開発中止

プロジェクトトピックス


2011年12月21日 更新

「ASTRO-G」プロジェクトの中止について

高解像度の天体観測の実現のため開発されてきた電波天文衛星「ASTRO-G」ですが、観測の要である高精度9m展開アンテナは技術的に非常に難しく、現在達成可能なアンテナ鏡面精度ではサイエンスの重要な部分が達成できないこと、サイエンス目標を達成可能な範囲に縮退したとしても、当初の計画を大きく上回る資金と期間が必要であること等が明らかとなったため、プロジェクトの中止が決定されました。

プロジェクト概要


プリント

電波望遠鏡を搭載し、
高解像度の天体観測を実現する電波天文衛星「ASTRO-G」

1997(平成9)年2月、「スペースVLBI(Very Long Baseline Interferometer=超長基線電波干渉法)」という手法を実現した世界初の電波天文衛星「はるか」(MUSES-B)がM-Vロケット1号機によって内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、活動銀河核の高解像度の撮像など深宇宙の観測を行いました。「はるか」のミッションはVSOP(VLBI Space Observatory Programme=VLBI技術による人工衛星天文台計画)と呼ばれる計画の一つで、大きな国際共同によるVSOP計画の中心となりました。
VSOP計画で挙げた成果を基盤にして、さらにグレードアップした計画として「VSOP-2計画」が検討されています。この計画はVSOP計画に継いで電波望遠鏡を搭載した人工衛星を宇宙に打ち上げ、高解像度の天体観測を実現します。そのVSOP-2計画で使用する衛星が「ASTRO-G」です。


VSOP-2計画と「ASTRO-G」

VSOP-2計画ではミリ波帯の観測に力点を置き、最高の分解能によって直接撮像を得ることができます。これにより「活動銀河核のブラックホール周辺の降着円盤の構造」や「ジェットが生成、加速されている領域の解明」など、宇宙の極限領域の物理に迫ります。そして、ASTRO-G衛星に搭載する望遠鏡は「はるか」の10倍の高周波化、解像度の向上、高感度化、位相補償モードによる更なる高感度化とアストロメトリ、偏波観測による磁場の計測といった性能を目指します。