,000kmも離れたところにあるきく8号にきちんと届くように、通信面もさまざまな新しい技術にチャレンジしています。たとえば地上の通信端末を小さくすると、それに応じて送るデータ量に制限があるのですが、使い勝手が悪くならないように、データの送り方に工夫をしたり…。新しい試みでどこかに正解があるわけじゃないので、ひとつひとつ検討を重ねて答えを見つけだしていくことは大変でしたが、同時に自分にとってはおもしろかったです。衛星通信がもっと便利に、また、身近なものとして使えるためには、きく8号の技術実証は必須のものです。打ち上げ及び大型アンテナの展開が無事成功し、きく8号を利用した情報のやりとりがうまくいくように、といまはこれだけを願っています。

[2006年12月5日 更新]

砂川 圭さん 担当:姿勢制御系、推進系

入社してすぐにきく7号(おりひめ・ひこぼし)に配属され、その後きく8号の担当になりました。きく7号はすでに打ち上がった後だったので、開発から参加するのはきく8号がはじめてです。不具合が出たり打ち上げが延びたりと苦労もありました(特に推進系は悩みが尽きないという感じでした)が、種子島で射場作業が始まって、ようやくここまで来られたという思いと、今まで見てきたきく8号がもうすぐ宇宙へ旅立つという思いで感慨深いものがあります。しかし、衛星は宇宙に上がってからが本番。デビューが遅れた分も取り返せるような成果をあげられるように、これからもがんばります!

[2006年12月5日 更新]