水循環変動観測衛星「GCOM-W」

2012年5月18日打ち上げ > 運用中

プロジェクトトピックス


2013年5月17日 更新

「しずく」地球物理量プロダクトの提供を開始

第一期水循環変動観測衛星「しずく」に搭載している高性能マイクロ波放射計2(AMSR2)の観測データから、大気中の水蒸気量や海面の温度など、地球の水に関する物理量を算出した8種類の成果物「地球物理量プロダクト」の提供を、5月17日から開始しました。
これらはエルニーニョ・ラニーニャ現象など地球環境の変化を捉えることに貢献するほか、気象・降水予測や漁場探査、洪水対策改善など、国内外さまざまな分野で利用される予定です。
なお、地表面や大気中から放射される特定の周波数の電波の強さを表す「輝度温度プロダクト」はすでに提供を開始しています。

プロジェクト概要


プリント

人類の今と未来のために、地球環境の変化をもれなく監視

「地球環境変動観測ミッション(GCOM: Global Change Observation Mission)」は、地球規模での気候変動、水循環メカニズムを解明するため、全球規模で長期間(10〜15年程度)の観測を継続して行えるシステムを構築し、そのデータを気候変動の研究や気象予測、漁業などに利用して有効性を実証することを目的としたミッションです。
GCOMには水循環変動観測衛星(GCOM-W)と気候変動観測衛星(GCOM-C)という2つのシリーズがあります。マイクロ波放射計を搭載するGCOM-Wは降水量、水蒸気量、海洋上の風速や水温、陸域の水分量、積雪深度などを観測します。
GCOM-W1は、GCOM-Wシリーズの第1期の人工衛星です。


宇宙で回る世界最大の回転アンテナAMSR2

GCOM-W1に搭載される高性能マイクロ波放射計2(AMSR2)は、地表や海面、大気などから自然に放射されるマイクロ波とよばれる電磁波を、7GHzから89GHzまでの6つの周波数帯で観測するセンサです。自然に放射されるマイクロ波の強度は、物の性質や含まれる水分量、表面の状態や温度などで決まり、周波数ごとに異なるのですが、非常に微弱なものです。AMSR2はこのような微弱なマイクロ波を地上700kmで受信し、そのマイクロ波の強さを非常に高い精度で測定することができます。例えば、AMSR2で海面から放射されるマイクロ波の強度を測定することにより、0.5度の精度で海面水温を知ることができます。
地上からのマイクロ波を受信するAMSR2のアンテナ部分は、1.5秒間に1回転のペースで地表面を円弧状に走査し、1回の走査で約1,450kmもの幅を観測します。この走査方法によって、AMSR2はわずか2日間で地球上の99%以上の場所を観測することができます。アンテナの直径は衛星搭載用の観測センサとしては世界最大の約2m、回転部分は高さが約2.7mで、重さは約250kgもあります。AMSR2は、このような大きくて重いアンテナ部分を、1.5秒間に1回転という速さで、1日24時間、5年以上も休まずに回転し続けることができます。