宇宙航空研究開発機構
情報・研究システム機構
国立極地研究所
海洋研究開発機構
宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA」)は、海洋研究開発機構(以下、「JAMSTEC」)と、地球環境分野における観測衛星データと海洋に展開する観測システムから得られる現場データとの融合等海洋と宇宙の連携を進めているところです。
このたび、情報・システム研究機構国立極地研究所(以下、「国立極地研究所」)は、GRENE北極気候変動研究事業として、9月3日から10月17日までの間、JAMSTEC所有の「みらい」を用いて、急激に海氷が減少した北極海での環境変動による生態系や気候変動システムへの影響を詳しく調査しています。JAXAは、この北極海の観測・調査航海において北極海の観測研究や安全な航行のために、「しずく」の北極海域の観測データの提供を開始しました。
「みらい」の北極観測航海には、日々変化する海氷の状況を知ることが必要ですが、今回の航海では、天候に左右されず観測できる「しずく」の海氷分布、海水温分布、海氷密接度等海氷に関するデータを1日3回、「みらい」に提供しており、最適な航路や観測海域選定の判断情報として利用されています。
「しずく」の高分解能データと即時提供される海氷情報を得ることで、詳細な海氷の状況を把握し、「みらい」の航行時間のロスの軽減、効率的な航海計画の立案、氷縁域や航海期間中のごく短期間しか開水域にならない海域での観測活動、「みらい」が海氷に閉じ込められるリスクの回避等に役立てます。
また、今回の「みらい」の観測・調査によって得られた海表面温度等北極海域に関するデータは、JAXAにも提供され、「しずく」の観測データの精度検証に利用されるとともに、近年、減少を続けている北極海氷の解析など北極域の環境変動研究にも役立てられます。
「しずく」から「みらい」へ提供している 北極海域の観測データ(2012年9月16日) |
(左下)2012年9月16日深夜に「みらい」が遭遇した海氷のレーダー像、(右上)海氷域を抜けた2012年9月20日に「みらい」から撮影した北極海の状況 (写真提供:国立極地研究所・海洋研究開発機構) |
![]() 第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1) 画像提供:宇宙航空研究開発機構 |
![]() 海洋地球研究船「みらい」 写真提供:海洋研究開発機構 |